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2020-08-24

心尖拍動:座位 vs 臥位

1週間前から急に増悪した倦怠感で来院した症例

😊 解説
  • 座位(ビデオ前半)では左乳輪外側の2肋間で心尖拍動が明瞭 ➜ 心拡大の疑い
  • 臥位(ビデオ後半)では左乳輪の外側下方に拍動を僅かに視認 ➜ 心拡大確定
  • 拍動は不規則で早い ➜ 頻脈性の心房細動の疑い(期外収縮頻発は否定できず)

😙 独り言
  • 本例の心尖拍動は臥位より座位の方が明瞭である.心尖拍動を用いた心拡大の判定は,厳密には仰臥位で行われるべきであるが(),仰臥位での視認性は必ずしも良好ではない.心尖拍動は仰臥位より左半側臥位の方が視認しやすいことはよく知られているが,座位でも意外に分かりやすい.非代償性心不全では臥位になれない症例(起座呼吸)も少なくないことを考慮すると,座位の心尖拍動による評価をもっと積極的に導入していいと思う.なお本例にも実際に心拡大(左室拡大+左房拡大)が存在し,頻脈性心房細動であった.その病態はバーロー症候群に伴う慢性心不全があり,腱索断裂による僧帽弁逆流の急性増悪と考えられた.

😀 関連投稿(座位の心尖拍動編)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

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