おせんべいを食べていて何か違和感に気づいた症例
👉 顔面神経麻痺
- 左側の鼻唇溝(ほうれい線)消失と口角下垂(動画)
- 左眼の閉眼不全を認めたが四肢の感覚運動障害なし
- 頭頸部に水泡や発赤はなく顎関節の異常もなさそう
- 耳鼻咽喉科に紹介し最終的にベル麻痺と診断された
- 発症5日目の来院であり内服ステロイド治療を開始
🔔 ベル麻痺 vs 顔面神経麻痺
- 顔面神経麻痺は大きく末梢性と中枢性に分類される.末梢性麻痺が全体の90%以上を占め,Bell麻痺,Ramsay Hunt症候群,外傷性麻痺,耳炎性麻痺の順に多い(下図). ベル麻痺はいわゆる除外診断であるため,すべての原因を除外する必要がある.Bell麻痺の約70%が自然治癒することから麻痺の重症度と発症時期に応じた薬物投与を行う(例:軽症例ならプレドニゾロンで 30mg/日から開始して1〜2週間で漸減終了/発症8日以後に受診した患者では投与しない).
- 命名はスコットランドの解剖学者チャールズ・ベル(Sir Charles Bell: 1774–1842)による1829年の顔面神経麻痺の3例報告(そのうち2例が特発性)(※).しかし1683年にオランダのCornelis Stalpart van der Wiel (1620–1702)がすでに報告していたようです(※).さらに最古の医学文献は9世紀でペルシアの医師Muhammad ibn Zakariya al–Razi(854–932 or 925)まで遡るようです(※)
👾 独り言
- 循環器外来だけど色々な相談を聞く”よろず外来”を心がけています.本例は心筋梗塞後でフォローしていた方ですが,循環器内科の定期受診が近いため待っていたようです.もちろん患者さんも循環器の病気じゃないのは分かっています(類似の自験例).
- 非循環器疾患も相談にのっているためか,身体所見のスマホ撮影にも快く応じてもらえます.ちなみに本ページにアップした身体所見は,患者さん自身にもすべて確認してもらい,YouTUBEやLINEなどウェブ共有の同意を得ております(当たり前ですが…)
(松下記念病院
川崎達也)
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