弁膜症による慢性左心不全の評価目的で当院を紹介受診した症例
🐤 解説
- 端座位で心尖拍動の最外側は左乳輪の左外側へ偏位 ➜ 心拡大の疑い
- 乳輪下の心尖拍動は2肋間以上で観察可能(本例は3肋間)➜ 心拡大
- 拍動は抬起性で吸気保持で少し明瞭化(ただ呼気保持でも観察可能)
- 本例は胸部X線で心胸郭比は増加して,心エコー図で遠心性肥大あり
🐦 つぶやき
- 心窩部にも拍動があり右室の反映と考えられます.よく見ると乳輪下の拍動(左室拍動)よりも右室拍動が少し遅れています(通常でも左室収縮は右室収縮に僅かに先行).
- 吸気時には左室ー右室のタイムラグが拡大しているようです.おそらく吸気に伴う静脈還流の増加で右室の前負荷が増えて,収縮開始が少し遅延するのかな〜と考えます.
- さらに吸気時に心拍数(拍動数)が低下しています.バルサルバ負荷で胸腔内圧が上昇すると心拍数は低下しますが,本例では吸気保持早期から心拍数の低下が目立ちます.
- 吸気時(肺に酸素が多い時)には通常,心拍数が上昇します(より多くの酸素を血中に取り込むため).圧受容体を介する反応ですが,心不全例ではしばしば障害されています.
(松下記念病院
川崎達也)
0 件のコメント:
コメントを投稿