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2023-11-27

胸鎖乳突筋 Sternocleidomastoid muscle

軽労作での息切れで来院した症例(体位は座位)

🐤 解説
  • 座位で内頸静脈の明瞭な拍動を視認可 ➜ 中心静脈圧は高度に上昇
  • 拍動は隆起ではなくて陥凹で不規則と思われる ➜ 心房細動の疑い
  • 吸気負荷の追加 ➜ 胸鎖乳突筋が明瞭化し頸静脈反応は評価できず
  • 患者さんの右側から再度負荷 ➜ 拍動上縁は上昇するが陽性波なし
  • 本例の最終診断は心房細動を合併した非代償性の左心不全(PEF)

🐥 独り言
  • 座位で内頸静脈の陥凹を認めた場合,吸気負荷で陽性波(CV merger)になれば心不全はより重篤と考えられます.本例は負荷後も陰性波のままだったため,そこまで重症ではないと考えられました.ちなみに吸気負荷で拍動が消失する症例を経験することは(ほぼ)ありません(直近の座位陽性12例では吸気で拍動消失例なし).
  • 安静座位で内頸静脈の拍動を認めない症例で,吸気後に拍動が出現すれば中心静脈は中等度上昇していると(個人的には)判断しています.胸鎖乳突筋が安静時から目立っている場合(自験例)や本例のように吸気で目立つ場合(偽クスマウル徴候)があります.しかし筋肉は拍動しないので頸静脈と見間違うことはないと思います.

松下記念病院 川崎達也)

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