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2022-02-28

心不全でなくても体位を意識しよう!

ST上昇と連絡を受け早朝ERへ駆けつけた

👦 解説
  • 胸痛で救急搬入された症例で心電図で前胸部誘導のST上昇 ➜ 急性前壁心筋梗塞
  • 右脚ブロックも合併 ➜ 右脚ブロックの心筋梗塞は予後が悪く要注意(過去の投稿
  • 動画では臥位+枕ありで外頸静脈の呼吸性変動がおよそ消失 ➜ 中心静脈圧の上昇
  • ベットサイド心エコー図では前壁中隔を中心に高度の壁運動低下(EFは20%程度)
  • 酸素飽和度は正常であったが半座位になってもらった ➜ 頸静脈はほぼ視認できず

😉 独り言
  • ERで心不全症例を臥床にしておくことはあまりないと思います.多くは起座呼吸だからです.しかし心筋梗塞例では心電図を記録したり心エコー図を行なった後も,カテ室に移動するまで臥床のままの症例が少なくありません.
  • 本例では緊急カテーテル検査で前下行枝近位部の完全閉塞(側副血行路なし)を含む3枝病変であることが判明しました.このような症例では心筋梗塞の発症と同時に,肺うっ血が顕性化することがあるため注意が必要です.
  • 動画をよく見ると早くて深い呼吸であることが分かります.臥位から半座位にすると,患者さんはずいぶん楽になったと言いました.半座位直後に動画を記録したためまだ頻呼吸ですが,しばらくすると落ち着いてきました.

松下記念病院 川崎達也)

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