このブログを検索

2022-03-07

病歴聴取と身体所見は表裏一体

息切れで当科を紹介受診した男性

🐦 解説
  • 端座位で頸部に頸静脈の拍動を視認しない ➜ 座位陰性(中心静脈圧の著明な上昇なし)
  • 吸気負荷でも頸静脈を視認しない ➜ クスマウル徴候陰性(潜在的な静脈圧の上昇なし)
  • 臥床(枕あり)で外頸静脈が膨隆し拍動なし ➜ 頸静脈の怒張(中心静脈圧の上昇あり)
  • 本例はⅢ音を聴取し傍胸骨拍動も認めた ➜ 非代償性左心不全と診断され同日入院した

👀 現場中継
  • 症状からは心不全が強く疑われましたが,座位の頸静脈所見に異常はありませんでした.コロナ禍では臥床の診察を省くこともありますが,本例では症状と身体所見の乖離に納得ができませんでした.迷わず臥床の検査を追加し,静脈圧上昇を示唆する所見を見つけました.病歴とフィジカルが合致して一安心
  • 偉大な医学者オスラーは,”Listen to your patient, he is telling you the diagnosis.”(患者の言葉に耳を傾けなさい.患者は診断を告げている)と述べています.初診時(特に心疾患)では,病歴聴取が大切なことは改めて述べるまでもありません.病歴聴取と身体所見は表裏一体.相互に補完し合う仲良しさんです😊

松下記念病院 川崎達也)

0 件のコメント:

コメントを投稿