時々息遣いが荒くなる難聴例(端座位)
👂 解説
- 指示が通らないため安静の頸静脈所見は判定困難
- 左上肢挙上で内頸静脈の明瞭な陥凹が出現(矢印)
- 本人の発語が混入して心音は十分には評価できず
- 最終的に収縮の保たれた心不全(HFPEF)であった
🙉 追加コメント
- 米国の70歳以上の横断的な国民健康栄養調査では,難聴の有病率は心不全症例で74.4%と,非心不全症例の63.3%より高率です(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg 2018;144:273-5).さらに心不全のある高齢者では難聴が強いほど活動性が低下することも報告されています(Clin Interv Aging 2020:15:635-43).
- 上記の全米調査で心不全および難聴のある参加者のうち補聴器を着用しているのはわずか16.3%でした.聴力障害なら筆談で対応すればいいのではと思われますが,心不全患者では認知症が43%とかなり高率です(J Card Fail 2017;23:464-75).そんな時こそ左上肢の挙上負荷が役立つかもしれないので追加してみてください.
(松下記念病院
川崎達也)
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