👽 解説
- 心窩部に膨張した静脈を認めた(上図の矢印)
- 同部位から連続性雑音を聴取した(上図の下)
- 同雑音は吸気時に増強した(下動画に音あり)
- 心電図と胸部X線、心エコー図は正常であった
- 最終診断は Cruveilhier-Baumgarten 静脈雑音
- 自覚症状の息切れは門脈圧亢進症に起因する?
💫 クリュヴェーリエ・バウムガルテン症候群(Cruveilhier-Baumgarten
syndrome)
- 肝硬変や特発性門脈圧亢進症などで臍静脈または臍傍静脈が拡張した病態(自然発生的な門脈側副血行路形成)で,静脈周囲で雑音(クリュヴェーリエ・バウムガルテン静脈ハム)やスリルを認め,肝萎縮や脾腫なども伴う.
- 名前の由来はフランスの解剖学者 Cruveilhier(1791-1874)の報告(Human JB Bailiere 1829-1835;1:16)とドイツの病理学者 Baumgarten(1848-1928)の報告(Arb Geb Pathol Anat Inst Tubingen 1907;6:93)
- 同雑音を認めれば門脈圧亢進ありと判断できる(※).なおこの古典的な静脈性ハム音が吸気時に増強する機序は,心臓右側への静脈血流の増加によって説明可能(吸気時に三尖弁逆流が増加するリベロ・カルバイヨ徴候と同様)
(山本内科循環器科 山本正治)
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