🔎 Acute MR vs murmurs
- 心筋梗塞を発症30日以内に心エコー図を行った773例の検討では,中等度または重度のMR患者の1/3は聴診で心雑音を認めなかった(Circulation 2005;111:295-301)
- 急性心筋梗塞時に乳頭筋断裂による重症の僧帽弁逆流を発症したにも関わらず,心雑音を呈さなかった2例報告(Ann Thorac Surg 1991;52:296-9)
- 急性MRで血行動態が著しく悪化した場合,収縮中期に左心室圧と左房圧が等しくなるため雑音は減弱あるいは消失しうる.重症の呼吸困難患者の救急状態で減弱した心雑音を認識することは困難である(Heart 2019;105:671-7)
- 心筋梗塞に伴う急性MR雑音の強さとMRの重症度には直接的な相関はない.心拍出量の低下した患者では収縮期のLVとLA間の圧勾配が低下するため雑音はソフトあるいは消失することもある(Journal of Acute Disease 2016;5:96-101)
- 急性MRでは収縮期早期の短い雑音のみで診断が臨床的に困難になる.これは非コンプライアントの左房で大きなv波が発生し,LAとLVの圧が収縮期で基本的に等しくなり収縮期初期以降に僧帽弁を横切る逆勾配がなくなるためである(European Society of Cardiology, E-Journal of Cardiology Practice - 2018;16)
(松下記念病院
川崎達也)
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