このブログを検索

2022-02-21

傍胸骨版クスマウル徴候 Parasternal Kussmaul's sign

息切れで来院した中年男性(向かって左が頭側)

🐳 解説
  • 胸骨部分がやや陥凹しているが漏斗胸というほどではない.胸骨左縁(動画の奥側)に少し拍動が確認できる(特に電子聴診器を置いた拡大像).よく見ると吸気時にその拍動が明瞭になっている.
  • 傍胸骨拍動は胸壁が薄い若者で認めることはあるが,正常では触知されない.中年である本例の傍胸骨拍動は,触診持続時間の短いタッピング(容量負荷)というより持続時間の長い抬起性(圧負荷)
  • 本例の頸静脈は仰臥位で ”まさしく” 怒張し,心尖部でⅢ音を聴取した(ただし下腿浮腫はほぼなし).引き続き心エコー図で心収縮力の低下と肺高血圧を確認した(現時点では拡張型心筋症の疑い)

🐟 おまけ
  • 傍胸骨拍動は肺高血圧に伴う右室負荷を示唆(ただし稀に左房拍動肺動脈拍動もあり).また吸気に伴う右室拍動の明瞭化は稀ならず経験(他の自験例
  • 明瞭な傍胸骨拍動は稀です.特異度が高い検査なので僅かな所見を見逃さないためにも是非,呼吸時相の意識や吸気負荷の追加(クスマウル徴候の傍胸骨版

松下記念病院 川崎達也)

0 件のコメント:

コメントを投稿