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すべての指趾の爪甲表面のほぼ同位置に認める短軸方向の溝(隆起とくぼみ)
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機序は爪甲を作っている爪母の機能の一時的な低下によると考えられている
- 名前の由来は初報のフランス人医師
Joseph Honoré Simon Beau
(1806–1865)
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原因は麻疹,手足口病,川崎病など発熱性疾患や感染症,亜鉛欠乏,薬剤他
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爪溝の幅は原因疾患の罹病期間と相関し,その位置から罹病時期も推測可能
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爪に関する過去の投稿 ➜
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
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松下ERランチカンファレンスとのマルチポストです 🎶
- 当院の循環器内科の本田先生が執筆された論文が出版されました
- 僧帽弁逸脱による逆流でフォロー症例の雑音が急に変化しました
- Ⅱ音まで持続していた収縮期雑音がⅡ音100 ms前に終了(下図)
- 心エコー図では以前と比較して僧帽弁逆流が減少しⅡ音前に終了
- 下肢挙上で逆流がⅡ音まで持続したため脱水に伴う音変化と診断
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追加コメント
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僧帽弁逸脱のクリックと逆流音は前負荷や後負荷によって大きく変化することが知られています(本例ではクリックなし).基本は「前負荷が増加 ➜ 左室容積が増加 ➜
逸脱が遅れる」または「前負荷が減少 ➜ 左室容積が減少 ➜
逸脱が早まる」です(過去の投稿).
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これらの変化はクリック出現と雑音開始のタイミングであり,雑音はⅡ音まで持続することが原則です.しかし本例では雑音の開始点ではなく終了点が変化していました.雑音がⅡ音手前で終了する変化を心音図で記録した報告は(検索範囲では)ありませんでした.
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本例では逆流程度の減少に加えて,左心室の拡張末期容積や左心房容積指数も減少していました.心音図の提示はありませんが,逸脱による逆流雑音では収縮早期に終了する症例も稀ではないという記載を見つけました(J Am Coll Cardiol 1989;13:1053-61).
👿「論文」の過去の投稿は
コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
時折,胸痛を自覚する症例
👂 耳垂皺+外耳道毛
- 耳垂に45度の皺(earlobe crease)が存在(別名はフランク徴候)
- 耳珠(じじゅ:耳介対側の突起)〜外耳道に短毛(ear-canal hair)
- 耳垂皺と外耳道毛は共に動脈硬化との関連が示唆されている(※)
- 本例は最終的に非閉塞性肥大型心筋症かつ冠動脈疾患と診断した
😁
おまけ
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耳垂皺と異なり,外耳道毛はほとんどの患者さんが自覚されています.散髪屋で定期的にカットしてもらってる方が多いようですが,本例は奥さんに切ってもらっていました.
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)
息切れで来院した症例
🐤 解説
- 安静座位の鎖骨上で内頸静脈の拍動を視認 ➜ 中心静脈圧の上昇
- その拍動は右側より左側で明瞭(矢印)➜ 呼吸負荷後も左側優位
- 呼吸音は清であるが心尖部でⅢ音あり ➜ 非代償性心不全と診断
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ひとり言
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中心静脈圧の推定には,右房との直線的位置関係から右側の内頸静脈を使用します(解剖図).しかし稀に本例の様に,左側の拍動がより目立つ方がおられます.上記動画では左から光があたっているため右側は少し影になっていますが,それを差し引いても拍動は左側優位でした.
- 頸静脈拍動が左側優位である経験を内臓逆位の症例で経験したことがあります(過去の投稿).また左上大静脈遺残でも同様の所見をきたす可能性があります.ちなみに本例ではいずれの所見もないと考えられました.
- 本投稿は「自作聴診器:パート1」の続き
- 8/10の "健康" ハートの日に心臓教室開催
- 小学生向けに100均グッズで聴診器を作成
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僕も小学生に紛れ込んで自作
- 前回の初号機(自作聴診器:パート1)の問題点を認識して改良!
- ヘッド部分に肉厚で継ぎ目のない金属漏斗を採用(100均で購入)
- チューブも肉厚の太いビニールに変更(ホームセンターで150円)
- 100均イアピースは耳に適合せず(左図)聴診器部品を転用(右図)
- しかしⅠ音やⅡ音,収縮期駆出性雑音は ”なんとか” 聴取可能レベル
- 過剰心音や拡張期雑音は不可(肥大型心筋症の巨大Ⅳ音も認識不能)
😓
独り言
- 思ったよりもクオリティが低くて少しがっくりしました.奥まったところにある静かな診察室で試したので,単耳式だけが原因とは思えませんが…
(投稿者 川崎)
- 8/10は "健康" ハートの日で小学生向けの心臓教室がありました
- その2時限目は図工 ➜ 100均グッズで「聴診器を作ろう」でした
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僕も小学生に紛れ込んで自作
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Y型ホースつぎ手が売ってなかったので,単耳式に変更
- ヘッドはケーキを作る時に用いる絞り口金を利用(左図)
- 実臨床で使用してみるとほとんど聞こえず(耳に合わず)
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よってイアピースを聴診器の予備パーツと交換(右図)
- Ⅰ音やⅡ音,収縮期駆出性雑音は”なんとか” 聴取可能
- 過剰音は全く聞こえず(胸毛があれば通常音も聴取困難)
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現場
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患者さんに小学生への取り組みなどを説明したら,皆喜んで自作聴診器の機能評価に協力してくれました(中には自分にも聞かせてほしいという申し出あり).本当にありがとうございました.
心肥大を呈する症例
💪 ポパイ徴候(
Popeye's sign)
- 上腕を屈曲後に上腕二頭筋の局所的な隆起(矢印)
- ほうれん草で超人的になるポパイの力こぶから命名
- 機序は上腕二頭筋の腱断裂(biceps tendon rupture)
- 本例の左室肥大はATTRアミロイドーシスと診断した
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ(松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)
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ミケーレ・ランドルフィ(1878-1959)
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イタリアの医師 Michele Landolfi でナポリで活躍
- 高度の大動脈弁逆流で生じるLandolfi signを発見
- これは心拍動に一致した瞳孔の拡大と収縮(下動画)
- 呼吸器疾患(特に結核)を研究して聴打診器も開発
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関連投稿 ➜
大動脈疾患(PC版なら画面右の分類からも選択可)
慢性心不全の増悪症例
👹 解説
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端座位で右鎖骨上に内頸静脈(+胸鎖乳突筋)の周期的な拍動(隆起)を認めるため,中心静脈圧はかなり上昇していると予想される.
- 鎖骨上窩で内頸静脈の起始部を用手的に(かなり強く)圧迫したが,内頸静脈の拍動は消失していない点にも注目(解剖図はコチラ)
- 内頸静脈は深部静脈であるため圧迫は容易ではないと思われるが,その拍動は静脈とは思えないほど強い症例も少なくない(他の自験例)
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ひとり言
- 個人的な経験では,内頸静脈の拍動を容易に圧迫できない症例は心不全がより重篤なことが多いと思います.一般に拍動上縁が高位ほど中心静脈圧は上昇していると考えられますが,この ”圧迫できない” 内頸静脈拍動 も重症度判定に役立ちます.ただし問題点は,圧迫の程度を定量化することが困難なことです.よって僕は消失するか否かの二択で判断しています.ちなみに表在静脈の外頸静脈はどんな症例でも容易に圧迫できるので,この評価方法は適応できません.