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2026-10-05

典型的な心雑音・予期せぬ診断❓

🎶 気になった論文(Case Rep Cardiol 2026:2026:3461386)より
  • 症例は45歳の女性で主訴は運動中の動悸と呼吸困難.大動脈領域で最もよく聴取されるグレード3/6の粗い収縮期雑音あり.頸部に良好に放散するため,当初は大動脈弁狭窄症が疑われた.しかしその後の心エコー図で,大動脈弁の構造異常や大動脈弁狭窄を示唆する圧較差は認められなかった.
  • 一方,僧帽弁の後尖P2に著しい逸脱があり,中等度から重度の僧帽弁逆流が確認された.筆者らは,僧帽弁の逆流ジェットが前内側方向へ進み,大動脈基部と心房中隔に衝突する結果,その振動の音響エネルギーが左心室流出路と頸部構造に伝わり,大動脈弁狭窄症に似た雑音を生じると考察

😐 独り言
  • 本論文には心音図や音声が付いていないため,実際に聴いて判断してみるができませんでした.しかし大動脈弁狭窄と僧帽弁逆流の鑑別が容易ではない症例が存在することは事実です.
  • 例えば,僧帽弁逆流でも重症ならダイヤモンド型の漸増漸減パターンになります(自験例).この時にⅢ音を減弱したⅡ音と誤認すると,ますます重症の大動脈弁狭窄と誤診します.
  • また上記論文の症例のように,僧帽弁後尖の逸脱では,ジェットが左房前壁に向かうため,雑音が通常のMRのように心尖部で最大にならず,心基部に広く放散します(自験例).

(松下記念病院 川崎達也)

2026-09-17

Dr.水野の心音聴診クイズ

  • 症例01:【解説公開】呼吸困難を訴える42歳 男性 〔2016/5/13〕
  • 症例02:【解説公開】労作時の呼吸困難を訴える47歳 女性 〔2016/9/21〕
  • 症例03:【解説公開】急な胸痛を訴える68歳 男性 〔2017/3/6〕


🐙 独り言
  • 少し前のコンテンツですが、ご存じない方も少なくないと思い、このブログにアップしました。水野 篤先生の軽妙な語り口もあり、とても楽しい仕上がりです。進行はクイズ形式で、投稿者は選択肢を一つ誤答 😓
  • Dr.水野の心音聴診クイズは無料で閲覧できますが、CareNetへの登録が必要です(医師限定)。関連コンテンツとして「Dr.水野のうたう♪心音レクチャー」もあります(臨床医学チャンネルCareNeTVの有料コンテンツ)。

(松下記念病院 川崎達也)

2026-06-29

腋窩は診てませんでした😔

  • 重症の大動脈弁逆流症によるフィジカルの短報を見かけました(Eur Heart J Case Rep. 2026 Feb 6;10(2):ytag074)。大脈(速脈)を反映する身体所見で、水槌脈(Water-hammer pulse)や反跳脈(Bounding pulse)、コリガン脈(Corrigan pulse)などと呼ばれています。
  • これは特に目新しい所見ではなくて、このブログにも何度も登場しています(ココ)。本例がEur Heart J Case Repに掲載された理由は、場所が腋窩だからかな~と予想します。そういえば僕自身も腋窩を確認したことはありませんでした...... ( 〃..)ノ  ハンセイです

📗全文(AI訳)と図
  • 78歳の男性が、長期間にわたる進行性の呼吸困難の既往歴の後、起坐呼吸と安静時の呼吸困難を主訴として救急外来を受診した。身体診察では、うっ血性心不全の兆候、広い脈圧(144/43 mmHg)、心尖拍動の側方偏位、および大動脈弁逆流を示唆する高音の漸減性早期拡張期雑音が認められた。特に腋窩動脈において、顕著で規則的な末梢動脈拍動が認められ(ビデオSA)、急速な上昇と突然の虚脱を示した。この目に見える水槌脈(ワトソン脈とも呼ばれる)は、大動脈弁逆流の特徴である。これは、大動脈の急激な拡張を伴う一回拍出量の増加、それに続く大動脈から左心室への血液の逆流による拡張期虚脱の誇張によって生じる。心エコー検査により、重度の大動脈弁逆流に加え、著明な左心室拡張および収縮機能障害が確認された。

(松下記念病院 川崎達也)

2026-05-28

意外な事実:ヒル徴候

- 労作時の息切れで来院した症例 -

👀 解説: ヒル徴候 陽性(Positive Hill's sign)
  • ABI(足関節上腕血圧比)の低下なし(高値) 
  • 血圧値は上肢より下肢で著増(>60 mmHg) 
  • 最終診断は重症 大動脈弁逆流による心不全

😲 ヒル徴候の機序💦
  • 重度の大動脈弁閉鎖不全症と診断された5人の患者において、動脈内圧測定では大動脈と大腿動脈、または腋窩動脈と大腿動脈のいずれにおいても、収縮期圧に著しい差は認められなかった。上肢の非侵襲的血圧測定では、腋窩動脈の測定値と良好な相関が認められた。しかしながら、下肢の非侵襲的測定では、動脈内測定値よりも収縮期圧が著しく高く、3人の患者では大腿カフの圧力を高くしても膝窩動脈上のコロトコフ音を消失させることができなかった。つまりヒル徴候は血圧計による下肢血圧測定のアーチファクトで生理学的根拠はない。

 - 別の研究 -
AR 20例とコントロール50例の血圧(正中動脈と大腿動脈)

💁 ヒル徴候に関する過去投稿は コチラ

(松下記念病院 川崎達也)

2026-04-30

第90回 日本循環器学会学術集会より

📢 心音に関する臨床研究

演題OJ01-8 Utility of a Digital Stethoscope for Severity Assessment of Aortic Stenosis(奈良県立医科大学)
  • 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)外来を受診した大動脈弁狭窄症(AS)患者をデジタル聴診器で評価し、デバイスで割り当てられたAS重症度と心エコー図の重症度を検討。デジタル聴診器はASの重症度を判定するのに有用であり、専門医への紹介を検討する際に、心臓専門医以外の医師にとって実用的なトリアージツールとして役立つ可能性がある。(投稿者追加:使用した聴診器名とその判定基準の記載なし)

演題PE019-6 Simple Auscultation of the Heart for Detecting Valvular Heart Disease(大阪府、松下記念病院)
  • 標準5点聴診とシンプル聴診を、心エコー検査と心音図を行った992人で検討。5点で心雑音が認められないことは、VHDを除外する特異度75.2%、感度58.9%。左胸骨第2縁と心尖部(特異度74.7%、感度59.2%)または左胸骨第3縁と心尖部(特異度74.9%、感度59.1%)に限定した場合も、同様の診断能。(投稿者追記:当院からの英語ポスター発表、演者は初期研修医で発表前に論文完成👍)

演題LBCT3-5 Evaluation of the Diagnostic Utility of Pre-Echocardiographic Digital Auscultation: A Prospective Comparative Study(香川大学)
  • 心エコー検査を受ける240人の患者で、AI分析を行うスーパー聴診器を使用して聴診を先に行い、検査者に結果が開示されるグループと、事前の聴診なしで心エコー検査を受ける対照グループに1:1で割り当て。スーパー聴診器は、収縮期駆出雑音(大動脈弁狭窄症)、逆流雑音(僧帽弁逆流症)、拡張期雑音(大動脈弁逆流症)を、なし~軽度または中等度~重度に分類した。主要評価項目全体で有意差は認められなかった。しかし、聴取可能な心雑音のある患者では、聴診先行群で大動脈弁逆流症の評価が有意に改善された。

演題CRJ27-6 Experience with the Use of an AI-Assisted Digital Stethoscope in Combination with Echocardiography(香川大学)
  • 心エコー検査の前に実施するAI支援デジタル聴診の臨床的有用性を評価。対象は心臓内科および心臓血管外科から心エコー検査のために紹介された患者。デジタル聴診によって得られた弁膜症の診断を心エコー検査の結果と比較では、僧帽弁逆流症と大動脈弁狭窄症については、デジタル聴診は心エコー検査と一致する診断結果。ただし、僧帽弁狭窄症はこの方法では検出されず。(投稿者追記:検討数や診断能などの数値は未記載)

演題PJ67-4 Detection of Moderate or Greater Aortic Stenosis Using a Deep Learning Model with Digital Phonocardiogram in a Multicenter Validation Cohort(AMI株式会社, 熊本大学病院)
  • 心音図(PCG)と単一誘導心電図(ECG)信号を利用して中等度以上の重症度のASを特定する深層学習ベースのモデル(eASモデル)の診断性能を評価。954人の患者のうち、7.3%が中等度以上のASを有していた。eASモデルはAUC 0.962(95%信頼区間:0.946~0.978)を達成。事前に指定された閾値では、感度は92.9%、特異度は87.7%であり、LR+は7.55、LR-は0.08であった。モデルから得られた確率は、心エコー図パラメータと強い相関あり。(投稿者追記:さすがに超聴診器開発元の解析👏)

演題CO1-10 次世代心不全スクリーニングツール:心音・心電図AIシステムとNT-proBNP診断能の比較検証(愛知県、あま市民病院)
  • 超聴診器AMI SSS1による検査を施行した連続347例のうち、NT-proBNP値が前後7日間以内に測定されていない、またはeGFR 30未満の症例を除外した225例が対象。心負荷判定とNT-proBNP値との関連を後方視的に解析。NT-proBNP各値(125/400/900)と心負荷判定を用いたROC曲線分析の結果、> 900 pg/mLと心負荷判定B以上(AUC=0.81)、またはA2以上(AUC=0.81)の相関が最も良好。超聴診器は心不全スクリーニングにおいてNT-proBNP値の代替ツールとして有用である可能性が示唆。

💁 学会に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2026-04-20

フィジカルクイズ(No. 49 & 50)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2026-03-09

フィジカルクイズ(No. 43 & 44)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2026-03-05

📢 心音クイズ4

  • 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)


息切れで来院(肘部で記録).考えられる疾患はどれか.







判定


😐 正解 D
  • この鋭い音はピストル射撃音と呼ばれ,重症の大動脈弁逆流症で聴取することがある.一回心拍出量の増加による末梢動脈圧の急激な上昇に関連する音と考えられている.本例のピストル射撃音は,大動脈弁置換術後に消失した.

(松下記念病院 川崎達也)

2026-02-26

📢 心音クイズ3

  • 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)


心雑音を指摘され受診.もっとも正しいのはどれか.







判定


😐 正解 E
  • 大動脈弁逆流症に伴う典型的な心雑音である.本例ではⅠ音(S1)直後に出現している駆出音にも留意したい.駆出音は様々な疾患で出現するが,日常臨床では大動脈二尖弁が多い(本例は一尖弁).

(松下記念病院 川崎達也)

2026-01-19

ChatGPT(GPT-5.2)の返答

  • AIを仕事で利用する頻度がとても増えました.とんでもない嘘を自信満々で答えるときがあるため,返答を鵜吞みにすることはできません.しかし大いに参考になります(特に基本的な知識がある領域)
  • AIは進化がとても早い領域です.その変化を知るため現時点のレベルをまとめておきます.各設問に対するAIの答えをそのまま記載します.忘れなかったら😅1年後に同じことを最新AIに問うてみます

 
Q1 心尖拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心尖拍動は左心室収縮により生じる胸壁の拍動で、心機能評価に重要な身体所見である。正常では左第5肋間・鎖骨中線上に触知され、範囲は限局する。外側・下方への偏位は心拡大を示唆し、びまん性で強い拍動は左心室肥大や容量負荷を考える。触知困難な場合は肺気腫や肥満が原因となることがある。このように心尖拍動は心疾患の存在や重症度推定に有用である。

Q2 心音の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 心音は心臓の弁運動や血流変化により生じ、心機能や弁膜症評価に重要な身体所見である。第Ⅰ音は房室弁閉鎖を反映し、増強は頻脈や僧帽弁狭窄、減弱は心筋障害を示唆する。第Ⅱ音は半月弁閉鎖音で、分裂の変化は肺高血圧や右脚ブロックなどの診断に有用である。第Ⅲ音は容量負荷や心不全、第Ⅳ音は心室拡張障害を示すことが多い。さらに心雑音の有無や性状から弁膜症や先天性心疾患の推定が可能であり、心音聴診は非侵襲的に循環器疾患を評価できる基本かつ重要な診察手技である。

Q3 頚静脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚静脈拍動は右心系の圧・容量状態を反映する重要な身体所見である。内頚静脈の拍動を観察することで中心静脈圧を推定でき、右心不全、容量負荷、脱水の評価に有用である。正常では半坐位で鎖骨上に軽度の拍動を認める程度であり、明らかな怒張は右心不全、三尖弁閉鎖不全、心タンポナーデ、収縮性心膜炎などを示唆する。波形の観察も重要で、a波増高は右房圧上昇、v波増高は三尖弁閉鎖不全を考える。Kussmaul徴候(吸気時の頚静脈怒張増強)は収縮性心膜炎や右室梗塞に特徴的である。頚静脈拍動は非侵襲的かつ迅速に右心機能を評価でき、循環動態把握に欠かせない所見である。

Q4 頚動脈拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 頚動脈拍動は左心室からの駆出血流を直接反映する重要な身体所見であり、心拍出量や大動脈弁疾患の評価に有用である。正常では立ち上がりが速く、なだらかに下降する拍動を触知する。拍動の減弱や遅延(parvus et tardus)は大動脈弁狭窄を示唆し、逆に強く跳ねるような拍動(bounding pulse)は大動脈弁閉鎖不全や高拍出状態で認められる。二峰性拍動は肥大型心筋症を、拍動の左右差は頚動脈狭窄や大動脈解離を疑う所見となる。また、頚動脈雑音の聴取は動脈硬化性病変のスクリーニングとして重要である。頚動脈拍動の触診・聴診は簡便かつ非侵襲的に全身循環や弁膜症の手がかりを得られるため、循環器診察における基本かつ不可欠な所見である。

Q5 傍胸骨拍動の臨床的意義を200語程度にまとめてください
  • 傍胸骨拍動は胸骨左縁で触知される心拍動で、主に右心系や心室負荷の状態を反映する重要な身体所見である。正常では明瞭に触知されないが、持続的で強い傍胸骨拍動は右心室肥大や右心系圧負荷を示唆する。肺高血圧、肺動脈弁狭窄、慢性肺疾患に伴う肺性心などで認められることが多い。また、胸骨左縁下部での拡張期に強い拍動は右心室容量負荷や三尖弁閉鎖不全を考える手がかりとなる。心室中隔欠損などでは拍動が増強する場合もある。傍胸骨拍動は視診・触診のみで評価可能であり、右心機能や肺循環異常を推定するうえで有用な、基本的かつ重要な循環器身体所見である。


(松下記念病院 川崎達也)

2026-01-15

成功体験

- 息切れで来院した症例 -

👀 解説
  • 通常時には爪床に特記すべき異常所見なし
  • 爪床の圧迫時に色調変化(クインケ徴候)
  • おまけ:検者の爪床にはクインケ徴候なし

😊 独り言
  • 本例は心音で明瞭な拡張期雑音を聴取しました.そこで循環器外来を見学していた初期研修医1年目の先生に爪床を圧迫してもらいました.
  • すると明瞭な拍動が出現したため,大動脈弁逆流と診断してくれました.その後に行った心エコー図でも高度の大動脈弁逆流を認めました.
  • その先生はとても感動していました.このような成功体験を積むことが身体所見を学ぶ近道です.ただし志望は循環器以外のようですが...

(松下記念病院 川崎達也)

2026-01-12

フィジカルクイズ(No. 35 & 36)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2026-01-01

三徴候の共存 🎍 元旦

労作時の息切れで来院例(座位)

😐 解説
  • 頚部の上1/3(顎下)に陥凹(右向き矢印)
  • 吸気負荷で別の部位に隆起(左向き矢印)
  • 拍動はいずれも不規則 ➜ 心房細動の疑い
  • 外頚静脈の怒張 ➜ クスマウル徴候(矢頭)
  • 内頚静脈の陥凹+外頚静脈怒張 ➜ 心不全
  • 頚動脈隆起(コリガン脈)➜ 大動脈弁逆流
  • 心エコー図では中等度の大動脈弁逆流あり
  • 最終的にARとAFを伴った心不全と診断した

💟 現場実況
  • 本例で初診時に身体所見を確認したときには,安静時の内頚静脈の陥凹が吸気後には隆起(ランチシ徴候)へ変化しました.もちろんこれで,中心静脈圧が高度に上昇した非代償性心不全と診断できました.
  • その後,看護師さんと車いすで検査に回ってもらいました(心電図や胸部X線,採血).その後の結果説明時(←この時に上記動画を記録)には,ランチシ徴候はなく代わりにクスマウル徴候を認めました.
  • 本例は吸気後に頚動脈拍動(コリガン脈)を認めます.よく見ると安静時にもすでにありそうです.通常,吸気で頚動脈所見は変化しません.本例は筋緊張などが加わり拍動が顕性化したと考えられました.

(松下記念病院 川崎達也)

2025-12-22

シーソー

動悸と息切れで来院した症例(座位)

😗 解説
  • 右頚部に隆起性の拍動あり(矢印)
  • 左側にも隆起性の拍動あり(矢頭)
  • 右側の隆起は左側より先行している
  • よく見ると右側拍動は隆起後に陥凹
  • 左側の拍動は隆起のみ(陥凹なし)
  • 心エコー図では重症の大動脈弁逆流
  • 最終診断はARによる非代償性心不全

💫 追加コメント
  • 右側隆起は前収縮期で用手的に容易に圧迫 ➜ 頚静脈の増高a波
  • 左側隆起は収縮期で用手的圧迫は困難 ➜ 頚動脈のコリガン脈
  • 注意深く診察すれば視診だけで両者の鑑別は可能と思われます
  • そしてこの組み合わせならARの非代償性心不全と診断できます

(松下記念病院 川崎達也)

2025-12-15

心音クイズ(Q13・Q14)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第三弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏 レイアウトも一新).今回は臨床現場でしばしばお目(耳?)にかかる2症例です.もっとも少しひねりを効かせた(聴かせた?)症例です 😉
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2026年2月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


(松下記念病院 川崎達也)

2025-11-27

今週の一枚 🎯 SNAP診断

健診で心雑音を指摘された男性(座位)

😋 解説
  1. 両側頚部に周期的な陽性拍動(矢印)
  2. 拍動は鋭く鎖骨上窩→顎下まで一瞬
  3. このような両側の迅速隆起は動脈性
  4. 予想通り心エコー図で大動脈弁逆流
  5. 機序は一回拍出量の増加による速脈

💁 おまけ

(松下記念病院 川崎)

2025-11-06

有名ですが…実臨床では…

心雑音を指摘された症例(座位)

😎 解説
  • 頚部の中央右側に周期的な拍動あり
  • 隆起なので動脈性か静脈性の鑑別要
  • 用手的な圧迫で消失せず動脈と判断
  • 最終診断は中等度大動脈狭窄兼逆流
😑 つぶやき
  • 大動脈弁狭窄の頚動脈拍動は特徴的な変化を示すことが知られています。例えば遅脈(遅い立ち上がり+小さい振幅+長く持続)や、shudder(微細な振動)などです。しかし実臨床でこのような典型例を示す例はむしろ稀です。
  • 本例のように大動脈弁逆流を伴ったり、加齢に伴う動脈の蛇行が加わるので、頚動脈の視診・触診のみで診断することはお薦めしません。頚動脈所見の基本を押さえた上で(下表)、聴診などを加味した総合的な判断が望まれます。

(松下記念病院 川崎達也)

2025-10-27

フィジカルクイズ(No. 27 & 28)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



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(松下記念病院 川崎達也)

2025-09-08

Gerhardt sign ゲルハルト徴候

  • 大動脈弁逆流で出現する左上腹部の拍動(脾臓の収縮期拍動)
  • 命名はドイツの医師 Carl JAC Gerhardt(1833-1902)に由来
  • ただし脾臓の動脈性拍動の初報は Nicolaes Tulp (1594–1674)
  • ザイラー徴候とも呼ばれている(Am Heart J 1928;3:447-53)

 

😐 コメント
  • 上記の動画はローゼンバッハ徴候(大動脈弁逆流による肝拍動)でリンクした動画と同じものです.脈圧の開大(大脈)に伴う肝拍動と脾臓拍動は基本的に同じ現象ですが,ネット上に動画としてはほとんど検索しません.綺麗な動画が記録できたらぜひアップをお願いします(投稿者も努力します) 

(松下記念病院 川崎達也)

2025-09-01

フィジカルクイズ(No. 19 & 20)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



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(松下記念病院 川崎達也)