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2026-06-01

エワルト徴候 Ewart sign

  • 大量の心膜液が貯留した時にみられることがある局所的な肺の聴打診所見
  • 心膜液で左肺底部が圧迫され左肩甲骨下角下方に打診上の濁音域が生じる
  • 通常は左側(稀に右側)に触覚振盪の増強と吹鳴呼吸音(blowing sound)
  • 英医師 William Ewart (1848-1929) の報告に由来(Br Med J 1896;1:717–21) 
  • 別名はBamberger–Pins–Ewart徴候(循環器学用語集に収載)やPins症候群


Dr. Ewartの実際の報告より ← 130年前の論文が読めます)

💁 打診に関する過去の投稿は コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2026-05-28

意外な事実:ヒル徴候

- 労作時の息切れで来院した症例 -

👀 解説: ヒル徴候 陽性(Positive Hill's sign)
  • ABI(足関節上腕血圧比)の低下なし(高値) 
  • 血圧値は上肢より下肢で著増(>60 mmHg) 
  • 最終診断は重症 大動脈弁逆流による心不全

😲 ヒル徴候の機序💦
  • 重度の大動脈弁閉鎖不全症と診断された5人の患者において、動脈内圧測定では大動脈と大腿動脈、または腋窩動脈と大腿動脈のいずれにおいても、収縮期圧に著しい差は認められなかった。上肢の非侵襲的血圧測定では、腋窩動脈の測定値と良好な相関が認められた。しかしながら、下肢の非侵襲的測定では、動脈内測定値よりも収縮期圧が著しく高く、3人の患者では大腿カフの圧力を高くしても膝窩動脈上のコロトコフ音を消失させることができなかった。つまりヒル徴候は血圧計による下肢血圧測定のアーチファクトで生理学的根拠はない

 - 別の研究 -
AR 20例とコントロール50例の血圧(正中動脈と大腿動脈)

💁 ヒル徴候に関する過去投稿は コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2026-05-25

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2026-05-21

バルサルバ負荷(⽇本⼼エコー図学会)

  • バルサルバ負荷はシンプルですが実に奥が深い手技です(下の表).日常臨床でルーチンに行っていますが,その方法は必ずしも統一されていません(多分)
  • 今回,⼀般社団法⼈ ⽇本⼼エコー図学会から負荷⼼エコー図検査実施のための⼿引き「バルサルバ負荷⼼エコー図検査」が発⾏されました(2026年3⽉13日)
  • 詳細は原本参照ですが,簡単には「バルサルバ負荷を行いながら血流速波形を観察 → いきみを開始した第Ⅱ相の状態で10~12秒間ほどで評価」(下の図3)


💁 バルサルバ負荷に関する過去投稿は コチラ

松下記念病院 川崎達也)

2026-05-18

論文 🏆 低灌流の身体所見パート2

  • 当院で行った臨床研究が論文になりました.Kasai K, Kawasaki T. Peripheral Perfusion Index as a Marker of Hypoperfusion in Heart Failure. Cardiology 2026 Feb 9:1-10. Epub ahead of print. (PMID: 41662304
  • 以前に当科から,心不全症例の低灌流を反映する身体所見の中で,腋窩と指先の温度差および指先の冷感の有無はいずれも,Nohria-Stevenson分類と同程度のリスク分類に利用できることを報告(Cardiology 2025 May 5:1-11
  • 今回は簡便かつ客観性のある指標 Perfusion Index (PI) を用いた検討です.PIはパルスオキシメータの拍動性血流成分と非拍動性血流成分の比から算出される指標で,心不全例でのリスク評価は初めてと思われます.

- 心不全例の末梢PIと心血管事故 -

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)