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2026-07-16

ここまでは視診で診断

2週間前からの動悸と息切れで来院

🔒 解説
  • 両側の外頚静脈が隆起(呼吸変動なく怒張)
  • 頚部に拍動ありそう → 陥凹の疑い(矢頭)
  • 左だが内頚静脈の視認なら非代償性心不全
  • その拍動は規則正しく早い(>100回/分)
  • 病歴からも頻拍誘発性の心筋症が疑われた
  • 最終診断は2:1伝導の心房粗動による心不全

😶 独り言
  • 座位での外頚静脈の視認は必ずしも心不全とは言えません。頚部の筋緊張等で静脈灌流が阻害されることがあるためです。しかし本例のように両側で怒張している場合は、中心静脈圧の上昇が疑われます。なお怒張という用語は注意を要しますが(過去の投稿)、本例ではOKです。
  • 本例の頚部の拍動は内頚静脈の陥凹です(陥凹時間<隆起時間)。しかし一見、隆起か陥凹かの区別が難しいかもしれません。これは特に頻脈症例で多いと思いますが、こういう場合は右側よりも左側の方が分かりやすい症例があります。なお隆起なら頚動脈拍動との鑑別が必要です。
  • 動脈か静脈かの鑑別は触診をすればすぐに分かると思います。しかしそこはじっと我慢して、視診でどこまで診断に迫れるかが腕の見せ所です。頚静脈拍動から不整脈の鑑別も可能ですが(過去の投稿)、そこはフロックサインを除きあまり拘らないようにしています(苦い思い出)。

松下記念病院 川崎達也)

2026-07-13

フィジカル広場✨LIVE

  • 身体所見は、画像診断が発達した今日でも大切です。診断に役立つだけでなく、臨床に彩りを添え、診療を楽しくしてくれるからです。そんなベッドサイド技術をリアルに学ぶ場がフィジカル広場ライブです。
  • 職種や学閥の垣根を越え、誰もが身体所見を学べる場の創設を目指しました。また日頃、皆様が抱いておられる疑問や悩みを解決できるよう、双方向型のスタイルを採用しています。願いは医療の質の向上です。
  • 身体所見の達人による30分のレクチャー後に、30分の質問コーナーがあります。参加費は1回ワンコイン(500円)で、1週間のオンデマンド視聴付。明日からの臨床にきっと生かせる知識をお届けいたします。


😎 独り言
  • 講師の先生方に抑えた謝礼で協力してもらっても、当面は赤字運営です。しかし参加者が増加してくれば、継続配信できる目算は充分にあります。それまでは何とか持ちこたえるつもりです。
  • 視聴者からの質問はQ&Aからですが、挙手時にはホストがカメラと音声の権利を付与するつもりです。理想は以前に関西であった「UCG談話会」のようなワイワイ・ガヤガヤした雰囲気です。

松下記念病院 川崎達也)

2026-07-09

フィジカルでここまで分かる

息切れを訴える症例(座位)

🔎 推理
  • 座位で右頚部に周期的な隆起を認める(矢頭)。左側ではあまり隆起が目立たないことより、頸動脈の拍動(コリガン脈)よりも頚静脈の拍動(ランチシ徴候)と考えられる。よって中心静脈圧は高度に上昇しているため、非代償性心不全と診断できる。
  • 次に心尖部を確認すると複数の肋間で心尖拍動を視認するため(矢印)、心拡大が疑われる。さらに男性であるにも関わらず、乳房が発達している(女性化乳房の疑い)。つまりスピロノラクトンなどミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の服用が疑われる。
  • さらに左前胸部に埋め込まれているデバイスは通常よりも大きいため、CRTD(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)等と思われる。これらすべてに合致するのはHFrEFで、肋間筋の萎縮も考慮すると悪液質に陥ったステージDの重症心不全の疑い。

🎩 独り言
  • 上記の予想はすべて正解です。まるでシャーロック・ホームズの推理でしょうか? 彼の推理は微細な事実の観察と、そこから論理を組み立てる推論の組み合わせです(AI解説)。
  • 身体所見も少し慣れれば、同じことができるかもしれません。以前にもフィジカルでここまで分かったという症例をアップしているので、よろしければご覧ください(ココ)。

松下記念病院 川崎達也)

2026-07-06

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2026-07-02

👀これから眼にも着目

  • 重度の三尖弁逆流(TR)による眼球の収縮期突出の報告を読みました(Open Med (Wars) 2026 Mar 20;21(1):20261395)。これまでの文献上の報告はわずか7例で、本稿では新たに2例を報告しています。
  • この所見の初報は、エモリー大学のJ. Willis Hurst(1920 – 2011)らのようです(Am J Cardiol 1970 Oct;26(4):351-4)。重鎮ハースト先生は心臓病学のテキスト(通称Hurst's The Heart)などで高名
  • 同眼球所見の機序は、頚静脈の収縮期陽性波(Lancisi徴候)と同様に、TRによるCV波と思われます。大動脈弁逆流症に伴う収縮期眼球突出(Pulsatile pseudo-proptosis)の方が少しだけ有名?
  • 個人的にはTRに伴う”こめかみ”の拍動を経験しています(勝手に命名:こめかみサイン)。論文で前額静脈の拍動を見たことがあります(過去の投稿)。これからはTRがあれば眼にも着目しなくては…

心不全で入院した44歳男性(平均右房圧23 mmHg)

Open Med (Wars) 2026 Mar 20;21(1):20261395/残念ながら動画なし)

💁 三尖弁に関する過去の投稿は コチラ(PCなら右欄からも選択可能)

松下記念病院 川崎達也)