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2022-07-04

心尖拍動:凹と凸

労作時の息切れで来院した女性の心尖拍動(白タオルは乳房上)

🐤 解説
  • 持続時間の長い心尖拍動+外側偏位の疑い(≒ 心肥大+心拡大)
  • 心尖拍動は収縮期に陥凹(systolic retraction)➜ 収縮性心膜炎?
  • よく見ると内側陥凹(↓)と同じタイミングで外側は隆起(▽)
  • 本例の最終診断は複数の弁膜症による慢性心不全(肺高血圧あり)

🐦 独り言
  • 本例は右室拡大や右室肥大はなく,左室の心尖拍動(隆起=凸)の牽引による右心尖周囲の偏位(陥没=凹)かな〜と考えました.
  • 凹と凸の時間関係に注目すると,先に凸が生じて少し遅れて凹が続いているようです 😳 心室収縮は左心ファーストが基本ですし...

松下記念病院 川崎達也)

2022-06-30

🎯 今週の一枚 (ちょっと番外編ですが胸痛なので...)

定期薬を服用後に胸痛を自覚した症例



松下記念病院 川崎/杉原)

2022-06-27

傍胸骨拍動の呼吸負荷

息切れで紹介受診した症例の傍胸骨拍動

🐦 解説
  • 第3肋間胸骨左縁に置いた聴診器の周期的な上下運動を確認
  • 隆起は待機時間の長い抬起性(容量負荷より圧負荷を示唆)
  • 深吸気保持を追加しているが傍胸骨拍動の所見に著変はない
  • 心エコー図で推定された肺動脈の収縮期圧は60mmHg程度

🐤 つぶやき
  • 頸静脈評価では吸気負荷(クスマウル徴候の有無の判定)が汎用されています(多分😅).しかし傍胸骨拍動の評価では,呼吸負荷の追加は一般的ではないと思います.個人的には時々行っていますが,あまり有用性を実感することはありません(本例でもそうでした).
  • 吸気負荷では中心静脈圧に加えて肺動脈圧や体血圧も上昇することが知られています(下図).よって理論上は吸気負荷で傍胸骨拍動も増強されるはずです.問題は吸気時に胸腔容積が増大して右室と胸骨の密着度が低下することです.きっと相殺されるのでしょうね.


松下記念病院 川崎達也)

2022-06-23

爪から重症度判定?

検診で心雑音を指摘された症例

😄 解説
  • テーブル上に置いた右示指に特記すべき異常なし(傷は小石を扱う職業)
  • 指先を下方に押し付けると爪床に周期的な色調変化が出現(クインケ脈
  • よく見ると爪床だけでなくて指先端にも色調変化あり(動画中の矢印)
  • 指先圧迫を解除すると爪床〜指先全体に認めた色調変化も消失している
  • 拡張期雑音があり(ランブルなし),エコーでは中等度は大動脈弁逆流

😎 つぶやき
  • 大動脈弁逆流症によるクインケ脈(Quincke pulse)は本ページに何度も登場しています.大動脈弁逆流では肘の水槌脈と同じくらいよく認める身体所見と思います.
  • クインケ脈はそのまま認めることもありますが(自験例),通常は他動的な爪の圧迫(自験例)や自動的な指先の圧迫(本例)を加えると検出感度が上昇します.
  • 誘発方法(負荷不要>他動的圧迫>自動的圧迫)と出現部位(指先全体>爪床のみ)の組み合わせから,大動脈逆流の重症度判定がある程度可能と思っています.

松下記念病院 川崎達也)

2022-06-20

🏆 論文

🎉 当院の循環器内科で行われた臨床研究が出版されました 🎉 

  • 対象は心不全で松下記念病院に入院した138例です.退院前に簡易定性法による頸静脈評価に加えて,吸気負荷を追加しました.
  • 退院後の予後は,安静時に拍動を認めた症例(下図の)で心事故(死亡または心不全再入院)が有意に高率でした(予想通り).
  • さらに安静時には視認しなくても吸気負荷で拍動が出現する症例(クスマウル徴候陽性)も同様に予後不良でした(下図の).


😀 負荷頸静脈
  • 循環器疾患は負荷することで診断の感度と特異度を改善することができます.負荷心電図,負荷心エコー図,負荷心筋シンチグラフィしかりです.最近は心臓カテーテル検査時にも負荷を行う機会が増えてきました(冠血流予備量比など)
  • もちろん身体所見にも負荷はありますが,臨床現場ではあまり用いられていないように思います.当院では2020年に6分間歩行後の頸静脈所見が心不全症例のリスク評価に有用であることを報告しました(Am J Cardiol 2020;125:1524-8).
  • 6分間歩行は運動可能な症例に限定かつ診察室での施行は不可能です.本論文はこれらの問題点を克服するために実施されました.クスマウル徴候が陽性の症例は,安静時に拍動が視認できる症例と同程度に予後不良であることは驚きです.

💁 論文の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)