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2025-11-17

螺旋状毛 Corkscrew hair

  • 先日,コルクスクリュー(corkscrew hair)に関する報告を立て続けに眼にしました.きっとそのうちに循環器外来でも出会うと思うので(既に遭遇しているも気付かずスル〜?😥),ここにアップしておきます.

- 皮下出血で来院した若者 -

😎 解説
  • 左大腿後面に皮下出血あり(パネルA)
  • 四肢全体に毛包性紅斑あり(パネルB)
  • ダーモスコピーで螺旋状毛(パネルC)
  • 生検で表皮出血と毛包開口部の縮れ毛
  • 本症例の最終診断は壊血病(Scurvy)

😑 螺旋毛:深掘り
  • 壊血病の典型的な皮膚症状の一つで,ビタミンC欠乏症に起因するコラーゲン合成障害によって発生
  • 他の原因には頭部白癬(Tinea Capitis)や外胚葉異形成症候群(Ectodermal Dysplasia Syndromes)


松下記念病院 川崎達也)

2025-11-13

手抜きダメ

10年前にペースメーカ植込み術を受けた症例
ひと月前から息切れ(座位ですべて吸気後)

😐 解説
  • 頚静脈の拍動なし(ただし下部は見えず)
  • 吸気後の鎖骨上窩にわずかに陥凹あり?
  • 立ち上がって診察室内を2周してもらった
  • すると頚部の中央に明瞭な陽性波(矢印)
  • 触診にて動脈拍動でなく静脈拍動を確認
  • 本例は最終的に心不全と診断(HFpEF)
  • ペースメーカ本体も確認したが問題なし

😞 現場実況
  • 長年安定している症例でありシャツの襟を立てたまま観察(反省)
  • 安定しているというバイアスで鎖骨上窩の拍動もスルー(反省2)
  • 患者さんの訴えが強くしぶしぶ歩行負荷を追加で陽性波(反省3)

松下記念病院 川崎達也)

2025-11-10

フィジカルクイズ(No. 29 & 30)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-11-06

有名ですが…実臨床では…

心雑音を指摘された症例(座位)

😎 解説
  • 頚部の中央右側に周期的な拍動あり
  • 隆起なので動脈性か静脈性の鑑別要
  • 用手的な圧迫で消失せず動脈と判断
  • 最終診断は中等度大動脈狭窄逆流
😑 つぶやき
  • 大動脈弁狭窄の頚動脈拍動は特徴的な変化を示すことが知られています。例えば遅脈(遅い立ち上がり+小さい振幅+長く持続)や、shudder(微細な振動)などです。しかし実臨床でこのような典型例を示す例はむしろ稀です。
  • 本例のように大動脈弁逆流を伴ったり、加齢に伴う動脈の蛇行が加わるので、頚動脈の視診・触診のみで診断することはお薦めしません。頚動脈所見の基本を押さえた上で(下表)、聴診などを加味した総合的な判断が望まれます。

松下記念病院 川崎達也)

2025-11-03

なるほどの説得力

  • ちょっと面白い論文を眼にしたので本ページでも共有します(US Cardiol 2025:19:e16
  • 座位から前屈すると内頚静脈のサイズが拡大することをエコーで確認(下の図と動画)
  • 臨床的意義がある心不全症例ではエコーを使わなくても身体所見で判定可能(自験例


松下記念病院 川崎達也)