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2026-07-02

👀これから眼にも着目

  • 重度の三尖弁逆流(TR)による眼球の収縮期突出の報告を読みました(Open Med (Wars) 2026 Mar 20;21(1):20261395)。これまでの文献上の報告はわずか7例で、本稿では新たに2例を報告しています。
  • この所見の初報は、エモリー大学のJ. Willis Hurst(1920 – 2011)らのようです(Am J Cardiol 1970 Oct;26(4):351-4)。重鎮ハースト先生は心臓病学のテキスト(通称Hurst's The Heart)などで高名
  • 同眼球所見の機序は、頚静脈の収縮期陽性波(Lancisi徴候)と同様に、TRによるCV波と思われます。大動脈弁逆流症に伴う収縮期眼球突出(Pulsatile pseudo-proptosis)の方が少しだけ有名?
  • 個人的にはTRに伴う”こめかみ”の拍動を経験しています(勝手に命名:こめかみサイン)。論文で前額静脈の拍動を見たことがあります(過去の投稿)。これからはTRがあれば眼にも着目しなくては…

心不全で入院した44歳男性(平均右房圧23 mmHg)

Open Med (Wars) 2026 Mar 20;21(1):20261395/残念ながら動画なし)

💁 三尖弁に関する過去の投稿は コチラ(PCなら右欄からも選択可能)

松下記念病院 川崎達也)

2026-06-29

腋窩は診てませんでした😔

  • 重症の大動脈弁逆流症によるフィジカルの短報を見かけました(Eur Heart J Case Rep. 2026 Feb 6;10(2):ytag074)。大脈(速脈)を反映する身体所見で、水槌脈(Water-hammer pulse)や反跳脈(Bounding pulse)、コリガン脈(Corrigan pulse)などと呼ばれています。
  • これは特に目新しい所見ではなくて、このブログにも何度も登場しています(ココ)。本例がEur Heart J Case Repに掲載された理由は、場所が腋窩だからかな~と予想します。そういえば僕自身も腋窩を確認したことはありませんでした...... ( 〃..)ノ  ハンセイです

📗全文(AI訳)と図
  • 78歳の男性が、長期間にわたる進行性の呼吸困難の既往歴の後、起坐呼吸と安静時の呼吸困難を主訴として救急外来を受診した。身体診察では、うっ血性心不全の兆候、広い脈圧(144/43 mmHg)、心尖拍動の側方偏位、および大動脈弁逆流を示唆する高音の漸減性早期拡張期雑音が認められた。特に腋窩動脈において、顕著で規則的な末梢動脈拍動が認められ(ビデオSA)、急速な上昇と突然の虚脱を示した。この目に見える水槌脈(ワトソン脈とも呼ばれる)は、大動脈弁逆流の特徴である。これは、大動脈の急激な拡張を伴う一回拍出量の増加、それに続く大動脈から左心室への血液の逆流による拡張期虚脱の誇張によって生じる。心エコー検査により、重度の大動脈弁逆流に加え、著明な左心室拡張および収縮機能障害が確認された。

松下記念病院 川崎達也)

2026-06-25

安静陽性なら負荷は必須ならず

先天性心疾患術後例の息切れ

🔒 解説
  • 胸部正中に手術瘢痕(問診でファロー四徴症と判明)
  • 座位で内頚静脈の陥凹(矢頭)→ 非代償性心不全
  • 吸気負荷で鎖骨上窩の内頚静脈拍動は一見、不明瞭
  • しかしよく見ると頚部中央に拍動が出現(矢印群)
  • 下腿浮腫はなく、心音は汎収縮期逆流性雑音+Ⅲ音
  • 最終診断は亜急性の僧帽弁逆流(腱索断裂の疑い)

🔓 独り言
  • 安静座位で頚部に視認する内頚静脈の拍動は高度の中心静脈圧の上昇を示唆します。この代償が破綻した状態が、吸気で改善することは(経験的にも)ないと考えます。
  • しかし本例のように、吸気で拍動が不明瞭になる症例を稀ながら経験します。その多くは頚部の筋肉(特に胸鎖乳突筋)の緊張に伴う静脈拍動の不明瞭化と考えます。
  • ご存じのように下腿浮腫は心不全で出現する身体所見の一つですが、特異性はありません。また本例のように比較的急な経過で増悪した心不全では、下腿浮腫は稀です。

松下記念病院 川崎達也)

2026-06-22

循環器フィジカル - 100本ノック -


循環器領域の身体所見を学習するために作成された無料アプリ「循環器フィジカル -100本ノック-」の動画版です.2026年4月から循環器Physical Examination講習会の公式SNSに毎週金曜日にアップしています.こちらのコンテンツにも2週分ずつまとめてアップします.

👻「フィジカルノック」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2026-06-18

心尖拍動:収縮後期バルジ(late systolic bulge)

心筋梗塞の既往がある症例

😋 解説
  • 臥位で明瞭な心尖の拍動あり
  • 拍動は左乳輪外側 → 心拡大
  • 隆起の長い抬起性 → 心肥大
  • 橈骨動脈の拍動から時相分析
  • 隆起は収縮の後期 → 心室瘤
  • 実際に心エコー図でその通り

💁 心尖拍動とは
  • 心尖拍動は,心臓の,特に左室機能を評価する大切な動きです.その定義は「the most lateral palpable ventricular movement or the most lateral cardiac impulse」,「the outward movement of the left ventricular apical region」で,一般的には,胸壁上に触れる最外側の拍動とされています.心尖拍動は左室心尖部の運動を反映し,主に左室の内圧と容積の変化によって形成されますが,その拍動の性質および記録した波形は,心外性要件,すなわち胸壁と心臓との結合(coupling)の状態に大きく影響されます(例:心膜,開心術後). 
  • 心尖拍動の評価ポイントは,①位置(normal position, lateral deviation),②広さ(narrow, wide),③性状(tapping, sustained)の3つで,そのなかでも性状が大切です.そして,心尖拍動を客観的に波形として記録し,その性状を示したものが心尖拍動図です.心尖拍動を測る際には,左半側臥位のほうが仰臥位よりも圧倒的に触知率が高く,また仰臥位と左半側臥位では波形および計測値が異なるため,記録体位は左半側臥位に統一したほうがよいでしょう.

引用)黒木 茂広先生の解説そのまま(medicina 2015;52:pp.762-3

松下記念病院 川崎)