息切れで来院例の心尖拍動 (座位)
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解説
- 座位で明瞭な心尖拍動を視認(動画の矢印)
- 男性で拍動の最外側は乳輪の外側 ➜ 心拡大
- 収縮期隆起は長い持続(抬起性) ➜ 心肥大
- 心尖拍動は規則的でない ➜ 心房細動の疑い
- 最終診断は肥大型心筋症+心房細動の心不全
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独り言
- 肥大型心筋症で心室拡大をきたす例(拡張相あるいはend-stage)は稀で,通常は心尖拍動は乳輪内側に位置します.しかし病態が進行すると心房の拡大を呈するため,心室拡大がなくても心尖拍動は外側(下方)に偏位します.
- 実際に左房容積が心尖拍動の左方偏位に最も関連する因子であることが報告されています(J Cardiol 2021;78:136-41).心拡大は心室 and/or 心房の拡大を意味すると思われるので,心拡大≠左室の内腔拡大でない点に要注意
息切れで来院(血液疾患で化学療法中)
😐 解説
- 眼周囲の明瞭な浮腫(puffy eyes)
- 浮腫は下眼瞼より上眼瞼で目立つ
- 浮腫の部分は心持ち蒼白?(pale)
- 座位で右側内頚静脈の拍動は陽性
- 心音はギャロップ+全収縮期雑音
- 最終診断は薬剤性心筋症(HFrEF)
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心不全 vs 眼
- 眼瞼浮腫は必ずしも病的とは言えません(寝不足や号泣後).しかし本例のように上眼瞼が主体の浮腫なら心不全を想起させます(ただしエビデンスは見つからず)
- 眼瞼浮腫で発赤がないことは炎症やアレルギーに伴う変化の除外に有用と思われます.(本例は血液疾患による貧血に加えて,心不全による血液の希釈も影響?)
- 心不全の浮腫と言えば下腿浮腫ですが,眼瞼や陰嚢などにも出現することがあります.心不全での眼瞼浮腫の頻度を調べましたが見つけることができませんでした.
- 心不全ガイドラインには「下腿(末梢あるいは四肢)の浮腫とそれ以外の浮腫」という分類がされています.「眼」という漢字は一つも記載されていませんでした.
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循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた
physical
examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
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2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.
👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
発熱と嘔吐を訴える高齢者(大動脈弁位生体弁)
🚑 救急現場
- 眼球結膜 ➜ 点状出血
- 口腔粘膜 ➜ 点状出血
- 指先 ➜ 紅斑(無痛性)
- 聴診で収縮期雑音あり
- 心エコー図は描出困難
- 血培からMRSA 2セット
- 診断は感染性心内膜炎
🐙 追加コメント
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本例はTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)後であり,感染性心内膜炎の有無にかかわらず収縮期雑音を聴取します(雑音の音量変化は不明).また心エコー図では肺気腫のためか,良好な画像を得ることができませんでした(疣腫の有無は判定不能).でも疾患特異性がとても高い末梢サインが診断の決め手になりました.
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本例は基礎病態+発熱+典型菌+末梢サインなので,感染性心内膜炎の臨床的基準を満たします(本邦のガイドライン).2023年改訂のDuke-ISCVIDクライテリアでも,例えば38度以上の発熱+血液培養で典型的微生物+基礎疾患(先天性心疾患など)+末梢サインなら,心エコー図の前に感染性心内膜と診断できます.
👻 感染性心内膜炎に関する過去の投稿 ➜
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(投稿者 川崎)
- 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)
健常者の心音である.記録部位はどこか.
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正解 A
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健常者ではⅠ音(S1)は低調で長く心尖部優位で,Ⅱ音(S2)は高調で短く心基部優位です.
- このパターンを耳にしっかり刷り込んでおけば,S1の減弱やS2の亢進に気づき易くなります.