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2021-09-30

こだわらない方も多いと思いますが…

😗 確認事項
  • ローマ数字 = I, II, III, IV, V, VI, VII, VIII, IX, X...
  • アラビア数字 = 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10...

😅 マイルール
  • 心音の表記は基本的にローマ数字 ➜ I音,II音,III音,IV音
  • 心音でアラビア数字を使いたい時 ➜ 第1音,第2音,第3音,第4音
  • 心雑音のレバイン分類はアラビア数字 ➜ 1度,2度,3度,4度,5度,6度

※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-27

頸静脈クイズ

便秘と急激な体重増加で消化器内科を受診した症例(座位で記録)



松下記念病院 川崎達也)

2021-09-23

👴 歴史クイズ

(Public Domain)



松下記念病院 川崎達也)

2021-09-20

ギャロップ=襲歩

🐎 馬のには基本的に4種類の 歩法 ほほう があります

英名 邦名 速度(平均)
Walk 常歩(なみあし) 6 km/h
Trot 速歩(はやあし) 13 km/h
Canter 駈歩(かけあし) 20 km/h
Gallop 襲歩(しゅうほ) 69 km/h

(Public Domain: Horse gait in Wiki)

🐴 独り言
  • ギャロップは通常,過剰心音を伴った頻脈時に聴取されますが,頻脈は必須でないという方も少なくないと思います.したし馬の一歩法であるgallopの邦訳が襲歩(しゅうほ)であることを考慮すると,個人的にはギャロップに頻脈は必要だと思っています.
  • 臨床現場ではあまり耳にしませんが,比較的遅い脈拍で過剰心音を伴うときはcanter(キャンター)と言うことがあるようです.いわゆる三部調ですが,これはまさに上記表の駈歩です.様々な心音を聞いて自分基準を持ってください ➜ ギャロップ音辞典

※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-16

😩 心電図前に診断できたらカッコよかったのに...

突然発症の胸痛でERに搬入された症例



松下記念病院 川崎達也)

2021-09-13

へグリン症候群 Hegglin syndrome

  • QT延長とQ-IIA(Ⅱ音の大動脈成分)短縮(その差≧40 msec:下図)を示す病態(≒II音の早期出現)
  • 原発性の心筋エネルギー代謝障害に由来する心不全でHegglinらが提唱した観念(Klin Wschr 1937;16:1146-7)
  • 同病態では心筋線維の"Adynamie"のために心室の力学的・電気的収縮の終了を待たずに半月弁が閉鎖する
  • 様々な疾病(特に末期)で出現:悪性腫瘍,肝疾患,代謝性疾患,腎不全,重症の薬物中毒,下痢など


😲 独り言
  • 時代を反映した病態で,現在ではその診断意義は乏しいように思われます.しかし心音図や心機図が大活躍した時代で,心臓の代謝まで評価しようという試みにはとても驚かされます.心音の奥深さを再認識しました.

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-09

心+肺=心配です

消化器疾患の術前症例:端座位の左前胸部(通常呼吸)

🐌 解説
  • 左乳輪下に周期的な心尖拍動 ➜ 2肋間にわたるため心拡大(基準
  • 心尖拍動(本例は陥凹)の持続時間が長く抬起性 ➜ 心肥大もあり
  • よく見ると心尖とは独立した肋間の陥凹(矢印)➜ フーバー徴候
  • 本例の最終的な診断は陳旧性心筋梗塞+高血圧性心疾患+肺気腫
  • 周術期リスクは低くないが十分に説明し同意を得た上で手術施行

🐑 独り言
  • 心尖拍動が収縮期の陥凹(systolic retraction)であったため収縮性心膜炎が一瞬頭をよぎりました.しかし頸静脈にフリードライヒ徴候クスマウル徴候典型的な自験例)はなく,ノック音も聴取したなかったため今回は冷静でした(前回の失敗
  • COPDに心疾患が合併する場合,心尖拍動は収縮期陥凹が稀ではないかもしれません.肺が過拡張しているため陥凹として視認される方が理にかなっています.ただしCOPDでは心尖拍動は観察されない or 心窩部へ移動していることが基本です(

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-06

トラウベの三角形 Traube's space

  • 第六肋骨〜前腋窩線〜左肋骨弓で囲まれるスペースで通常は胃内のガスによる鼓音あり
  • この領域に濁音界があれば脾腫の感度は62%,特異度は72%(JAMA 1993;270:2218-21
  • ドイツの医師 Ludwig Traube (1818–1868)が発見(血栓症で有名なVirchowの同僚です)
  • ただし報告したのは弟子 Fraentzel(Berliner klinische Wochenschrift 1868;5:509-11)


  • 上図の黒線で囲まれる部分がトラウベの三角形で,脾腫を判定する他の打診は下記の方法がある
  • キャステル(Castell)法 ➜ 仰臥位+深吸気で前腋窩線の最も低い肋間の打診で濁音なら脾腫を疑う
  • ニクソン(Nixon)法 ➜ 右側臥位で左肋骨弓から頭側に打診して濁音界が8cm以内なら脾腫を疑う

🔍 トリビア
  • Traubeは,1816年に仏人医師ルネ・ラエンネックが発明した聴診器のチェストピ-ス(患者さんに当たる部分)を大きくした.聴診精度の改善を目指したようであるが,痛くなくなったことのほうが好評だったとか...
  • トラウベの単耳式聴診器は一部の国では胎児心音を確認するため現在でも用いられており(アマゾンで購入可能),日本助産師会のマークになっている.聴診器の歴史に興味がある方 ➜ コチラ


🉐 関連投稿(打診関連)

※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2021-09-02

軽症例は意外に多いかも…

膠原病外来から非典型的な症状で紹介された症例(仰臥位で枕あり)

🐨 解説
  • 外頸静脈の明瞭な拍動を頸部で観察可能するが内頸静脈拍動は目立たない
  • 外頸静脈の陥凹はx谷よりy谷の方が目立つ ➜ フリードライヒ徴候の疑い
  • 外頸静脈は吸気保持で虚脱せずにむしろ陥凹の不明瞭化 ➜ クスマウル徴候
  • よくみると前頸静脈が拍動 ➜ 枕の高さを考慮すると中心静脈圧の上昇なし
  • 心エコー図は一見正常だが吸気で心室中隔が左室側へ偏位(septal bounce)
  • 最終的に(膠原病に関連した)収縮性心膜炎(の初期または軽症例)と判断

😋 独り言
  • 収縮性心膜炎は典型例なら診断はあまり難しくありませんが,本例のような軽症例では見逃され不定愁訴と誤診されていることが少なくありません(他の自験例
  • 本例も座位での身体所見には異常がなかったため,心エコー図を型通りオーダーしても正常所見しか得られなかった可能性があります(もっとも逆もありますが…😅)

松下記念病院 川崎達也)