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2026-04-13

心音クイズ(Q15・Q16)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第四弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏) 
  • 今回は心音の高みを目指した2症例です 😉(2年間継続した本シリーズも今回で最終回です:深謝)


(松下記念病院 川崎達也)

2026-04-06

フィジカルクイズ(No. 47 & 48)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2026-02-26

📢 心音クイズ3

  • 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)


心雑音を指摘され受診.もっとも正しいのはどれか.







判定


😐 正解 E
  • 大動脈弁逆流症に伴う典型的な心雑音である.本例ではⅠ音(S1)直後に出現している駆出音にも留意したい.駆出音は様々な疾患で出現するが,日常臨床では大動脈二尖弁が多い(本例は一尖弁).

(松下記念病院 川崎達也)

2026-02-19

📢 心音クイズ2

  • 他のコンテンツで心音クイズを作成しました.本ページにもアップしておきます(内容は少し変更しています)


心雑音を指摘され受診.正しいのはどれか.







判定


😐 正解 D
  • 注目すべきは収縮期雑音がスムースに拡張期まで持続している点
  • Ⅱ音(S2)前後で雑音が変化しない点が往復雑音とは異なります.
  • 注意:連続性雑音は必ずしも一心周期に渡り雑音が連続しません.


(松下記念病院 川崎達也)

2026-01-22

心拍出量のFick法



問題:心拍出量を測定する際,熱希釈法よりFick法が望ましい病態はどれか. 2つ選べ.







判定


😐 解説:正解 d, e
  • 心拍出量の測定に関する問題である.心拍出量は酸素消費量を動脈血と混合静脈血の酸素含量差で除して求めるFick法と指示薬希釈法があり,後者ではSwan-Ganzカテーテルが開発されてからは冷水を指示薬とする熱希釈法が一般的に用いられている.
  • Fick法の原理は,肺での血液の酸素摂取速度と肺静脈と肺動脈の酸素含量差から肺血流量は決定され,定常状態では血液の酸素摂取速度と肺による室内空気からの酸素取り込み速度は等しくなることから,肺血流量=酸素消費量÷肺静脈と肺動脈の酸素含量差で求められる.心臓内短絡(シャント)がなければ肺血流量は体血流量に等しくなることから心拍出量も測定することになる.通常は混合静脈血として肺動脈血を用いるが,肺静脈血のサンプリングは困難なため左室あるいは動脈血で代用している.心臓内シャントがあった場合には混合静脈血として肺動脈血の代わりにシャント直前の心腔内でサンプリング行う必 要がある.
  • 熱希釈法は肺動脈内に先端を留置したカテーテル近位部(右房)のポートから冷たい生理食塩水を注入し,血液の温度変化をカテーテル先端のサーミスターで測定し,経時的な温度変化から肺血流量が計算される.Fick法と同様に心臓内シャントがなければ心拍出量を表すが,Fick法と比べて動脈穿刺を行っての血液サンプル採取が不要なことや速やかに結果がわかる利点がある.しかしながら,三尖弁逆流が存在すると注入した冷水がカテーテル先端のサーミスターに到達しにくくなるため温度が低下せずに心拍出量を過大評価することや,心臓内シャントが存在すると肺血流量と心拍出量が一致しなくなる.
  • よって,熱希釈法よりFick法での心拍出量測定が望ましいのは d.心房中隔欠損症と e.重症三尖弁閉鎖不全症の患者である.
  • a, c.心房細動や僧帽弁狭窄症があっても熱希釈法で心拍出量は測定可能である.
  • b. 肺動静脈瘻は心臓外短絡であり,奇異性塞栓症や脳膿瘍の原因にはなるが,熱希釈法による心拍出量の測定に支障はない.


(松下記念病院 川崎)

2025-12-25

チアノーゼ Cyanosis

  • 皮膚や粘膜の青紫色変化で毛細血管内血液の還元Hb濃度≧5 g/dlで出現
  • 低酸素血症に特異的ではない(例:CO中毒の低酸素血症では出現せず)
  • 口唇や口腔粘膜,鼻尖,耳朶,指先ほかに出現(毛細血管血液色を反映)
  • 総Hb濃度の影響が強い(貧血で出現しにくく赤血球増多で出現しやすい)
  • 中枢性と末梢性(下表),ヘモグロビンの異常による血液性に大別できる
  • 血液性チアノーゼはメトヘモグロビン血症や乳児メトヘモグロビン血症他


中枢性チアノーゼ 末梢性チアノーゼ
酸素飽和度 動脈血
  • 低下(基準値 100%)
  • 正常(基準値 100%)
毛細血管内血液
  • 低下(基準値 85%)
  • 低下(基準値 85%)
静脈血
  • 低下(基準値 70%)
  • 低下(基準値 70%)
分類
  • 呼吸機能障害(泣き入りひきつけやARDSなど)
  • 右左シャント(Fallot四徴やアイゼンメンゲル症候群など)
  • 肺胞内酸素分圧低下(高地環境)
  • 末梢循環不全(低心拍出症候群や寒冷曝露,レイノー現象など)
  • 動脈閉塞性疾患(動脈性塞栓症など)
  • 静脈閉塞性疾患(静脈瘤や血栓性静脈炎)
出現部位
  • 全身に出現
  • 指尖や鼻尖などの末端に限局(粘膜には認めないことが多い)



😐 おまけ
  • 上半身と下半身でチアノーゼの程度が異なると解離性チアノーゼ(Differential cyanosis)
  • 上半身優位のチアノーゼ ➜ 完全大血管転位(肺循環血液が動脈管を介して下行大動脈
  • 下半身優位のチアノーゼ ➜ アイゼンメンジャー化 or 大動脈縮窄症を伴う動脈管開存症

(松下記念病院 川崎達也)

2025-07-28

リンカーン徴候 Lincoln sign

  • 大動脈弁逆流症による大脈のため膝窩動脈が過度に拍動して下肢が周期的に動く現象
  • 同疾患で頭部が心拍に一致し前後にゆれるド・ミュッセ徴候(de Musset sign)の足版
  • 命名はこの所見を示した第16代アメリカ合衆国の大統領 Abraham Lincoln(1809-1865)
  • 1863年にガードナーが有名な写真 ビッグフット を撮影し左足のぼやけを指摘(下図)
  • ジャーナリストのブルックスが膝窩動脈の拍動で脚が僅かに動いた可能性を提唱した
  • 1961年医師ゴードンが身体的特徴からリンカーンはマルファン症候群であったと推測
  • 1964年シュワルツは彼のマルファン症候群の特徴に関する更なる系譜学的証拠を提示


左足先のみピントがぼけている点に注目

💀 追加コメント
  • リンカーンがマルファン症候群であったかどうかは今もって不明だそうです(DNAは未公表).著名な遺伝学者ビクター・マキュージックは、その確率を50:50としています(Nature 1991;352:279-81).ちなみに彼は暗殺された初めての米大統領です.
  • 本徴候は膝をうまく組んで(体側の膝の真上に膝窩動脈),下肢の力を抜くよう指導など,一定の条件を満たさないと出現しないと予想します.以前に大動脈弁逆流での足背動脈のコリガン脈を記録したことがありますが,とても微妙な所見でした(ココ)
  • 骨シンチグラフィにもリンカーン徴候と呼ばれる所見があるようです.下顎骨への核種の取り込みが過剰に亢進した(まるで黒ひげ)状態で,SAPHO症候群や骨パジェット病,悪性腫瘍転移,薬剤性顎骨壊死,副甲状腺機能亢進症などで認めるようです.

(松下記念病院 川崎達也)

2025-06-16

心音クイズ(Q9・Q10)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第一弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回は「怠けていると言われていた若者」と「検診で心雑音を指摘された無症候例」の2症例です.現場で役立つコツにも触れています.
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年8月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


(松下記念病院 川崎達也)

2025-05-01

深堀聴診

心雑音を指摘された症例

😎 解説
  • 拡張期すべてに持続する雑音(全拡張期雑音)を認める.本例のような雑音は灌水様あるいは吹鳴すいめい性(blowing)などと表現され,高調成分が主体である(心音図).
  • 急性の大動脈弁逆流では左室拡張期圧が急激に増加するため、逆流音が拡張中期あたりで終了してしまうことが多い.よって本例は慢性の大動脈弁逆流であると判断できる.
😛 深堀
  • 本例ではⅠ音(S1)が分裂しているように聞こえる.その一部は高調成分が主体であるため(心音図),駆出音が疑われた.駆出音は半月弁の開放により生じると考えられ,日常臨床では大動脈二尖弁で有名である(本例は一尖弁).心エコー図を行う前の聴診でこのようなことを考えると,心エコー図の結果をみるのがもっと楽しくなるかも...

(松下記念病院 川崎達也)

2025-03-14

🏆 論文

  • 循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
  • 収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
  • 軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
  • 心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし

🎉 PDA雑音
  • PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(静脈雑音、乳腺雑音、甲状腺雑音など)があります。
  • 肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
  • Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。


👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2025-01-30

今週の一枚 🎯

胸痛で来院した中年男性



(松下記念病院 川崎)

2024-06-20

漏斗胸:V1 ≒ aVR

検診で心電図異常を指摘された男性(無症状)

👶 解説
  • 前胸部に陥凹があり漏斗胸と判断
  • 心窩部に周期的陥凹もあり(矢印)
  • 橈骨動脈の拍動と一致し右室拍動
  • 本例は無症状で心エコー図も正常

😃 追加コメント
  • 漏斗胸では胸郭の前後径が小さくなり,右心系の異常がなくても明瞭な右室拍動をしばしば経験します(他の自験例:コチラ).三尖弁や僧帽弁の逆流を伴うこともありますが,本例くらいの漏斗胸で問題になることは少ないと思います.
  • 本例の受診契機は心電図異常でした.漏斗胸26例の手術前後での心電図検討:II誘導のP振幅とV1のP陰性振幅が減少,平均QRS幅の減少,Sokolow-Lyon指数の減少,V4-V6のJ波が増加(J Electrocardiol 2016;49:174-81)   
  • 漏斗胸の心電図にはもっとピンポイント判定法があるようです.それはV1の陰性P+Qrパターン+陰性T波です(北海道医報 第1249号).V1電極がaVRと同じ角度になるからだそうです(なるほど&何事もその道の匠はすごい😳)


(松下記念病院 川崎達也)

2024-06-06

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2024-05-09

有名も役立たず?

息切れ症例の心尖拍動

😐 偽ブロードベント徴候(Pseudo Broadbent's sign)
  • 臥床(20度ヘッドアップ)で心尖部拍動を視認(矢印)
  • 拍動は陥凹で時相は収縮期(背後のモニター音に注目)
  • 最終的に本例は心房中隔欠損による心不全と診断した

😕 独り言
  • 心尖拍動の収縮期陥凹は,収縮性心膜炎で出現する所見(ブロードベント徴候/Broadbent sign)として有名です.しかし本例ではクスマウル徴候や心膜ノック音はありませんでした(フリードライヒ徴候は微妙に陽性?)
  • ベットサイド心エコー図では右心系の拡大が少し目立ちましたが,明らかなシャント疾患を検出できませんでした.その後にハイエンド機で再検して,心房間のシャントを認めたため心房中隔欠損による心不全と診断しました.
  • この収縮期陥凹(systolic retraction)は,様々な病態で認めます(自験例1・自験例2).収縮性心膜炎で欠くことも多く,個人的には臨床現場であまり役立たない所見(感度も特異度もともに低い)と思っています.

(松下記念病院 川崎達也)

2024-02-12

🏆 論文

  • 当院初期研修医の大江先生が循環器内科で経験した症例が出版されました🎉
  • 右室拡大があり身体所見は心房中隔欠損に合致するも短絡が見当たらない例
  • 経胸壁心エコー図の攪拌生理食塩水によるコントラスト造影でシャント確認
  • 経食道心エコー図で上大静脈と左房の短絡を確認し上位静脈洞型ASDと診断

🙊 秘密情報
  • 本論文にはWeb版もPDF版も”Published: January 01, 2024”と記載されています.つまり元日に出版されたことになります.実はCureusは採択された論文の出版日を著者がある程度コントロールできるため,日本との時差を考えらがら狙ってみました.
  • Cureusは2009年に創設されスプリンガー ネイチャーから出版されています.投稿方法が従来誌とは異なるため少し慣れが必要ですが査読は迅速です.(うまくいけば)コストはかからずPubMedに収載されインパクトファクターもつくのは魅力的です.

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(松下記念病院 川崎達也)

2023-12-18

鳩胸 Pectus carinatum

先日,SNSで高度の鳩胸の症例を見かけたので少しまとめてみました.

  • 概略 前胸壁が前方に突出した胸壁の先天異常(漏斗胸とは逆)
  • 原因 肋軟骨の伸長欠陥の疑い(25~33%で遺伝的要素あり?)
  • 疫学 発生率は約1000人に1人(漏斗胸の約1/10)で男:女は5:1
  • 合併 稀に側弯症,マルファン,僧帽弁逸脱,骨形成不全など
  • 経過 通常出生直後には確認されず成長で加速(10代で顕性化)
  • 症状 多くは無症状(稀に突出部位の圧痛や運動耐容能の低下)
  • 予後 良好で通常は長期的な健康への悪影響もないと思われる
  • 対応 矯正器具,外科的修復,隠蔽(ボディビル,女:豊胸術)


😉 なんでも探偵団
  • pectusはラテン語で胸(chest),carina(or keel)は古代ローマの船の竜骨(船底中央を縦に通す強度部材)から名付けられたようです(※).発音はココで,別名はkeel chestやpigeon chest
  • 逆の病態である漏斗胸の英名はpectus excavatumで,excavatumはラテン語でhollowed(空洞の)を意味するようです(#).発音はココで,sunken chestなどとも呼ばれることがあります.

(松下記念病院 川崎達也)

2023-08-28

‘Reverse-Namaskar’ sign 逆ナマスカー徴候

  • Namaskar(ナマスカー)はインドの典型的な挨拶方法
  • 通常は前腕を胸の前で組み手掌を向かい合わせにする
  • 逆ナマスカー徴候は背中で手掌を合わせる動作(下図)
  • エーラス・ダンロス症候群などの関節の過伸展で陽性
  • 日本風なら”後ろの人にもお礼”サインでしょうか?😉
Ehlers-Danlos Syndrome (EDS) と考えられる65歳女性

ナマステ 逆ナマステ
(松下記念病院 川崎達也)

2023-05-22

二分口蓋垂 Bifid uvula

👄 二分口蓋垂(Bifid uvula)
  • 分岐した口蓋垂のうち二分した状態で,口蓋棚の不完全な融合に起因する.通常の口蓋垂よりも筋肉量が少ないため、中耳感染症を繰り返したり,食物が鼻腔に入る可能性がある.
  • その頻度は一般人口の0.42%(※)であるが,ネイティブ アメリカンでは10%と高率(#).ロイス・ディーツ症候群(Loeys-Dietz syndrome: LDS)に合併が多い(90〜92%:引用)

Loeys-Dietz syndromeの症例で認めた二分口蓋垂

🔎 臨床現場での活用
  • 遺伝性大動脈疾患(マルファン症候群,ロイス・ディーツ症候群,エーラス・ダンロス症候群:血管型など)は類似した臨床所見です.ただしロイス・ディーツ症候群(特にタイプ1)は眼間解離,口蓋裂・口蓋垂裂,動脈ねじれ,頭蓋縫合の早期閉鎖,動脈管開存・心房中隔欠損などからマルファン症候群とは鑑別できるようです.
  • またロイス・ディーツ症候群タイプ2は皮膚異常 (あざができやすい半透明のビロード様皮膚),関節の緩み,および内臓破裂などを伴います.一方,マルファン症候群の半数近くに認める水晶体亜脱臼などの眼症状は,LDSには見られないようです.
  • ちなみにマルファン症候群,ロイス・ディーツ症候群,エーラス・ダンロス症候群:血管型はいずれも常染色体顕性(優性)遺伝(autosomal dominant inheritance)形式であるため子孫には性別に関係なく50%の確率で遺伝します.

ロイス・ディーツ症候群の男児

(松下記念病院 川崎達也)

2023-05-18

扁平胸郭とフーバー徴候

激しい運動時に息切れを訴える症例

👾 解説
  • 漏斗胸ではないが胸板は薄くで呼吸は腹式
  • 吸気(腹部が膨らむ)時に肋間陥凹(矢印)
  • 心機能や冠動脈に問題はなくCOPDも認めず
  • 最終的に自覚症状は扁平胸郭に関連と判断

独り言 💤
  • フーバー徴候(Hoover's sign)は吸気時に下位肋間が内方に陥凹する現象で,通常はCOPDなどの肺疾患を示唆します(自験例).
  • 心不全でも出現することがありますが(自験例),その頻度は息切れ症例の3%程度と稀です(Rev Clin Esp 2005;205:113-5)
  • 本例では扁平胸郭があり吸気時の胸郭の拡張が不十分であるため,本人が以前から無意識に腹式呼吸を行っていたのかもしれません.
  • ただし自転車エルゴメータでは運動耐容能は年齢相応に保たれていたため,特に追加加療(呼吸指導を含む)は行いませんでした.

(松下記念病院 川崎達也)

2023-05-08

復習

  • Twitterで特徴的な画像を見たのですが(下図),病名を思い出せませんでした.調べてみると前回眼にしたのは2020年秋の循環器内科地方会でした(ココ).ちょっと反省を込めてまとめておきます.

- 息切れで来院した91歳男性 -

⚔ シミター症候群(Scimitar syndrome)
  • 右肺静脈が下大静脈に流出する部分肺静脈還流異常(PAPVR)
  • 初報は1836年のCooperとChassinatであるが命名は1960年(※)
  • シミターとは,かつてトルコ軍が使用した剣でサーベルの原型
  • 命名は胸部X線で異常肺静脈が刀身と柄のように見えるため
  • 頻度は10万出生あたり1-3人で男女比は2対1,全PAPVRの3〜6%
  • 心房中隔欠損(80%),動脈管開存症,心室中隔欠損症など合併
  • 症状は無症状〜右心系の負荷(心不全),再発性肺感染症など


- 解剖学的シェーマ -

(松下記念病院 川崎達也)