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2021-06-28

伸展と屈曲

動悸と頻脈で紹介受診した症例の左肘部

🐦 解説
  • 伸展した肘に正中動脈の拍動 ➜ 大脈・速脈が示唆される
  • 同所見は水槌脈 反跳脈コリガン脈などと呼ばれている
  • 大動脈弁逆流や甲状腺機能亢進症,貧血,発熱などで出現
  • しかし本例には洞頻脈はあったが他の異常を認めなかった
  • 最終的に日常生活のストレスに関連した反応性頻脈と診断

😊 臨床現場
  • 正中動脈をビンビン触れたため,安易に病的な大脈・速脈と考えてしまった.しかし各種検査でも明らかな原因がないため,もう一度注意深く観察してみると,肘を少し屈曲すると分かりにくくなることが判明した.これは以前に経験した高度の大動脈弁逆流による病的な正中動脈の拍動とは真逆であった(実際の症例).自分で試してみても伸展時は正中動脈をよく触れるため,病的な大脈・速脈は少し屈曲して判定する方がいいのかも...

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-06-24

膝裏に多いようです!

肥満女性の右膝窩周辺(無症状)


松下記念病院 川崎達也)

2021-06-21

😕 肺疾患?

動悸と息切れで受診した慢性左心不全症例(仰臥位で呼吸調整なし)





フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-06-17

循環器外来ではよくあります

心疾患でワルファリンを内服中の症例



松下記念病院 川崎達也)

2021-06-14

Ⅰ音の成因

  • 一般的にⅠ音の成因は房室弁(僧帽弁+三尖弁)の閉鎖音で説明される
  • ただし厳密にはⅠ音は4つの成分から構成されその音源はより複雑である
  • 4成分は前成分+主成分(僧帽弁由来)+主成分(三尖弁由来)+後成分

参考:福田信夫先生「心疾患の視診・触診・聴診」(医学書院)
  1. 前成分(前節IL):左室収縮開始に伴う心筋振動(通常は聞こえない)
  2. 主成分(主節M):僧帽弁の閉鎖
  3. 主成分(主節T):三尖弁の閉鎖
  4. 後成分(後節A):大血管起始部の急激な伸展(通常は聞こえない)

😋 投稿者の心音(多分正常)


※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

松下記念病院 川崎達也)

2021-06-10

あくまでもスクリーニング検査です

心雑音を指摘された若者



松下記念病院 川崎達也)

2021-06-07

🔔 ベルは押してみようパート3

呼吸困難感を訴えて受診した症例

🐪 解説
  • 聴診器の膜部はしっかり押し当て使う ➜ 頻脈であるが過剰音なし
  • 聴診器のベルは軽く乗せる感じで使う ➜ 過剰音があるが時相不明
  • ベルを押し込むと膜部と同じく低音消失 ➜ 過剰音が消失し頻脈音
  • この過剰な心音は心尖部の低調音 ➜ ギャロップ(奔馬調)と判断
  • 最終的に拡張型心筋症による心不全の増悪(非代償)と診断した

🐫 復習
  • 本例のように頻脈があると過剰音のタイミングをⅡ音後(Ⅲ音:例 ベルは押してみよう)あるいはⅠ音前(Ⅳ音:例 ベルは押してみようパート2)などと判断することは難しい.しかしまさに馬が駆け抜けるような音であるギャロップは特徴的であるため時相分析は不要である.一言でギャロップといっても様々なパターンがあるので慣れておく必要あり(過去の投稿).とにかくベルで過剰心音を聴取し押込みで消失なら低調音でありⅢ音,Ⅳ音,ギャロップを考える.

🉐 聴診器のおさらい ➜ コチラ
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2021-06-03

怠け者? Definitely No!

労働現場で「気合が足らん」と言われていた症例

👹 所見の解説
  • 舌圧子の上方移動が二段である ➜ 二峰性拍動(pulsus bisferiens/biphasic pulse)
  • 同所見は閉塞性肥大型心筋症(spike and dome型)または大動脈弁逆流(鋭い2峰)
  • 本例の二峰性拍動は後半が前半より小さいが後半のフレも鋭い(dome型ではない)
  • 心エコー図で大動脈弁輪拡張と高度大動脈弁逆流を認めた(大動脈弁は三尖あり)
  • 肥大型心筋症の二峰性拍動は通常,後半成分が鋭くならない(自験例1自験例2

👺 独り言
  • 本例は舌圧子を用いなくても頸動脈の鋭い拍動(コリガン脈)を認めることに注目(頸部の中央を注視すれば二峰性も見えてくる).コリガン脈は座位の方がより明瞭に観察できることが多い(重力による虚脱増強のため:自験例).一方,肥大型心筋症であれば頸部の陽性波は通常,頸静脈のa波である(自験例).
  • 本例は労働現場ですぐに休みたがるため職場仲間から「気合が入っとらん!」と言われていたようである.一方,診察室に入って来られた瞬間にコリガン脈から診断したため患者さんと家族にとても驚かれた.「いままでいくつかの医療機関を受診したのに…」と聞いて逆にこっちが驚いた.

松下記念病院 川崎達也)