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2022-08-29

マルファン症候群のMARFANS

📌 Marfan syndrome の特徴を表す下記病態の頭文字
  1. Mitral valve prolapse (medial necrosis of aorta) ➡️ 僧帽弁逸脱(大動脈の中膜壊死)
  2. Aortic aneurysm ➡️ 大動脈瘤
  3. Retinal detachment ➡️ 網膜剥離
  4. Fibrillin defect ➡️ フィブリリン欠損(フィブリリンは結合組織中の弾性線維の形成に不可欠な糖タンパク質)
  5. Arachnodactyly ➡️ クモ指症
  6. Negative Nitroprusside test ➡️ ニトロプルシド試験が陰性
  7. Subluxated lens ➡️ 水晶体亜脱臼

参考)@khaledalotibe1のTwitter 投稿

😅 おまけ
  • ニトロプルシドといえば血管拡張薬ですが,メルカプタン(チオール基)の検出試薬でもあるそうです.よってマルファン様体型を示すホモシスチン尿症を除外するため,ニトロプルシドテストが陰性であることを確認する必要があるようです.
  • そういえば国試的には,「マルファン症候群は常染色体優性遺伝で水晶体の上方脱臼」,一方「ホモシスチン尿症は常染色体劣性遺伝で水晶体の下方脱臼」というのを以前,初期研修医の先生から教えてもらったことがあります(以前の投稿

松下記念病院 川崎達也)

2022-08-25

末梢静脈圧と中心静脈圧

🎓 臨床研究Intensive Care Med 2004;30:627-32
  • 対象は人工心肺装置を用いて待機的心臓手術を行った19症例
  • 末梢静脈圧(PVP)と中心静脈圧(CVP)を侵襲的に同時測定
  • 麻酔導入前後や人工呼吸器前後など様々な状態で188回計測
  • 結果はPVPとCVPは相関し代替可能(差は-0.72〜0 mmHg)

😀 独り言
  • 頸静脈所見を用いた中心静脈圧の推定を日常臨床で活用されていても,末梢静脈圧にはあまり関心を持っておられない方が多いように思います.
  • もちろん頸静脈のように波形から病態推定は困難ですが,中心静脈圧が上昇しているか否の判定できそうです(方法論の問題はありますが...)

松下記念病院 川崎達也)

2022-08-22

🎯 今週の一枚

息切れで来院した高齢者の手背(姿勢は座位で手は心臓の高さ)



松下記念病院 川崎達也)

2022-08-18

👴 歴史クイズ




松下記念病院 川崎達也)

2022-08-15

肺高血圧時の心音:その3

設定:胸骨左縁第3肋間で聴診器のベル部を用いて聴診

🍩 解説
  • 頻脈で過剰音(赤四角)を伴っている ➜ あまり悩まずギャロップ(奔馬調
  • ギャロップは通常,心尖部で聴取するが本例では胸骨左縁第3肋間(3LSB)
  • 心尖部以外で優位に聴診できるギャロップなら,右心系ギャロップの疑い
  • 本例は心房中隔欠損(未治療)による肺高血圧を伴った非代償性右心不全

😗 追加コメント
  • ギャロップを構成する過剰音はⅢ音,Ⅳ音,Ⅲ音+Ⅳ音(四部調律),両者の重なり(重合奔馬調)の4通りあります.聴診による正確な鑑別は困難で,心音図と心尖拍動図(A波やRF波)の同時記録による解析が理想です.
  • ただしギャロップ自体が非代償期(=迅速な対応が必要)を意味するので,詳細な鑑別は不要だと(僕は)思っています.右心系ギャロップのポイントは「ひょっとしてと思って心基部にもベルを当ててみる」ことです.

松下記念病院 川崎達也)

2022-08-11

肺高血圧時の心音:その2

設定:胸骨左縁第2肋間で聴診器の膜部を用いて聴診

🍘 解説
  • 拡張期に雑音を聴取する(全拡張期ではなく拡張中期で終了)
  • 雑音の開始点に注目すると,Ⅱ音大動脈成分ⅡAが聞こえる?
  • 大動脈弁逆流ならⅡ音は通常聞こえない ➜ 肺動脈逆流を示唆
  • 診断はアイゼンメンジャー症候群のグラハム・スティール雑音

😗 追加コメント
  • ⅡAと逆流性雑音の間に僅かに生じる間隙が大動脈弁逆流との鑑別に有用ですが(つまり雑音はⅡPより開始),聴診では心音図ほど分かりやすいとは思いません.
  • ポイントは「拡張期雑音の始まりにアクセントがあるな〜」と耳が反応することかもしれません.ちなみにⅣ音もありますが,大きな雑音時は聴診困難(音響隠蔽

松下記念病院 川崎達也)

2022-08-08

肺高血圧時の心音:その1

設定:胸骨左縁第2肋間で聴診器の膜部を用いて聴診

🍙 解説
  • 心基部であるためⅠ音よりⅡ音が大きい(これは異常ではない)
  • Ⅱ音に注目すると分裂あり(大動脈成分ⅡAと肺動脈成分ⅡP)
  • 大動脈成分よりも肺動脈成分の方が大きい ➜ 肺高血圧を示唆
  • 本例は先天性心疾患による肺高血圧(収縮期雑音は三尖弁逆流)

😗 個人的想い
  • 肺高血圧ではⅡ音肺動脈成分の亢進はよく知られている所見ですが,自信をもって診断できる方はおそらく少数派でしょうか?
  • ポイントは「分裂しているⅡ音の後ろにアクセントがある奇妙さ」に耳が反応できるかだと思います(頭で考えるより耳で反応)

松下記念病院 川崎達也)

2022-08-04

🎯 今週の一枚

発熱と胸痛で来院した症例



松下記念病院 川崎)

2022-08-01

肺高血圧のフィジカル診断

🎓 系統的レビューPLoS One. 2014 Oct 24;9(10):e108499
  • 肺高血圧の関連所見:右室拍動,大きなⅡ音肺動脈成分,頸静脈怒張,三尖弁逆流音,右心系Ⅳ音(いずれも安静時および吸気時)
  • もっとも肺高血圧に関連する指標:吸気時の亢進したⅡ音肺動脈成分(陽性尤度比3.2)と吸気時の右心系Ⅳ音(陽性尤度比4.7)
  • ただし身体所見のスペシャリストとその他の検者では診断能の差は小さくなく,また肺高血圧を一貫して除外できる身体所見はない

💁 肺高血圧の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)