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2020-08-31

心不全?

咳嗽で来院した症例の頸部動画(呼吸調整なし)




フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-27

ゲーム 🎮 頸静脈-30 JVP-30

  • コロナ禍でも活躍する身体所見は頸静脈です(衣類の着脱が不要で視診で判断できます)
  • 特に座位の簡易定性法は,特定の体位で判断する従来定量法よりも技術習得が容易です
  • 代表的な頸静脈30問を1問30秒で回答(頸静脈はほぼ座位で記録) ➜ 目標は四段突破!


(スマホ仕様ですがタブレットやデスクトップにも対応/現在の閲覧がウェブ版なら右欄にリンクあり)

🉐 関連投稿(ゲーム編)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-24

心尖拍動:座位 vs 臥位

1週間前から急に増悪した倦怠感で来院した症例

😊 解説
  • 座位(ビデオ前半)では左乳輪外側の2肋間で心尖拍動が明瞭 ➜ 心拡大の疑い
  • 臥位(ビデオ後半)では左乳輪の外側下方に拍動を僅かに視認 ➜ 心拡大確定
  • 拍動は不規則で早い ➜ 頻脈性の心房細動の疑い(期外収縮頻発は否定できず)

😙 独り言
  • 本例の心尖拍動は臥位より座位の方が明瞭である.心尖拍動を用いた心拡大の判定は,厳密には仰臥位で行われるべきであるが(),仰臥位での視認性は必ずしも良好ではない.心尖拍動は仰臥位より左半側臥位の方が視認しやすいことはよく知られているが,座位でも意外に分かりやすい.非代償性心不全では臥位になれない症例(起座呼吸)も少なくないことを考慮すると,座位の心尖拍動による評価をもっと積極的に導入していいと思う.なお本例にも実際に心拡大(左室拡大+左房拡大)が存在し,頻脈性心房細動であった.その病態はバーロー症候群に伴う慢性心不全があり,腱索断裂による僧帽弁逆流の急性増悪と考えられた.

😀 関連投稿(座位の心尖拍動編)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-20

🏆 論文:両室の心室中部閉塞性肥大型心筋症

  • 当院ソノグラファーの秋山先生の論文が出版されました
  • 両室の心室中部閉塞性肥大型心筋症 (MVO) の症例です
  • 右室MVOは心エコー図では気づかずMRIで判明しました
  • その後に再検エコーでも不明瞭 ➜ バブル造影で描出可
  • オチは「心基部のⅣ音は右心系肥大を密かに示唆?」


👿 身体所見に関する「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-17

シンプルな身体所見と複雑な病態

息切れと黄疸で来院した症例

🙌 ばち指(Clubbed finger)
  • 呼吸器疾患やチアノーゼ性心疾患で出現するが,肝硬変や炎症性腸疾患などでも認めることがある.ばち状指や撥指,Nail clubbing, Digital clubbingとも記載される.
  • その機序は不明であるが,動静脈シャントによる血小板由来成長因子や血管内皮細胞増殖因子の不活性化抑制で結合組織が過形成されるという仮説が提唱されている(Lancet 1987;2(8573):1434-5
  • 少なくともヒポクラテス(紀元前384-322)の時代には病的所見として知られていて,"Hippocratic fingers"(ヒポクラテリック・フィンガー)と呼ばれていたようです(PMID: 30969535
  • 診断の目安は指と爪床の角度が165度以上で,両手の爪を合わせた時に通常存在するダイアモンド型の隙間が消失するシャムロステスト(Schamroth's test)が有用(S Afr Med J 1976;50:297-300


(E=正常・F=ばち指:Respir Med 2017;132:226-31

👽 臨床現場
  • 本例はファロー四徴症に対して幼少期に手術を受けていた.主訴の一つである息切れは肺炎であると考えられたが,肺炎の改善後にもチアノーゼが残存した.肝硬変が合併していたため黄疸があり,遷延する低酸素血症は肝肺症候群(HPS: Hepatopulmonary syndrome)によると判断した.その身体所見はシンプルであったが,背後の病態はとても複雑であった.
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-13

👴 歴史クイズ



松下記念病院 川崎達也)

2020-08-10

高血圧性心疾患 HHD: hypertensive heart disease

難治性高血圧を有する症例(呼吸調整なし)


🔎 解説
  • 仰臥位では心尖拍動はほぼ確認できない ➜ 心拡大の有無は判定できない
  • 左半側臥位では乳輪の外側下方に抬起性の心尖拍動あり ➜ 心肥大の疑い
  • 心尖付近の紙付箋の拍動はよく見ると二段の動き ➜ 二峰性心尖拍動の疑い
  • 心エコー図で遠心性左室肥大を確認 ➜ 最終的に高血圧性心疾患と診断した

😗 独り言
  • 二峰性心尖拍動と言えば肥大型心筋症が有名である.しかし肥大を呈する他の疾患(高血圧性心疾患や大動脈弁狭窄症など)でも出現することがある.本例は「ベットで左を下にして寝るとマットのスプリングがいつもギュギュと軋み始める」ことを教えてくれた.「お風呂で胸まで浸かると湯面に輪っかが広がる」と教えてくれた患者さんも経験済み(コチラ).視診では少し分かりにくいが,触診ではその力強さにいつも驚かされる.侮るなかれ二峰性心尖拍動.

🉐 関連投稿(二峰性心尖拍動編)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
松下記念病院 川崎達也)

2020-08-06

末梢クイズ

倦怠感と息切れで受診した女性



松下記念病院 川崎達也)

2020-08-03

お手軽負荷

階段を登る時の息切れで紹介受診した症例


👿 解説
  • 座位の通常呼吸時(ビデオ前半)では鎖骨上に内頸静脈の拍動をほぼ認めない
  • 深吸気後(ビデオ後半)では鎖骨上に内頸静脈の拍動を視認するようになった
  • 新たに出現した内頸静脈拍動は陥凹が主で怒張なし ➜ クスマウル徴候は陰性
  • 中心静脈圧の上昇はあるが高度でないと判定 ➜ 本例の最終診断は軽症心不全

👾 独り言
  • 心不全が疑われる症例で安静座位で内頸静脈の拍動を認めなければ一安心であるが,深呼吸後(=前負荷の増大時)にも視認しなければさらに安心できる.前負荷を増大させるには蹲踞姿勢も一つであるが,高齢者では膝痛のため施行できないことが少なくない.深吸気負荷はとても簡便なので,外来診察室や救急室で積極的に活用したい.

🙊 関連投稿(クスマウル編)
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松下記念病院 川崎達也)