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2024-07-29
収縮性心膜炎
パワーポイントを用いて収縮性心膜炎の身体所見を自作しました
背景透明のPNG形式で印刷時にも鮮明なよう画質は300 dpiです
商業目的を除き配布は自由なのでよろしければご活用ください
😄 収縮性心膜炎の過去の投稿は
コチラ
(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2024-05-09
有名も役立たず?
息切れ症例の心尖拍動
😐 偽ブロードベント徴候
(Pseudo Broadbent's sign)
臥床(20度ヘッドアップ)で心尖部拍動を視認(矢印)
拍動は陥凹で時相は収縮期(背後のモニター音に注目)
最終的に本例は心房中隔欠損による心不全と診断した
😕
独り言
心尖拍動の収縮期陥凹は,収縮性心膜炎で出現する所見(
ブロードベント徴候
/Broadbent sign)として有名です.しかし本例では
クスマウル
徴候や
心膜ノック音
はありませんでした(
フリードライヒ
徴候は微妙に陽性?)
ベットサイド心エコー図では右心系の拡大が少し目立ちましたが,明らかなシャント疾患を検出できませんでした.その後にハイエンド機で再検して,心房間のシャントを認めたため心房中隔欠損による心不全と診断しました.
この収縮期陥凹(systolic retraction)は,様々な病態で認めます(
自験例1
・
自験例2
).収縮性心膜炎で欠くことも多く,個人的には臨床現場であまり役立たない所見(感度も特異度もともに低い)と思っています.
(
松下記念病院
川崎達也)
2024-05-02
今週の一枚 🎯
右心カテーテルで意外な疾患が判明した症例
👿 カテ後に身体所見を確認
座位では頚静脈の拍動を視認せず
深吸気でも
クスマウル徴候
は陰性
臥位で内頚の陥凹が目立つ(矢頭)
時相はy谷(
フリードライヒ
徴候)
深吸気で
クスマウル徴候
有(矢印)
最終診断は収縮性心膜炎であった
👾
臨床現場
本例はⅡ音の肺動脈成分が亢進していたため肺高血圧が疑われた.しかし右心カテーテル検査で肺高血圧はなかった.右室の内圧は想定外のdip and plateauを示していた.
その後に身体所見を見直すと収縮性心膜炎の軽症〜中等症に合致する所見(
重症度分類
).明瞭なⅡ音の肺動脈成分は,
肺動脈弁領域
に限局したノック音であったようだ.
いつもながら収縮性心膜炎は一筋縄ではいかない.本例は利尿薬等で安定したため心膜剥離は未施行.ちなみに本例には心尖の収縮期陥凹(
ブロードベント
徴候)はなし.
👻「今週の一枚」の過去の投稿は
コチラ
(
松下ERランチ・カンファレンス
の名物コーナー)
(
松下記念病院
川崎達也)
2023-11-06
👴 歴史クイズ
(
CC BY 4.0
)
🔍
ブロードベント
イギリスの医師(心臓病学および神経学)Sir William Henry Broadbent (1835–1907)
収縮性心膜炎で出現する心尖拍動の収縮期陥凹(
ブロードベント徴候
)に名を残す
ヴィクトリア女王やエドワード7世,ウェールズ王子ら王族の主治医を務めていた
😶 独り言
Broadbent sign
の初報は息子のWalter Broadbent (1868–1951) です(
Lancet 1895;146(3752):200–1
).オリジナルは11肋間と12肋間が収縮期に陥凹する所見で,心膜が横隔膜と癒着するためと説明されています.しかし本人はこの所見を父親(Sir William Broadbent)から学んだことを後に認め,そのクレジットを父に捧げています(
※
).
ブロードベント徴候
の診断能はあまり優れていないと思われます.収縮性心膜炎4例中3例に同徴候(収縮期陥凹/systolic retraction)を認めますが,三尖弁逆流や健常者にも出現することがある様です(
Br Heart J 1965;27:379-91
).心臓フィジカル広場にも同所見が何例か投稿されていますが(
ココ
),いずれも収縮性心膜炎ではありませんでした.
🉐
関連投稿
➜
歴史クイズ
(PC版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2022-07-14
この組み合わせを見たら…
非心臓手術の術前評価で循環器内科を受診した症例
🐔 解説
座位で内頸静脈と(僅かに)外頸静脈の拍動を視認 ➜ 中心静脈圧の上昇
吸気で外頸静脈が怒張している(動画中の矢印)➜
クスマウル
徴候陽性
内頸静脈は吸気で拍動が明瞭化(動画の✳︎) ➜ (
広義のクスマウル
徴候)
拍動は二峰性陥凹でx下行よりy下行が大かつ急峻(
フリードライヒ
徴候)
本例は他院で収縮性心膜炎と診断され経過観察されている症例であった
心不全は概ね代償されているため当院で予定の非心臓手術は可能と判断
🐓 独り言
急峻y下行(
フリードライヒ
徴候)と深吸気時怒張(
クスマウル
徴候)の組み合わせは収縮性心膜炎を疑うきっかけになります(
典型例
).本例では通常呼吸時の外頸静脈で(よくみると)y谷が急峻であることから”ピン”ときました.
心エコー図で収縮性心膜炎に関する所見をルーチンに評価することはないと思います.よって身体所見で収縮性心膜炎を疑い,そのことをエコー検者に伝えることが重要です(
フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒
:
以前の投稿
)
(
松下記念病院
川崎達也)
2022-04-21
収縮性心膜炎の重症度判定
腹部膨満感を訴える大動脈弁置換術後の症例
👄
解説
本例は座位で自然呼吸時と深吸気負荷時のいずれにも頸静脈拍動なし
しかし臥位では外頸静脈の拍動を視認可能(内頸静脈はやはり不明瞭)
急峻y下行(
フリードライヒ
徴候)と深吸気時怒張(
クスマウル
徴候)
本例は最終的に
収縮性心内膜炎
と診断されたが利尿薬のみで症状改善
👅
独り言
身体所見と心エコー図は良きライバルです.前者は”
圧
”の評価に優れ,後者は”
流
”の描出が得意です.よって「
フィジカルと心エコー図が手を組めば鬼に金棒
」
日々の臨床では基礎疾患の診断だけでなく,その重症度まで判定する必要があります.大動脈弁狭窄症ではやはり心エコー図に分がありそうです(
過去の投稿
)
しかし心不全の診断と重症度判定ではフィジカルが勝っています.収縮性心膜炎においてはフィジカルの圧勝と思います 😊 自験例:
重症
,中等症=本例,
軽症
個人的に感じている収縮性心膜炎のフィジカル重症度
座 位
臥 位
フリードライヒ徴候
クスマウル徴候
フリードライヒ徴候
クスマウル徴候
重症
⭕️
⭕️
-
-
中等症
✖️
✖️
⭕️
⭕️
軽症
✖️
✖️
呼気時 ✖️
吸気時 ⭕️
⭕️
👿「収縮性心膜炎」の過去の投稿は
コチラ
(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2022-04-07
😳 ちょっとマニアックだけど…
ある慢性疾患で通院中の症例
💣 解説
安静時の頸静脈拍動は目立たないが自然呼吸の吸気時には少し陥凹あり?
強制深吸気で拍動が明瞭化し(動画の*)形式はy谷が大きいM型 or W型
さらに深吸気後の息止めを継続すると外頸静脈に怒張が出現(動画の→)
本例は両心カテーテル検査の同時圧測定で収縮性心膜炎と診断されている
少量の利尿薬のみで状態が安定しているため心膜剥離術を行わずに観察中
👅
独り言
収縮性心膜炎では頸静脈の
フリードライヒ
徴候(深いy下降)や
クスマウル
徴候(深吸気時の怒張)が有名で, 典型例では視診のみで診断可能(
自験例
).重症でない場合,これらの身体所見が座位で不明瞭でも臥床で顕性化することがある(
自験例
).
本例はより軽症例と考えられ臥床でも不明瞭であったが,呼吸負荷で誘発することができた.以前に教えていただいた
達人の名言「
精密検査の結果とPhysical Examが食い違っても直ちにそれを受け入れず,その理由を考えること
」がやはり大切である.
(
松下記念病院
川崎達也)
2022-02-17
🏆 論文
当院の初期研修医である中西先生が循環器内科で経験した症例が出版されました
コロナワクチンを2回接種後に収縮性心膜炎による右心不全を発症した症例です
座位の頸静脈に
フリードライヒ
徴候や
クスマウル
徴候はなく
心膜ノック音
もなし
しかし臥位頸静脈に上記二徴候あり(同様に臥位のみの
自験例
・座位の
典型例
)
心エコー図で
septal bounce
(下図)があり,最終的に両心の同時圧測定で確定
(
Int J Infect Dis 2022;116:238-40
)
😀
臨床現場
コロナワクチンに関連した急性の心膜炎や心筋炎の症例は散見されます.しかし収縮性心膜炎は聞いたことがありませんでした.心カテをした金曜の夕方,主治医の先生が類似報告がないことを教えてくれました.
世界初の症例報告になるかも…と気が引き締まりました.続く土日で論文を作成して,感染症の国際誌に投稿しました.相手も慎重になったのか初回査読に2ヵ月半かかりましたが,その後は出版まで数日でした.
収縮性心膜炎がワクチンを接種後そんな早期に生じるのか? 収縮性心膜炎とワクチンとの関連をどう証明するのか? など疑問も湧くと思います(僕もそうでした 😞).その辺はDiscussionを是非ご覧ください.
👿「論文」の過去の投稿は
コチラ
(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)
(
松下記念病院
川崎達也)
2021-12-09
奇脈 Pulsus Paradoxus
吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する病態(通常でも低下するが10mmHg未満である)
機序:吸気 ➜ 右室への灌流増加による左室拡張制限+肺血管床拡大による左室への灌流減少
心タンポナーデで有名だが,
重症の肺塞栓
・
COPD悪化
・
緊張性気胸
などでも出現することあり
実際の測定方法:スタンフォード大学
(英語の勉強も兼ねて😳)
(
Pulsus Paradoxus Video
by
Stanford Medicine 25
)
おまけ
💬
発見者 ➜
ドイツ人医師のアドルフ・クスマウル
命名の謎 ➜
どうしてParadoxus(奇妙)なの?
身体所見 ➜
収縮性心内膜炎 vs 心タンポナーデ
※ 以前に
松下ERランチカンファレンス
に投稿した内容の更新版です 🎶
(
松下記念病院
川崎達也)
2021-09-02
軽症例は意外に多いかも…
膠原病外来から非典型的な症状で紹介された症例(仰臥位で枕あり)
🐨
解説
外頸静脈の明瞭な拍動を頸部で観察可能するが内頸静脈拍動は目立たない
外頸静脈の陥凹はx谷よりy谷の方が目立つ ➜
フリードライヒ徴候
の疑い
外頸静脈は吸気保持で虚脱せずにむしろ陥凹の不明瞭化 ➜
クスマウル徴候
よくみると
前頸静脈
が拍動 ➜
枕の高さを考慮
すると中心静脈圧の上昇なし
心エコー図は一見正常だが吸気で心室中隔が左室側へ偏位(septal bounce)
最終的に(膠原病に関連した)収縮性心膜炎(の初期または軽症例)と判断
😋
独り言
収縮性心膜炎は
典型例
なら診断はあまり難しくありませんが,本例のような軽症例では見逃され不定愁訴と誤診されていることが少なくありません(他の
自験例
)
本例も座位での身体所見には異常がなかったため,心エコー図を型通りオーダーしても正常所見しか得られなかった可能性があります(もっとも
逆もありますが…
😅)
(
松下記念病院
川崎達也)
2021-03-01
マズローの金槌 Maslow's hammer
米国の心理学者であるマズロー (
Abraham Harold Maslow
: 1908–1970)によって提唱された観念
認知バイアス
の一つで,law of the hammerやMaslow's hammer, golden hammerとも呼ばれる
If all you have is a hammer, everything looks like a nail. ハンマーを持てばすべてが釘に見える
臨床現場では特定の知識や技術を持っていると診断や治療が偏ってしまうことがあることを意味
実例
😶 専攻医から相談を受けた息切れ症例の心尖拍動(左頭で白タオルは乳房をカバー)
😮
解説
心尖部が周期的に陥凹している(systolic retraction of the apex)➜ 収縮性心膜炎の身体所見として有名!
「収縮性心膜炎が強く疑われる」とアドバイスして心エコー図を指示 ➜ しかし同病態を示唆する所見なし
身体所見を見直すと収縮性心膜炎を示唆する他の所見はなかった(例:
心膜ノック音
や
フリードライヒ徴候
)
最終的には拡張不全による慢性左心不全と診断(相談に来てくれた専攻医の先生...混乱させてゴメンね 🙇)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2021-01-11
心エコー図に勝つ!
大動脈弁置換術後の症例(慢性期)
👹
解説
臥位では内頸静脈や外頸静脈は視認できない(手ブレですいません 🙇)
臥位では外頸静脈を認識 ➜ 上縁は頸部の中央で中心静脈圧の上昇なし
よく見ると外頸静脈の急峻な陥凹 ➜ Ⅱ音後でy谷(
フリードライヒ徴候
)
深吸気で外頸静脈が怒張 ➜
クスマウル徴候
陽性 ➜ 収縮性心膜炎と診断
臨床現場 💨
心エコー図をオーダーしたけど「収縮性心膜炎を示唆する所見はありません」という結果でした.でも患者さんによく話を聞くと,「無理した時にはお腹が張る感じがします」と言われた.BNP値の上昇もないけど,初期の収縮性心膜炎が疑われるため慎重にフォロー中です.
🉐 収縮性心膜炎に関する過去の投稿 ➜
コチラ
(WEB版なら右欄からも選択可能)
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2019-11-07
心エコー図よりも身体所見で診断!
腹部膨満感で消化器内科を受診した開心術の既往がある症例
座位の頸静脈所見の記録(前半は通常呼吸 ➜ 後半は深吸気)
🐧
解説
外頸静脈の急峻な虚脱(
フリードライヒ
徴候/Friedreich's sign)が目立つ.これは拡張期の深い
y下降
でdip and plateauのdipに相当する.一方,深吸気時には 外頸静脈の怒張が目立つ(
クスマウル
徴候/Kussmaul sign).本例は両心カテーテルを行い最終的に収縮性心膜炎と診断し心膜剥離術を行った.心房細動もあったためか,心エコー図では収縮性心膜炎と確定できなかった.
再確認
🎃 収縮性心膜炎は身体所見で疑わないと心エコー図での診断は難しいよ
関連投稿
🉐
心膜ノック音
肝拍動
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2019-10-28
👴 歴史クイズ
(Wellcome Images)
💁
フリードライヒ
ドイツの病理医かつ神経内科医Nikolaus Friedreich(1825–1882)で,収縮性心膜炎で頸静脈に出現する深いy下行(
フリードライヒ徴候
/Friedreich's sign)を発見した.
関連投稿
🉐
心膜ノック音
肝拍動
心エコー図よりも身体所見で診断!
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2019-07-18
肝拍動
胃部の不快感を訴え受診した開心術の既往歴がある症例
心尖拍動は触知しなかったが聴診で明瞭な
心膜ノック音
あり
👿
解釈
右心不全を生じた症例では肝拍動を触知できることがある.拍動パターンは基本的に頸静脈拍動に類似する.本例では急峻なy下降が目立つ(頸静脈の
フリードライヒ徴候
と同じ).なお本例は心房細動があるためa波を欠きx谷は閉塞していると思われた.最終的に両心カテーテル検査を行い収縮性心膜炎と診断して心膜剥離術を行った.
関連投稿
💤
👴 歴史クイズ
心膜摩擦音 👂 典型2症例
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2019-05-27
心膜ノック音
収縮性心膜炎で認め,硬化・緊縮した心膜に由来
拡張早期に出現する中調音で,広範囲で聴取可能
鑑別はⅡ音分裂,開放音,Ⅲ音,腫瘍プロップ音
(Ⅱ音後の赤矢印が心膜ノック音/生体弁置換術後であり駆出性収縮期雑音もある)
👿 収縮性心膜炎は心エコー図での診断は難しいから,心音や身体所見(
フリードライヒ徴候+クスマール徴候
)が重要
🔊
関連投稿
収縮期クリック
腫瘍プロップ
心膜摩擦音 👂 典型2症例
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
2019-02-28
👴 歴史クイズ
ドイツ人医師のアドルフ・クスマウル(Adolf/ph Kussmaul、1822-1902)で以下の3所見を発見
クスマウル徴候
吸気時に頸静脈怒張(通常は吸気時に軽減)➜
収縮性心膜炎
など
奇脈
吸気時の収縮期血圧低下が10mmHg以上(通常は3-9mmHg低下)➜ 心タンポナーデなど
クスマウル呼吸
異常に深大な呼吸の連続 ➜ 糖尿病性ケトアシドーシスなど
クスマール
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(
松下記念病院
川崎達也)
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