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2025-07-24

本例は中等症~重症の心不全

下腿浮腫で来院した大動脈弁置換術後例(座位)

😋 解説
  • 安静座位で頚部中央に陥凹を認める
  • 深吸気の負荷で一見、拍動が消失?
  • よく見ると顎下に明瞭な陥凹(矢印)
  • 非代償性心不全と考え利尿薬を追加

😎 コメント
  • 心不全の「シンプル頚静脈©」は,拍動を視認するか否かの定性法ですが,慣れてくれば定量法にも挑戦してみてください.
  • 本例は中心静脈圧(≒右房圧)の上昇が中等症~重症の心不全と判定できるでしょうか.大まかな目安は下表をご参考に💁

軽症 中等症 重症
拍動の上縁 鎖骨上窩 頚部中央 顎下
負荷の有無 吸気保持で早期のみ拍動 吸気保持で拍動持続 安静時に拍動
拍動の様式 二峰性の陥凹 一峰性の陥凹 隆起



松下記念病院 川崎達也)

2025-07-03

シンプル頚静脈の半定量評価:時間編

心不全で通院中の症例(座位)

😋 解説
  • 安静で頚部に拍動なし(重症心不全なし)
  • 深吸気負荷で鎖骨上窩に拍動出現(矢印)
  • 深吸気を保持したが拍動は速やかに消失
  • 本例はHFpEFで症状は長年安定している

😎 コメント
  • 心不全の「シンプル頚静脈©」では,拍動を視認するか否かの定性法を採用しています.しかし拍動上縁の位置を考慮した半定量評価も可能です(鎖骨上窩=軽症,頚部中央=中等症,顎下=重症:過去の投稿
  • 上記の位置に基づく半定量法に加えて,本例のように拍動の持続時間を考慮した半定量法も可能です.つまり安静時に拍動=重症,深吸気後に拍動持続=中等症,深吸気持続で早期のみ拍動=軽症(本例)です.

松下記念病院 川崎達也)

2025-06-30

夢叶う2 Dreams come true 2

  • 心不全臨床では負荷を併用した頚静脈の座位定性法がとても有用です
  • 5-ステップで学ぶ無料アプリ「シンプル頚静脈」を昨年公開しました
  • 日本語版は総説やSNS,講演などで宣伝する機会がある程度ありました
  • 実は海外展開を念頭に英語版も同時にリリースしていました(コチラ
  • 今回,国際誌にアプリが掲載されました(ESC Heart Fail 2025 May 27

😎 舞台裏
  • はじめに米国の雑誌に投稿しましたが,あっさりreject.でもこれは想定内でした.(内容はともかく)アプリの掲載はとてもリスクがあるからです(スパムを組み込むことも技術的に可能).今回の雑誌にも期待せずに投稿しました.3日後に返事があったので「やっぱりダメだな」と思っていたら,ともて高評価.実際にその1週間後(投稿10日後)に出版されました.
  • 本邦の心不全ガイドライン(2025.3更新)への収載が一つ目「夢叶う Dreams come true」で,今回の海外展開が二つ目の「夢叶う Dreams come true」です.そしていつか,海外のガイドライン収載へ…これは三つ目の「夢叶う Dreams come true」になるでしょうか😃

松下記念病院 川崎達也)

2025-06-26

「とりあえず吸気負荷」

久しぶりに外来を受診した心不全例(座位)

🐤 解説
  • 息遣いが荒く頚部拍動の有無は判定難
  • 吸気で鎖骨上窩に明瞭な拍動(矢印)
  • 本例はHFrEFで怠薬後に息切れを自覚
  • その後の精査で心不全増悪を確認した
🐣 独り言
  • 負荷を併用した頚静脈の座位定性法(シンプル頚静脈)では,安静時に拍動を認めれば負荷を追加する必要はありません.ただし本例のように頚静脈の拍動なのか呼吸に伴う変化なのか分からない症例を時々経験します.そのようなときには「とりあえず負荷をかけてみる」のがいいと思います.特に吸気負荷なら手間もかからず,負荷に対するリスクもほとんどありません.


松下記念病院 川崎達也)

2025-04-07

2024年度SNS解析:循環器Physical Examination講習会

  • 2024年3月に開催された循環器Physical Examination講習会の動画切り抜きを毎週リリースしてきました.その一年間のデータを解析しました.
  • SNSの4大プラットフォームで,計139,786再生されていました.1動画あたりでは平均2,589再生(最小1,125~最大11,877)でした.
  • ニッチな領域であるためSNSアルゴリズムにハマってバズることはないと思われますが,多くの方にご覧いただけたことに感謝いたします. 

😀 SNSごとの解析
  • X (Twitter)➜ 計93,664再生 平均1,735(523~11,000)
  • Instagram ➜ 計6,763再生 平均125(22~808)
  • TikTok ➜ 計27,051再生 平均501(37~1,211)
  • YouTube ➜ 計12,308再生 平均228(22~618)

- 2024年度の最多再生数動画:計11,877再生 -

松下記念病院 川崎達也)

2025-04-03

\負荷頚静脈法:新たな心不全評価/

  • 日本医事新報に総説を執筆させていただく機会を得ました(感謝)。頚静脈を用いた心不全診療で、私の知識と経験のすべてを盛り込みました。
  • 選び抜いた動画19点と図15点(自作)を含む全24ページの温故知新です。同時に電子書籍としても発行されました。よろしければぜひご覧ください。


(電子書籍⭐️コチラ) 

😊 追記 
  • 日本医事新報は1921年(大正10年)創刊で、毎週土曜日に発行されています(定価1,100円)。現在する商業医学誌では最古の一つで、発行部数はなんと39,500部(週刊)
  • ちなみに日本内科学会雑誌の第1巻は1913年発行で、毎月10日に刊行(臨時増刊号を含め年間13回の刊行)。発行部数は2022年2月10日時点で10万9,300部だそうです。

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-27

負荷の組み合わせ

心筋梗塞後の症例(座位)

🐔 解説
  • 安静では頚部に明らかな拍動なし
  • 吸気保持で拍動が出現?(矢印)
  • 吸気を保持したまま座位➜立位へ
  • 微妙な頚部の拍動は完全に消失!

    🐙 コメント
  • 本例は治療によってHFrEFからHFpEFに改善したHFrecEF症例です.深吸気保持(前負荷増加)で拍動が出現しているなら,中心静脈圧(≒右房圧)は軽度~中等度に上昇していると考えられます.しかし座位から立位への体位変換(前負荷減少)では中心静脈圧は低下しています. 実際に本例はテニスを楽しんでいます.
  • 吸気負荷などで頚静脈拍動が出現しても,立位で消失する症例は日常生活に支障が少ないと思います(自験例).逆に立位になっても拍動が持続する症例は,労作時の息切れが問題になることが多いようです(自験例).さまざまな負荷が可能なシンプル頚静脈©は,心不全管理管理で無限の可能性を秘めているかも...😁

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-20

医療は人文学

陳旧性心筋梗塞の既往がある症例(座位)

💦 現場実況
  • 患者さんは特に体調変化はないと言う
  • 今日は頚を確認しにくい服を着ている
  • 安静座位で明らかな頚部の拍動はない
  • しかし深吸気の保持で拍動出現(矢印)
  • BNPは200台から400台に増加していた

😐 独り言
  • 患者さんの主治医に対する心理には二通りある(と思う).一つは過剰に心配して体調の変化を伝えようとする姿勢.もう一つは逆に症状の悪化時にはなるだけ隠そうとする姿勢.
  • 本例は駆出率が低下したHFrEFであったが,心不全入院はなく,状態は長年安定した.しかし今日に限って頚部を確認しにくい(首元が締まった)シャツを着ている(と感じた).
  • 毎回,頚部を確認しその意義をご本人にも伝えていたことを考慮すると,なんとなく患者さんの心理が伝わってきた.心不全の悪化を主治医に悟られたくなかったのだろう
  • あえてシャツのボタンをはずしてもらうことはしなかった.症状に変わりはないと主張するが,心不全が悪化している可能性をそっと伝えた.減塩指導と早めの再診を指示した.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-13

立位負荷と日常生活

慢性心不全例(HFpEFでEF=60%)

💁 解説
  • 頚部に血管の隆起あり(外頚静脈)
  • 吸気時虚脱(クスマウル徴候陰性)
  • 鎖骨上窩の周期的陥凹は呼吸性変動
  • 吸気負荷で頚部に拍動出現(矢印)
  • 内頚静脈の拍動であり心不全の状態
  • 座位から立位の体位変換で拍動消失

👻 補足
  • 本例は様々は治療を行っても内頚静脈の座位所見が陰転化しない慢性心不全例です.ただし日常生活には支障はなく,長年安定しています.
  • 座位から立位という体位変換はもちろん心臓にとっての大きな仕事です.しかし立位による前負荷(静脈還流)の低下は心負担を減らします.
  • 本例のように立位で内頚静脈所見が悪化しないあるいは陰性である症例は自覚症状に乏しいことが多いと思います(立位でも陽性の自験例

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-06

診る練習ビデオ

心雑音で来院した症例

👀 解説
  • 安静では指先に特記すべき所見なし
  • 圧迫時の爪床の中部~遠位部に注目
  • 白色とピンク色の色調変化に気づく
  • 最終診断は二尖弁の大動脈弁逆流症

👂 独り言
  • 心音(特にⅢ音やⅣ音などの低調音)は,何度も聴いて耳に覚え込まします.視覚も同じです.何度も見ていると僅かな変化にも気が付きます.
  • この動画はそういった眼の練習に最適と思われます.本例は中等度の大動脈弁逆流ですが,中等度以上なら,ほぼクインケ徴候は観察できます.
  • 本コンテンツには大動脈弁逆流例の爪床変化が多くアップされています(コチラから).爪圧迫以外の描出ワザも是非,マスターしてください.

松下記念病院 川崎達也)

2025-01-23

顎下と顎のラインにも注目

息切れが再発した拡張型心筋症例(座位)

😐 解説
  • 安静座位で頚部に拍動は視認しない
  • 深吸気(保持)でも拍動は出現せず
  • BNP値は157 → 1,400 pg/mLに著増
  • 最終的に心不全増悪と診断して入院
💁 追加コメント
  • 内頚静脈は深部静脈であるため胸鎖乳突筋を介する皮膚面の拍動として認識されます.よって本例のように評価が難しい場合があります.一方,外頚静脈は表在静脈であるため視認は容易ですが,中心静脈圧の推定には不向きです(その理由).
  • 高度の肥満では内頚静脈の観察は困難になります(本例のBMIは約35 kg/m2).BMIがあまり大きくなくても首が太くて短い場合(いわゆる猪首)では同様に観察が困難です.一つの目安は顎下や顎のラインが不明瞭なことでしょうか(下図)


松下記念病院 川崎達也)

2025-01-13

😊 素敵な紹介状

息切れが増悪した慢性心不全例(座位)

💗 慢性心不全の増悪
  • 座位で通常呼吸時には頚部に拍動なし
  • よく見ると吸気時に鎖骨上窩に拍動?
  • 深吸気で拍動が安定して出現(矢印)
  • 拍動は陥凹 → 静脈性 → CVPは上昇 

 💓 臨床現場
  • 本例はかかりつけ医からの紹介状がとても素敵であった.「頚静脈の拍動が見えるのでSGLT2阻害薬を追加しました」と記載してあった.
  • 当院受診は薬剤追加の1週間後で,その間に患者さんも自覚症状がずいぶん楽になった様子.当時は通常呼吸時に拍動が明瞭だったと予想.
  • もっとも吸気負荷後にまだ拍動が観察できるので追加加療は必要.自験データでは安静時陽性と吸気後陽性の1年後事故率は同程度(論文

松下記念病院 川崎達也)

2025-01-06

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-01-02

負荷心尖拍動

慢性左心不全の増悪例

😐 解説
  • 乳房下に抬起性心尖拍動 → 左室の拡大・肥大
  • 心窩部にも明瞭な抬起性拍動 → 右室負荷の疑い
  • 座位から立位の体位変換で左室の拍動は変化なし
  • 心窩部の拍動は減弱~消失(右室負荷の減少?)

💟 追加コメント
  • 本例の心尖拍動の変化をどう解釈するかは難しい.心窩部の拍動が立位に伴い目立たなくなったことは,前負荷の減少による右室負荷の低下で説明できそう.一方,心尖拍動(左室)の所見は,前負荷の減少が立ち上がりという仕事で相殺されたと考えるのがいいかもしれない.
  • 心臓の検査では負荷を積極的に併用している(心電図や心エコー,核医学,MRI,心カテなど).身体所見でも然り.負荷を併用した頚静脈評価法(負荷頚静脈)はかなり解明されてきたと個人的には思っている.今後は負荷心尖拍動の臨床的意義も調べていく必要があるかも...

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-30

外頚静脈も大切です

息切れで来院した症例

😐 解説
  • 外頚静脈の隆起が明瞭(ほぼ怒張)
  • 深吸気負荷後は拍動が出現(矢印)
  • 心エコーで心膜液貯留+右心虚脱
  • 心膜液のドレナージを実施(血清)
😀 追加コメント
  • 心不全で重視すべきは内頚静脈で,この場合は怒張という表現は避けるべきです(内頚静脈の怒張→循環停止→死亡).しかし心タンポナーデや緊張性気胸など特殊な病態に対して,外頚静脈の怒張はいまだ有効な身体所見です.
  • 重症の心タンポナーデでは吸気負荷でも外頚静脈の怒張は消失しないことが多いと思います(むしろ悪化:自験例).しかし本例のように軽症例(血圧低下が僅かで頻脈も目立たない)では,吸気負荷で怒張は解除されるようです.
  • 本例の症状は息切れで右心不全よりも左心不全が疑われました.頚部をよくよく観察すると,顎下~頚部中央の皮膚面全体的が拍動していることに気がつきます(きっと内頚静脈の拍動).おまけ 😙 耳垂にフランク徴候もあり

👉 心タンポナーデに関するの過去の投稿は コチラ(PC版なら右下欄から選択可能)

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-19

ブルブルブル

数日前から動悸が持続する症例

🐝 ハミングバード徴候
  • 吸気時に拍動があり?(呼気時なし)
  • 深吸気で内頚静脈の早い拍動が明瞭
  • 左上肢挙上で拍動明瞭化+上縁上昇
  • 最終診断は2:1伝導の心房頻拍(PAT)
  • 再発だったので後日アブレーション

 🐦 追加コメント
  • 本例は発症数日で来院されたため心不全には至っていませんでした.しかしこの状態が2週間ほど持続すると頻拍誘発性心筋症から心不全になります.その時には中心静脈圧が上昇するので安静時でもハミングバード徴候(フロッグ徴候の亜型)が明瞭に観察できると思います(自験例
  • 初期のハミングバード徴候(Hummingbird sign)を見逃さないためにも頻脈を呈する症例では負荷頚静脈評価が重要です.本例では左上肢挙上の方が,深吸気時より拍動が明瞭でした.もっとも負荷前でも吸気時には拍動が見えますが...(今回はすぐ気付きました 😤 プチ自慢)

松下記念病院 川崎達也)

2024-12-05

負荷で改善しているわけではないと思います

弁置換術後の症例(座位)

💧 解説
  • 座位で頚部中央に明瞭な拍動を視認する
  • 陥凹なので静脈拍動 ➜ 非代償性心不全
  • 深吸気負荷で胸鎖乳突筋が明瞭になった
  • それと同時に内頚静脈の拍動は不明瞭に
  • BNP:前回172 pg/ml ➜ 今回305 pg/ml
  • 過労回避と減塩指導で早めのフォローへ

💦 個人的見解
  • 吸気時には胸腔内圧が陰圧になるため,健常者では中心静脈圧が低下します.しかし安静座位で内頚静脈の拍動を視認できるほど中心静脈圧の症状した症例(例えば15 cm水柱 or 11 mmHg以上)では,その圧が正常化することはほぼないと思います.実際に圧の測定はしていませんが,頚静脈所見はほぼ悪化します(拍動上縁の上昇あるいは拍動パターンの変化[陥凹から隆起など])
  • しかし日々の臨床では,吸気負荷で内頚静脈の拍動が逆に不明瞭になる症例に稀ながら遭遇します.本例のように吸気という動作に伴い胸鎖乳突筋が明瞭になることもその一つの理由かと思います.内頚静脈は深部静脈であるがため,胸鎖乳突筋を介した皮膚面の拍動で認識する必要があります.胸鎖乳突筋が緊張すると深部の拍動を認識しにくくなるということは容易に理解できます.
  • そもそも論として「安静時に座位で内頚静脈の拍動を認める症例には負荷が必要なのか?」という問題があります.頚静脈評価の普及を願って作成したアプリ「シンプル頚静脈©」では,安静時に陽性なら負荷は不要と謳っています.負荷で重症度を細分化したいとの想いは分かりますが簡便な半定量評価で十分なのかもしれません(例えば3分割法:拍動上縁が鎖骨上窩・頚部中央・顎下)

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-28

パワフルな静脈拍動

息切れで来院した症例

🐣 解説
  • 右側に加えて左側にも拍動あり
  • ただし拍動は陥凹なので静脈性
  • 吸気負荷で隆起に変化(矢印)
  • 呼吸変動の存在も静脈性に合致
  • しかし用手的圧迫では消失せず
  • 最終的な診断は非代償性心不全

🐥 呟き
  • 頚部拍動には動脈性と静脈性があります.静脈性を示唆する所見としては右側優位,陥凹パターン,呼吸変動あり,圧迫で消失などがあります.逆に動脈性なら,左側でも明瞭,隆起パターン,呼吸変化なし,圧迫されずなどです.
  • 本例では右側に加えて左側でも拍動が目立ちましたが,陥凹パターンで呼吸負荷による変化も伴っていたため視診だけで静脈性(内頚静脈)と診断できました.しかし強めの拍動で圧迫にも負けないチカラ強さには驚きました 😮
  • 右側では稀ながらパワフルな静脈拍動を経験しますが,左側では珍しいと思います.通常このような症例では座位であっても外頸静脈が怒張(注意を要する用語:過去の投稿)していることが多いのですが(自験例)... 奥深い

松下記念病院 川崎)

2024-11-21

たかがリックサック,されど...

慢性左心不全例の定期受診

👜 解説
  • リックサックを背負い診察室に入室(前半)
  • 鎖骨上窩に僅かながら陥凹を認めた(矢印)
  • リックサックを下ろすと拍動は消失(後半)
  • 問診で無理すると息切れがあることが判明

🍙 追加コメント
  • 本例は持続性心房細動を伴うHFpEF症例で,安定期でもBNP値は500 pg/ml前後と高値.リックサックを背負うという行動は仕事であると同時に,静脈の圧迫で血流を変えている可能性あり?
  • 本例がリックサックをして来院したのは初めてなのでそれとなく聞いてみた.すると診察後にお米を買ってリックサックにいれて帰る予定であることが判明.それはオススメしないと伝えた.

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-18

運動誘発肺胞出血
Exercise-induced pulmonary hemorrhage (EIPH)

  • 競走馬で有名な病態でレース後は半数以上に出現する
  • 重症例ではレース後のサラブレットで鼻出血を認める
  • 馬は運動でRAP>60mmHg,PCWP>70mmHgに達する
  • ただしEIPHの有無でRAPやPCWPには有意差なし(下図)
  • 予防にはフロセミドが有効(ただし日本では禁止薬物)
  • ヒトでもマラソンなどを契機に発症例の報告あり(

サラブレッド馬の内視鏡的評価(トレーニング終了60分後)

- 競走馬の負荷中の心内圧 -

😋 独り言
  • 先日の心不全学会での講演(杉本匡史先生)で知った病態です.とても興味深かったため調べてみました.こんなにも高圧になった時の頚静脈拍動ってどんなんだろう? 動脈との鑑別は容易ではないと予想します.
  • でもさすがサラブレット 🐎 あらゆる点でヒトとは比べ物にならない循環系でしょうか.だから運動耐容能も桁違いです.健常若者 11.4 METs,オリンピック選手 22.8 METs,サラブレット 57 METs(以前の投稿)

松下記念病院 川崎達也)