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2020-01-30

肥大型心筋症の蹲踞負荷

肥大型心筋症例の頸静脈(安静座位 ➜ 蹲踞=しゃがみ込み)


🐝 解説&復習
  • 安静時には頸静脈の拍動は目立たないが,蹲踞(そんきょ)後には内頸静脈の拍動が良好に視認できる様になった.特に内頸静脈の大きな陽性波(a波)に注目したい.肥大型心筋症では内頸静脈の増高したa波が特徴的であるが,通常は臥床でなければ視認できない.そんな時にはバルサルバや蹲踞などの負荷をやっておきたい.
  • 肥大型心筋症のa波増高には,必ずしも右室の肥大を伴う必要がない.これは左室は心膜と心室中隔を共有するため左室が右室の血行動態に影響するた(ベルンハイム効果)と考えられる.実際に本例にも右室自由壁の肥大はなかった.もっとも(個人的な経験では)右室肥大を有する症例ではa波増高はより明瞭 ➜ 自験例

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2020-01-27

指クイズ

息切れで来院した症例の右示指(軽く圧迫)





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2020-01-23

バルサルバ負荷に対する頸静脈の反応

  • 肥大型心筋症例の頸静脈(安静座位 ➜ バルサルバ負荷)

🐧 解説
  • 安静時には頸静脈の拍動は目立たないが,バルサルバ負荷で外頸静脈の陽性波(a波)が短時間明瞭化する.肥大型心筋症では内頸静脈の増高したa波が特徴的であるが(実例),座位で視認することは稀である(あっても僅か ➜ 実例).そんな時にはバルサルバ負荷や蹲踞などでa波出現の有無を確認してもいいのでは…
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2020-01-13

👴 歴史クイズ

(Wellcome Images)


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2020-01-09

拡張期クリック

  • クリックと言えば僧帽弁逸脱時に生じる収縮期クリックが有名
  • しかし特殊状況では拡張期にも生じる(機序は逸脱が戻る音)
  • 下記の自験例は腱索断裂による逸脱で生じた急性僧帽弁逆流



※通常の収縮期クリック(赤矢印)に加えて拡張期クリック(赤矢頭)に注目



👾 おまけ
  • 本例の経胸壁心エコー図はプローベが破損したかと思うような逆流シグナルで僧帽弁逆流の原因はよく分からなかった.その後に行った経食道心エコー図で腱索断裂によるA2とA3の逸脱と診断できた.

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2020-01-06

眼クイズ

倦怠感を訴えて来院した症例の右眼(指で下眼瞼を押し下げている)



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2020-01-02

今年こそ触れずに診断!

息切れで来院した症例の頸部所見(左は座位/右は臥床で枕あり)


🐧 解説
  • 座位で明瞭な頸部の拍動が,臥床では不明瞭である.拍動は陽性波 ➜ 頸静脈なら巨大v波(ランチージ徴候),頸動脈ならコリガン脈. ポイントは巨大v波ならば臥床で消失することはない(むしろ増強:ただし強い怒張で拍動が不明瞭になることはある).一方,コリガン脈は座位の方が観察しやすい(重力による虚脱増強のため).本例は最終的に高度の大動脈弁逆流によるコリガン脈と診断された.
  • 頸静脈の拍動が動脈性か静脈性かは触診で概ね鑑別できる.分かりにくい症例でも,呼吸性変動の有無や聴診の併用(例:Ⅱ音を跨ぐか否か)で判断可能.でも視診のみで診断できらたカッコいい.これは心エコー図の前に聴診で弁膜症を診断することと似ている.もちろん視診は診断だけでなく治療効果の判定にも有用 ➜ 自験例
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松下記念病院 川崎達也)