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ラベル 皮膚 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2026-01-29

今週の一枚 🎯

- 両側の趾痛を訴える高齢者 -

(松下記念病院 川崎)

2025-12-25

チアノーゼ Cyanosis

  • 皮膚や粘膜の青紫色変化で毛細血管内血液の還元Hb濃度≧5 g/dlで出現
  • 低酸素血症に特異的ではない(例:CO中毒の低酸素血症では出現せず)
  • 口唇や口腔粘膜,鼻尖,耳朶,指先ほかに出現(毛細血管血液色を反映)
  • 総Hb濃度の影響が強い(貧血で出現しにくく赤血球増多で出現しやすい)
  • 中枢性と末梢性(下表),ヘモグロビンの異常による血液性に大別できる
  • 血液性チアノーゼはメトヘモグロビン血症や乳児メトヘモグロビン血症他


中枢性チアノーゼ 末梢性チアノーゼ
酸素飽和度 動脈血
  • 低下(基準値 100%)
  • 正常(基準値 100%)
毛細血管内血液
  • 低下(基準値 85%)
  • 低下(基準値 85%)
静脈血
  • 低下(基準値 70%)
  • 低下(基準値 70%)
分類
  • 呼吸機能障害(泣き入りひきつけやARDSなど)
  • 右左シャント(Fallot四徴やアイゼンメンゲル症候群など)
  • 肺胞内酸素分圧低下(高地環境)
  • 末梢循環不全(低心拍出症候群や寒冷曝露,レイノー現象など)
  • 動脈閉塞性疾患(動脈性塞栓症など)
  • 静脈閉塞性疾患(静脈瘤や血栓性静脈炎)
出現部位
  • 全身に出現
  • 指尖や鼻尖などの末端に限局(粘膜には認めないことが多い)



😐 おまけ
  • 上半身と下半身でチアノーゼの程度が異なると解離性チアノーゼ(Differential cyanosis)
  • 上半身優位のチアノーゼ ➜ 完全大血管転位(肺循環血液が動脈管を介して下行大動脈
  • 下半身優位のチアノーゼ ➜ アイゼンメンジャー化 or 大動脈縮窄症を伴う動脈管開存症

(松下記念病院 川崎達也)

2025-11-17

螺旋状毛 Corkscrew hair

  • 先日,コルクスクリュー(corkscrew hair)に関する報告を立て続けに眼にしました.きっとそのうちに循環器外来でも出会うと思うので(既に遭遇しているも気付かずスル〜?😥),ここにアップしておきます.

- 皮下出血で来院した若者 -

😎 解説
  • 左大腿後面に皮下出血あり(パネルA)
  • 四肢全体に毛包性紅斑あり(パネルB)
  • ダーモスコピーで螺旋状毛(パネルC)
  • 生検で表皮出血と毛包開口部の縮れ毛
  • 本症例の最終診断は壊血病(Scurvy)

😑 螺旋毛:深掘り
  • 壊血病の典型的な皮膚症状の一つで,ビタミンC欠乏症に起因するコラーゲン合成障害によって発生
  • 他の原因には頭部白癬(Tinea Capitis)や外胚葉異形成症候群(Ectodermal Dysplasia Syndromes)


(松下記念病院 川崎達也)

2025-02-24

脱水とうっ血

大動脈弁位人工弁症例の息切れ(座位)

💦 解説
  • 頚部の皮膚は乾燥して張りがない
  • 安静時に頚部に拍動もある(矢印)
  • 吸気で拍動の明瞭化 ➜ 内頚静脈
  • 皮膚をつまむ ➜ ツルゴール低下

😐 追加コメント
  • 本例は視診で中心静脈圧上昇(心不全)と血管内脱水と診断できそう
  • BNP値は300台であったがご本人の息切れや倦怠感の訴えは強かった
  • もちろんこのような症例には安易な利尿薬追加や減塩指導は避けたい
  • 血圧が正常高値であったため降圧薬の強化と心臓リハビリを追加した

(松下記念病院 川崎達也)

2024-12-26

Ehlers–Danlos syndrome エーラス・ダンロス症候群

エーラスダンロス症候群に関する論文が先日,出版されました(Med Genet 2024 Dec 3;36:225-234).図鑑のような体裁で臨床医にはとても分かりやすいと感じました.本ページでも取り上げておきます(全文がネットで読めます)

💚 抄録訳
  • 単一遺伝子性エーラスダンロス症候群(EDS)は、関節過可動性、皮膚過伸展性および/または脆弱性、および全身組織脆弱性を臨床的に特徴とする遺伝性結合組織疾患のグループです。現在、単一遺伝子性EDSタイプの診断を確定するためのゴールドスタンダードは、大規模並列シーケンシングによる遺伝子パネル検査です。遺伝子検査の可能性は大きく進歩しているものの、病歴、家族歴、身体検査を含む徹底した臨床評価が診断プロセスにおいて依然として重要であるため、私たちは、単一遺伝子性EDSタイプの臨床的特徴(の組み合わせ)をテキストと写真で報告し、臨床診断に役立てることを目指しています。さらに、分子診断が不可能な場合でも、臨床診断によって管理と監視を導くことができます。



- 骨格筋の特徴 -



- 皮膚の特徴 -



- その他の臨床的特徴 -

💙 命名までの遍歴
  • エーラス・ダンロス症候群という名称は,オランダの皮膚科医 Edvard Laurits Ehlers (1863-1937) とフランスの皮膚科医 Henri-Alexandre Danlos (1844-1912) に由来しています.しかしヒポクラテスは紀元前400年にこの疾患の特徴に言及し,van Meek'ren が1682年に医学的記述を残しています.1892年には Tschernogubow が発表していますが,ロシア語だったためか西ヨーロッパではほとんど見過ごされたようです.そして1901年と1908年にそれぞれ影響を受けた患者を記述した Ehlers と Danlos にちなんで,1936年に Weber がこの疾患を Ehlers–Danlos syndrome(EDS)と命名したようです.


👉 エーラス・ダンロス症候群に関するの過去の投稿は コチラ

(松下記念病院 川崎達也)

2023-09-04

電紋 Lichtenberg figure

  • 落雷直撃で体表を這う沿面放電による皮膚の樹枝状所見(下図)
  • 英名は分岐放電を研究した独の物理学者 リヒテンベルク に由来
  • 機序は体表面の放電で血管透過性が亢進して血液の血管外漏出
  • 落雷は雷雲と地表の間に2百万V/m以上の電圧差の形成時に発生
  • 本体は数ns以内に最高値3万Aに達して,約40nで半減する衝撃波
  • 世界中で100万人あたり0.2〜1.7人/年間の頻度で雷撃死が発生
  • 発生頻度は女性よりも男性が5倍ほど多く,好発年齢は10〜29歳
  • 雷撃症の瞳孔散大や対光反射消失は予後と無関係で蘇生が必要
  • 雷撃症の死亡率は10〜30%で生存者でも約70%に重大な合併症


左即腹部の電紋(リヒテンベルク図形)

雷撃症による皮膚病変のイメージ図
線状熱傷(左):点状熱傷(中, 矢印):樹枝状電紋(右)

💔 心臓への影響
  • 脱分極による心停止,不整脈,心筋挫傷,心筋梗塞,心膜炎,たこつぼ心筋症など
  • 原因は冠動脈攣縮,血中カテコラミン上昇,直接温熱障害,不整脈に伴う虚血など
  • 不整脈では心房細動や心室性不整脈が出現しやすいが通常24時間以内に正常化する


(松下記念病院 川崎達也)

2023-03-23

ツルゴールの低下ならぬ消失

疲労感で紹介受診した高齢者

💧 解説
  • 座位で手背は心臓よりも低位にあったが静脈は見えず
  • 皮膚の張り(ツルゴール,turgor)が低下(回復≧2秒)
  • 最終的に本例は感染症に伴う脱水と診断され入院した

💦 独り言
  • 簡便な脱水指標としてツルゴールの低下やCRT(capillary refilling time/爪床血流充填時間)の延長が有名ですが,高齢者ではあまり当てになりません.しかし本例のようにツルゴールが消失していれば信頼していいと思います.
  • 脱水の他の身体所見として腋窩の乾燥,口腔・鼻粘膜の乾燥,舌の皺,眼球の陥没などが知られています(過去の投稿).なお脱水ならば血管内脱水(Volume depletion)と血管外脱水(dehydration)を要鑑別(過去の投稿)

(松下記念病院 川崎達也)

2023-02-13

カルチノイド心疾患 Carcinoid Heart Disease

👽 カルチノイド症候群(Carcinoid syndrome)
  • 概念 カルチノイド腫瘍(神経内分泌腫瘍)から活性物質の放出(同腫瘍の約10%)
  • 機序 活性アミン(セロトニン・ヒスタミン),タキキニン,プロスタグランジンなど
  • 部位 消化管に発生することが多く,次いで肺や気管支,稀に卵巣や胸腺にも発生
  • 疫学 世界的なカルチノイド年齢調整発生率は10万人当たり約2人(小児期は極稀)
  • 症状 下痢や皮膚潮紅,喘鳴,ペラグラ症状(rough scaly skin,舌炎,口角炎)など
  • 心臓 稀に右心系の心内膜や弁の線維化で三尖弁逆流や狭窄など(カルチノイド心疾患) 
  • 診断 セロトニンの代謝産物である尿中5-HIAAの測定(24時間蓄尿)+各種画像検査
  • 治療 大原則はリンパ節郭清を伴う外科手術による根治的切除(有効な化学療法なし)

カルチノイド心疾患の72歳男性
顔面の潮紅+(心不全による)チアノーゼ+毛細血管拡張

(松下記念病院 川崎達也)

2023-01-16

カロテン血症 Carotenosis

  • カロテノイド色素の過剰摂取で皮膚(特に掌や足底,鼻など)が黄染した状態
  • 同色素が多い食物(ミカンなど)を過食すると生じるため柑皮症とも呼ばれる
  • 黄疸は眼球結膜(強膜)が黄色くなるが,柑皮症ではならないため区別は可能
  • 白眼黄染が生じない理由はカロテンと親和性が高い脂質が強膜には少ないため

マンゴーとオレンジを6週間に渡って何度も食べた19歳女性

👵 もっと詳しくなら...
  • カロテノイドは脂溶性化合物でα-およびβ-カロテン,β-クリプトキサンチン,リコペン,ルテイン,ゼアキサンチンから構成されています.ミカン以外にもリンゴやオレンジ,パパイヤ,豆,モモ,ベリー,パイナップル,マンゴー,ブロッコリー,キャベツ,カボチャ,ニンジン,ほうれん草,トマト,レタス,バター,チーズ,卵黄,肉,牛乳,栄養補助食品,パーム油などに様々な食物に含まれています.
  • カロテノイドは消化管からの受動拡散によって吸収され,一部は腸粘膜や肝臓でビタミンAへ代謝され,残りは汗・皮脂・尿・消化管分泌物として体外へ排出されます.カロテン血症の最も一般的な原因はカロテン過剰摂取ですが,稀に糖尿病や腎疾患(糸球体腎炎やネルフローゼ症候群など),甲状腺機能低下症,神経性食欲不振症,原発性肝疾患などの全身性疾患に起因することもあるようです.
  • 食事誘発性カロテン血症は病歴と身体所見から診断されます.ただし血清ベータカロテン値が高いこと,ビタミンA値が正常またはわずかに上昇していること,および肝機能検査の結果が正常であることによって確認できます.基礎疾患がなければ深刻な結果につながる可能性が低い良性疾患(美容的な問題は除く)で,食事中のカロテン量を減らすことで消失します.ちなみに昔はカロチンと呼んでいました.


(松下記念病院 川崎達也)

2022-06-06

見たことはありませんが…

💠 尿素霜(Uremic frost) 
  • 血中尿素の増加に伴って汗中の尿素濃度が上昇して皮膚に尿素が付着した状態
  • 末期腎不全を反映する皮膚所見で古くから知られている(Hirschsprung, 1865)
  • 頻度は極めて稀(1%未満)(出典)で尿素窒素が200 mg/dl以上と関連(出典)


🚑 カッコいい状況
  1. 病歴と身体所見(頸静脈怒張やⅢ音聴取)などから心不全と診断
  2. 体毛部分を確認して尿素霜を見つけ心不全の原因は腎不全と判断
  3. さりげなく リンジー爪 や 心膜摩擦音(尿毒症性)の有無も確認

(松下記念病院 川崎達也)

2021-12-27

🔥 脱水時の身体所見

所見 感度 特異度
腋窩の乾燥 50% 82%
口腔や鼻粘膜の乾燥 85% 58%
舌の皺 85% 58%
眼球陥没 62% 82%
(McGee S. Evidence-Based Physical DIagnosis. 2001)

👶 おまけ
  • 脱水指標として皮膚ツルゴールの低下やCRT(capillary refilling time/爪床血流充填時間)が有名
  • しかし高齢者では健常でもツルゴールの低下やCRTの延長を認めることがあるため注意が必要です


  • 中心静脈圧が正常でも臥床なら頸静脈拍動を観察できます(無料アプリ:ポケット・フィジカルの自験例).よって臥床(特に枕なし)で頸静脈拍動がなければ脱水を疑う必要があります.
  • しかし拍動が軽微な症例もあり,頸静脈所見は中心静脈圧の上昇時ほど力を発揮できません.そこで下肢挙上です.前負荷増大で頸静脈の拍動が出現すれば脱水であったことが示唆されます.
  • 頸静脈所見の変化は急速補液による輸液反応性として用いることも可能です. なお脱水なら血管内脱水(Volume depletion)と血管外脱水(dehydration)の鑑別もね(過去の投稿)😛

※ 以前に松下ERランチカンファレンスに投稿した内容の更新版です 🎶

(松下記念病院 川崎達也)

2021-01-28

皮膚は語る

息苦しいと訴え早朝のERに搬入された症例の腹部

😱 解説
  • 皮膚に網目状の紅斑である網状皮斑(livedo reticularis)を認める
  • その本体は小動脈の狭窄および小静脈の拡張による末梢の循環障害
  • 単なる寒冷暴露でも出現するがショックやDIC,血液疾患などに注意
  • 特に本例の様に呼吸困難感を伴う場合は高度の末梢循環不全を示唆
  • 本例の最終診断は急性肺血栓塞栓症+ショックで乳酸値は98mg/dL

🚑 臨床現場
  • 本例は症状と網状皮斑から状態が極めて悪いとすぐに判断できた.肺音が清であり心不全は否定的.頸静脈も座位陰性(ただし最終診断を考えるとこれは微妙:ショック時はあまり有用でない?)
  • 胸部X線(肺うっ血なし)とベットサイド心エコー図(右室拡大+マッコーネル徴候)から急性肺血栓塞栓症と診断してヘパリンとtPA(モンテプラーゼ)をER室で投与した
  • 状態が少し改善後に造影CTを行い診断を確定(深部静脈血栓も合併).不安定な状態でCT室への安易な移動は出来るだけ回避する必要がある(死のトンネル).ICU入室時には網状皮斑は消失

フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2020-12-24

ペースメーカ感染症

ペースメーカ植込み慢性期に創部異常を認めた症例

😈 コメント
  • 皮膚が壊死してペースメーカ本体が露出し,創部からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.抗菌薬投与と創面切除(デブリードマン)では完治せず,最終的にペースメーカ抜去を要した.
  • ポケット感染の発生頻度は759手術中20例(約3%)で,3月以内が5例,7ヵ月〜2年が12例(心臓 2002;34:639-43).その予後は不良で,感染デバイス416件の30日死亡は5.5%, 1年死亡は14.6%(Heart Rhythm 2011;8:1678-85) 
  • 一旦ポケット感染を発症した症例では,創部治癒後に再手術を対側に行うことが多いが,再感染を生じるリスクが低くない.心房ペーシングが必須でないなら,リードレスペースメーカ(下図)を植込む選択肢がある.
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)

2019-08-05

胸痛+皮疹で決まりですが…

  • リウマチ熱による弁膜症に対し大動脈弁と僧帽弁の二弁置換術後例
  • 胸痛と眩暈を訴え循環器内科を受診/明らかな神経脱落症状はない


💁 現場レポート

右胸壁の帯状疱疹であるが眩暈は説明できないと思い耳鼻咽喉科に相談に行った
  • 循環器内科医 「胸壁の帯状疱疹だけど,めまいがひどいから見てくれない?」
  • 耳鼻咽喉科医 「いいですよ.耳鳴りはあるんですか?」
  • 循環器内科医 「耳鳴りはない.顔に水疱もないしハント症候群ではないと思うんだけど…」
  • 耳鼻咽喉科医 「でもハント症候群で顔に水疱がない症例を以前に経験したことがありますよ」

本例は最終的にラムゼイ・ハント症候群の可能性が高いと診断され耳鼻咽喉科で入院
アメナメビルで治療して合併症なく改善(経過中に胸壁以外の皮膚所見は出現せず)

👾 おまけ
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination
(松下記念病院 川崎達也)