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2024-02-01

ハミングバード徴候 Hummingbird sign

ひと月前に突然出現した動悸とその後の息切れ(座位)

👶 解説
  • よく見ると右側の頸部が細かく振動している
  • 深い吸気の保持中に外頸静脈が怒張(矢頭)
  • 病歴+フィジカル診断は頻拍誘発の心不全
  • 最終診断は2:1伝導のAT+頻拍誘発性心筋症

🐝 ハミングバード徴候(Hummingbird sign)
  • 同徴候はハチドリの激しい羽ばたきを想定して命名しました(当科論文).房室結節回帰性頻拍(AVNRT)によるフロッグサイン(frog sign)のおよそ2倍の周期で振動します.
  • 頸部の拍動では動脈性か静脈性かの鑑別が必要ですが,このような早い拍動(>200 bpm)なら静脈性と考えられます.安静時に生じる超頻脈では動脈圧が低下するためです.
  • 静脈性拍動には隆起と陥凹の二通りありますが,本例のように周期が極めて短い場合は隆起が多いと思います.x谷とy谷の2峰性陥凹は早ても100 bpm程度でしょうか(自験例).

(松下記念病院 川崎達也)

2023-08-17

超フロッグサイン

数日前から動悸が続く症例(体位は座位)

🐸 解説
  • 座位で頸静脈は視認しないが吸気後には出現(矢印)
  • 拍動はとても早い(まるでハチドリの羽ばたきの様)
  • 最終診断は心房頻拍(2:1伝導)による心不全の増悪
  • DCを予定したがジギタリス点滴で洞調律に回復した

🐝 独り言
  • 頸静脈の早い拍動としては,房室結節回帰性頻拍(AVNRT)のフロッグサイン(frog sign)が有名です.フロッグサインの拍動は140回/分前後の周期ですが,本例は240回/分程度で一見静止している様にみえます(勝手に命名:ハチドリ徴候/Hummingbird sign).
  • このハチドリサインは頻脈誘発性の非代償性心不全になれば,吸気負荷を行わなくても観察できる様になります(自験例).一方,フロッグサインは心不全を伴わなくても観察できることが多いと思います.心拍数がそれほど早くないので拍動自体が大きくなるためでしょうか...
  • 進行性核上性麻痺(PSP)では中脳被蓋が萎縮するため,そのMRI像をハミングバード徴候と言うそうです(下図).頸静脈Hummingbird signの命名は,あまりにも素早い翼の羽ばたき(ホバリング中は約3,000回/分)からなので,厳密には被ってはいないと思いますが...😅

(松下記念病院 川崎達也)

2024-01-18

🏆 論文:ハミングバード徴候

  • 当院で実習された医学部6年生の方が経験した症例が出版 🎉
  • 主訴は1月前から持続する動悸感と継時的に増悪する息切れ
  • 心拍数は123 bpmで頸静脈から判定した中心静脈圧は上昇
  • ユニークなのは頸静脈拍動が肘動脈拍動の倍程あり(動画)
  • 脈波図はキャノンa波(下図C矢頭)と通常a波(*)の疑い
  • 最終的な診断は2:1伝導の心房頻拍による頻脈性心不全です


🐝 ハチドリ徴候/Hummingbird sign
  • 本例の頸静脈所見のようにすごい速さの振動を,当院ではハミングバード・サインと呼んでいました(過去の投稿).このフィジカル所見にはまだ名前はない様なので,本論文のタイトルを”Hummingbird-like cannon a-waves”としました.フロッグ・サインの亜型として普及するといいのですが...
  • 身体所見に興味を有する医師にとって,新たなフィジカルを発見し報告することは何事にも勝る喜びだと思います(命名できればなおのこと).当院が関与できた新報告には"Atrial cannon sound"や"Diastolic paradoxical jet flow murmur"などがあります.もっともこの命名が普及しているとは思えませんが...

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

(松下記念病院 川崎達也)

2024-12-19

ブルブルブル

数日前から動悸が持続する症例

🐝 ハミングバード徴候
  • 吸気時に拍動があり?(呼気時なし)
  • 深吸気で内頚静脈の早い拍動が明瞭
  • 左上肢挙上で拍動明瞭化+上縁上昇
  • 最終診断は2:1伝導の心房頻拍(PAT)
  • 再発だったので後日アブレーション

 🐦 追加コメント
  • 本例は発症数日で来院されたため心不全には至っていませんでした.しかしこの状態が2週間ほど持続すると頻拍誘発性心筋症から心不全になります.その時には中心静脈圧が上昇するので安静時でもハミングバード徴候(フロッグ徴候の亜型)が明瞭に観察できると思います(自験例)
  • 初期のハミングバード徴候(Hummingbird sign)を見逃さないためにも頻脈を呈する症例では負荷頚静脈評価が重要です.本例では左上肢挙上の方が,深吸気時より拍動が明瞭でした.もっとも負荷前でも吸気時には拍動が見えますが...(今回はすぐ気付きました 😤 プチ自慢)

(松下記念病院 川崎達也)

2024-02-05

光と影:レンブラント

動悸+息切れを訴える症例

🐝 ハミングバード徴候(Hummingbird sign)
  • 座位で右頸部に細かい拍動あり(前回と同一症例)
  • ペンライトで照らすことで生じた影の動きにも注意
  • 吸気負荷で外頸静脈が怒張 ➜ その影の振動に注目
  • 最終の診断は2:1伝導の心房頻拍+非代償性心不全

🔦 光と影
  • オランダの画家 レンブラント(Rembrandt Harmenszoon van Rijn, 1606-1669)は光と影の魔術師として知られています.その人生も光と影のような壮絶だったようですが...(詳細)
  • 本例のように,フィジカル診察にもこの光と影を大いに活用して下さい.光源としてはペンライト(自験例)やスマホ(自験例)だけでなく,太陽の自然光も利用できます(自験例).

(松下記念病院 川崎達也)