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2022-05-12

聴診だけで分かると言えば分かるが…

息切れで来院した症例

🐔 解説
  • 収縮期雑音は駆出性が疑われⅡ音が不明瞭なため重症の大動脈弁狭窄?(復習
  • 4拍目〜RR間隔が延長しているが,雑音の音量に変化ないため逆流性?(復習
  • 心エコー図では重症の僧帽弁逆流であった(後尖の短縮があり逸脱は目立たず)
  • 心音図ではⅣ音(矢頭)とⅢ音(矢印)が記録されているが聴診での認識は難

🐓 追加コメント
  • 僧帽弁逆流と言えば,汎収縮期雑音(全収縮期雑音,収縮期逆流性雑音)でⅠ音とⅡ音が不明瞭.特にⅡ音の聴診の有無が,駆出性雑音(大動脈弁狭窄)との鑑別に有用(自験例).
  • ただし僧帽弁逆流でも重症ならダイヤモンド型の漸増漸減雑音になることは有名.さらに本例ではⅢ音を減弱したⅡ音と誤認して,重症の大動脈弁狭窄と判断してしまうかも…
  • 幸いRR間隔の変動があったため,雑音の音量が影響されていないことから逆流性雑音+Ⅲ音と予想可能.もっとも頸動脈拍動を確認すれば,大動脈弁狭窄との鑑別には悩まない 😊

👿 僧帽弁に関する過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

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