拡張期雑音を指摘され来院した症例(症状なし)
📡 視診にこだわった実況中継
本例では体位と陽性波の関係で,フィジカル診断に迷いが生じました.触診あるいは呼吸負荷に対する反応,聴診の併用などで両者の鑑別(動脈性 vs 静脈性)は容易と考えられます.しかし脈に触れたい想いをぐっと我慢して,あくまでも視診にこだわってみました.本例はコリガン脈でありながら臥位でより明瞭であった理由は不明ですが,大動脈弁逆流の程度が一因であった可能性があります.重症であれば重力に抗して大きな陽性波が形成されますが,中等症ではそこまでの拍出量はないのかもしれません.大動脈弁狭窄ではフィジカルで重症度の診断技術が(ある程度)確立されています(過去の投稿).是非,大動脈弁逆流でも挑戦していきたいと思います.
(松下記念病院
川崎達也)