下腿浮腫で受診した高齢者の指爪
💅 テリー爪(Terry’s nails)
- 爪床の白色部が80%以上で遠位端のみピンクの状態(leukonychia/爪白斑)
- 名称は英国の医師 Terry RB(1914-1960)の初報(Lancet 1954;266:757-9)
- 肝疾患以外に腎疾患や心不全,糖尿病,甲状腺機能亢進,栄養不良でも出現
- 正確な原因は不明であるが,爪床の血管密度の減少と結合組織の増加が一因
- 本例は最終的に代償された心不全と診断(肝不全や腎不全,甲状腺異常なし)
👻 独り言
- Terryの初報では肝硬変100例中82例(90%以上がアルコール中毒)に認めています(Lancet 1954;266:757-9).よって頭の片隅に”テリー爪 ➜ 肝疾患”があったため,本例の下腿浮腫の原因は肝疾患だろうと信じながら診察してしまいました(いわゆるマズローの金槌).
- しかし本所見の頻度は稀ではありません.入院患者の連続512例中25.2%にテリー爪があり,心不全症例も少なくないようです(Lancet 1984;1(8382):896-9).これはまさしくフィジカル三原則:🙈 知らない所見は見えない 🙉 知らない音は聴こえない 🙊 知らない所見は触れない
💁 爪に関する過去の投稿 ➜ コチラ(PC版なら右欄からも選択可能)
(松下記念病院
川崎達也)
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