心不全と末期腎不全で入院中の症例が呼吸困難を訴え,その後に意識消失
💀 解説
- 胸部X線で肺野の透過性低下が著明で,予想通り心不全の増悪
- 動脈血のガス分析では,代謝性アシドーシスで呼吸性代償あり
- でも意識障害を説明できる低酸素血症やCO2ナルコーシスなし
- 血ガスのデータをよく見ると血糖値が15 mg/dlしかなかった!
- ブドウ糖の静脈投与で意識は改善(もちろん心不全治療と並行)
- ちなみに本例には血糖降下薬やインスリンの投与歴はなかった
👹 おまけ
- 血ガスの読み方の基本(あくまでも当院): pH(アシデミア vs アルカレミア)➜ PaCO2(一次性原因の代謝 vs 呼吸)➜ HCO3-(代償の呼吸性 vs 代謝性)【復習は無料ゲームの血ガス30で】
- でも同時に算出される脇役(?)のGlu(高血糖や低血糖)やCO(一酸化炭素中毒),MetHb(メトヘモグロビン),Cl(ブロム中毒や高クロール血症によるアシドーシス)も忘れずにチラ見
- 心不全の増悪に伴う低血糖の原因には,腎うっ血に伴う血中インスリンの代謝遷延,低酸素やカテコラミン増加によるインスリンの分泌亢進,グルカゴンの分泌低下,低栄養に伴う糖質の供給低下,貯蓄能の低下による糖新生阻害,BNPの直接・間接的な血糖低下作用などがあり(過去の投稿)
(松下記念病院
川崎達也)
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