咳嗽で来院した症例の頸部動画(呼吸調整なし)
👽 甲状腺腫(Goiter)
- 頸部に巨大な甲状腺腫 ➜ 甲状腺腫は機能低下/亢進のいずれでも生じて心不全の原因になる
- 頸静脈は半座位で視認しない ➜ 中心静脈圧の上昇を積極的に疑う所見なし ➜ 心不全は否定的
- 本例は最終的に気管支炎と診断(橋本病の既往があったがホルモン値は正常でeuthyroid状態)
🐽 トリビア
- Goiter(英国ではGoitre)はラテン語で喉を表す gutturia が由来です.本例の様にびまん性のgoiterは,本邦ではバセドウ病や慢性甲状腺炎(橋本病),亜急性甲状腺炎を疑いますが,世界的にはヨード欠病が最多の原因のようです(ヨウ素添加塩を用いないため).
- Goiterの治療は唐時代(618–907)の中国ですでに行われていました.ヒツジや豚などヨードを多く含む動物の生の甲状腺をgoiter症例に投与して治療していたようです(The Genius of China: 3,000 Years of Science, Discovery, and Invention. ISBN 0-671-62028-2. Pages 133-4).
※ 松下ERランチ・カンファレンスとのマルチポストです 🍙
(松下記念病院 川崎達也)