心電図異常で来院した症例の座位左前胸部(以前に半日間持続する胸痛あり)
📏 解説
- 拍動の最外側点が左乳房より外側 ➜ 心拡大
- 拍動の観察が2肋間で可能である ➜ 心拡大
- 隆起の持続時間が長い(抬起性) ➜ 心肥大
- 隆起または陥凹が不規則 ➜ 心房細動の疑い
- 外側拍動の隆起が陥凹の時相で内側が隆起!
- シーソー運動 ➜ 収縮期バルジ(心室瘤?)
- 本例の最終診断は身体所見の通りであった
- つまり前壁心筋梗塞+心尖部瘤+心房細動
🐙 独り言
フィジカル 広場 心臓 physical exam examination- 広い範囲で胸壁の拍動を認める場合,内側拍動は右室のことがある.通常は左室収縮が右室収縮よりも少し先行するが(実例),本例のように隆起がシーソーのように観察されることはないと思う.
- 心尖拍動図で駆出点(E)後に続く収縮後期の小隆起(end-systole shoulder, ESS)の増大はbulge(出っ張りや膨らみの意味)と呼ばれ, 出現時相で収縮中期と収縮後期に分類できる.
- 収縮期バルジは虚血性心疾患や圧負荷(大動脈弁狭窄や高血圧性心疾患など),左脚ブロック,閉塞性肥大型心筋症,僧帽弁逆流などで生じるが,本例のような心室瘤によるlate systolic bulgeが分かりやすい.
- 収縮期バルジは狭心症の症例でも認められることが報告されている(Chest 1974;65:169-75).たこつぼ心筋症でも出現すると思われるが,まだ経験したことはない.
(松下記念病院
川崎達也)
1 件のコメント:
正確には心尖拍動ではなくて心室瘤拍動(または胸壁拍動)と言うようです.心機図なら心尖拍動図ではなくて心室瘤図(aneurysmogram)になります.
心音ふしぎ探検(坂本二哉先生著)の66ページと155ページより
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