このブログを検索

2024-10-21

S3:ASとMR

  • 先日の学会(フィジカル教育セッション)で大動脈弁狭窄(AS)ではⅢ音(S3)があまり聴取されないことを知りました.演者の施設では40余例でS3は1例のみでした.同様の結果を示す論文(下図左)も提示されていました.あまり考えたことはなかったのですが,確かに心不全を発症したASでS3を耳にした記憶は乏しいかもしれません.
  • やはりS3といえば僧帽弁逆流(MR)でしょうか.その重症度に伴ってS3の頻度は増加する様です(下図右).ただし発表の結論の一つに「MRではS3を認めても必ずしも左房圧が上昇しているとは限らない」というものがありました.また「HFrEFではS3の大きさとPAWP値と相関する」とも述べられていました.とても勉強になります.
  • 座長をされていた先生(フィジカルの匠)が興味深い表現をされていました.思い出せる範囲で記録しておきます.「S3はバチと太鼓の関係です.バチが鋭く太鼓の皮が薄いほど響く.つまり左室の急速流入血(E波)が高くて左室肥大がないMRでは出現しやすい.一方,ASではバチは鋭くないし,おまけに太鼓の皮もぶ厚い」 なるほどです😐

- 弁膜症とS3の頻度 -

松下記念病院 川崎達也)

0 件のコメント: