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持田製薬さんと作成している心音クイズのシーズン2 第二弾です(GROUP T inc.さんにも感謝
🙏 レイアウトも一新).今回は臨床現場でしばしばお目(耳?)にかかる2症例です.もっとも少しひねりを効かせた(聴かせた?)症例です 😉
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今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2026年2月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は初回のみ簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです
😁
意識障害で搬入された症例
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解説
- 少し荒めの呼吸が目立つ(腹式)
- 呼気時に左季肋部に拍動(矢印)
- 本例は甲状腺の腫大と雑音あり
- 最終的な診断は甲状腺クリーゼ
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コメント
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大動脈弁逆流症では左上腹部に拍動を認めることがあります(ゲルハルト徴候/Gerhardt
sign).その機序は大脈に伴う脾臓の収縮期拍動です.同様に肝臓の拍動はローゼンバッハ徴候(Rosenbach sign)と呼ばれています.
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本症例で認めた左季肋部の拍動は,甲状腺機能亢進症による大脈で生じたゲルハルト(様?)徴候でしょうか? 右季肋部の拍動は不明瞭ですが,触診では肝臓の拍動(ローゼンバッハ[様?]徴候)もあるような気がしました😉
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循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた
physical
examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
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2025年4月から毎週末に循環器に関するフィジカルクイズをX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらのページには2週分ずつまとめてアップします.
👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
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独り言
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上記報告では体位が記載されていないため中心静脈圧の推定値は不明ですが,半坐位としても30㎝水柱は超えていそうです.右心不全が主体でなければ出現しない身体所見?
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自験例で静脈拍動の最上縁記録は側頭部(立位)です(こめかみサイン/Temple sign of
JVP).同症例を臥位にしてもNEJM症例のような前額での拍動はありませんでした.
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前額静脈の拍動はTRの長い病歴や皮下組織のルーズさなど様々な要因が組み合わされないと出現しないのではと思います.頭部の表在静脈の解剖を引用しておきます(下図).
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面白い論文が出版されたのPICO(ピコ)形式で共有します(Nurse Educ Pract 2025:89:104620)
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P –
看護学生,モバイルアプリケーションを用いた心血管身体の学習効果
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I –
ランダム化比較試験,42名をアプリ群、40名を対面指導群に割り当て
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C –
学生の学習効果,自己学習能力、知識、学習満足度を両群間で比較
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O –
アプリ群でスキルパフォーマンスは有意に向上した.他は有意差なし
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独り言
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アプリが身体所見の学習に有用であることは言を俟ちません.いつでも・どこでも・だれもが利用できるからです.しかしその効果のエビデンスは意外にも少ないような気がします.
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アプリやWEBコンテンツの開発者の一人としてはこのような論文をとても嬉しく思います.投稿者も様々なコンテンツを公開しているのでよろしければご覧ください(松下ハート塾)