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2021-07-26

ダブルリトラクション(二峰性陥凹) Double retraction

健診で心電図異常を指摘された無症状の症例

💞 解説
  • 坐位で窩部左側に周期的な皮膚面の陥凹(心尖周囲には拍動なし)
  • 時相解析から収縮期陥凹と判断 ➜ 収縮性心膜炎で有名であるが…
  • よくみると陥凹は二峰性で小さい凹が抬起性の陥凹に先行(付箋)
  • 収縮性心膜炎を示唆する所見なく最終診断は非閉塞性肥大型心筋症

💕 迷?探偵
  • 本例の拍動は部位からも左室心尖の拍動とは考えられず,右室の拍動を見ているものと推測した.実際に本例では明瞭なⅣ音を聴取したが,心尖以外の広い範囲でも確認できた(つまり右心系Ⅳ音の疑い:いわゆるどこでもⅣ音).
  • この聴診所見は,本例のダブルインパルスならぬダブルリトラクション(収縮期の二峰性陥凹)が右心系の由来という推測を支持する.ちなみに本例は右室拡大や右室肥大はなく,左室の心尖拍動の牽引(?)による右心尖周囲の偏位と思われる.

松下記念病院 川崎達也)

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