下腿浮腫とBNP上昇で紹介受診した症例(端座位)
💛 解説
- 顎下に周期的な拍動(陥凹)を認める ➜ 内頸静脈の拍動
- 耳朶も拍動あり(winking earlobe sign,耳ウインクサイン)
- 座位であることを考慮すると中心静脈圧は高度上昇の疑い
- 耳垂に45度の皺(earlobe crease,フランク徴候)もあり
- 心エコー図で心肥大と肺高血圧あり ➜ 最終診断はHFPEF
💜 追加情報
- 身体所見はマスクの着用で過小評価されることがあります(マスクでマスクと勝手に命名:自験例1・自験例2).本例ではマスクを外しても,あまり変わりませんでした.マスクのゴム紐などには影響を受けない「強い静脈拍動」と思われます.
- 本例ではフランク徴候を認めましたが,その後の精査で冠動脈狭窄はありませんでした.耳垂皺の3万例以上のメタ解析(Int J Cardiol 2014;175:171-5)では冠動脈疾患に対する感度は62%,特異度は67%と報告(臨床的には今ひとつ😐)
- ちなみに本例は息切れなどの心不全症状は乏しかったのですが,これは認知症によると思われました.システマティックレビュー(J Card Fail 2017;23:464-75)では,心不全患者の認知機能障害の合併頻度は43%(95%信頼区間30~55)
(松下記念病院
川崎達也)
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