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2022-03-21

肥大型心筋症のⅣ音

🔍 Ⅳ音の復習
  • 心尖部で聴取するⅠ音の直前の低調成分で,聴診器のベル部を軽くあてて聴取
  • ベル部を強く胸に押し付けたり膜部では通常,Ⅳ音は聞こえない(実際の感じ
  • 心房収縮に伴う血流が(主に)左室を拡張させる時に発生する音と考えられる
  • よって心房細動はⅣ音なし(心電図でP波があっても心房収縮がなければ同じ)
  • 心尖拍動のA波と概ね一致するため,視診や触診でも判定することが可能(
  • Ⅳ音との鑑別は駆出音Ⅰ音の分裂(Ⅳ音以外は膜部でも聞こえることで鑑別)
  • Ⅳ音は一番聴取困難な音と言われることもあるが肥大型心筋症ではとても明瞭
  • 肥大の部位や閉塞機転の有無にかかわらずHCMではⅣ音を聴取(頻度は下記)
  • 逆に洞調律の肥大型心筋症でⅣ音がなかったら心事故のリスク(当院の研究

ー 肥大型心筋症での検討(自験例)ー

👶 独り言
  • 聴診よりも心音図の方がⅣ音の検出率が高いことにはいくつかの理由があります.一つはⅠ音に近接するⅣ音は聞き取りにくいという問題です.これはベル部の押し込みによる幅広Ⅰ音の変化で認識可能です.もう一つは大動脈弁狭窄のような大きな雑音を伴う症例です.無意識に耳にフィルターがかかりるため(音響隠蔽),Ⅳ音だけでなくⅠ音の認識すら難しくなります(自験例).こんな時は触診の活用が望まれます.指先(超高感度圧センサー)で二峰性心尖拍動(ダブルインパルス)を感じてみてください(触ってなんぼの法則).

松下記念病院 川崎達也)

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