- 右室内腔の狭小化のため右心不全を呈する左心系の疾患.Bernheim が100年以上前に報告(De l'asystolie veineuse dans l'hypertrophie du coeur gauche par stenose concomitante du ventricule droit. [仏語:右室狭窄を伴う左心肥大の静脈性不全収縮] Rev de WV 1910;30:785-801).
- ただしベルンハイム症候群に懐疑的な報告も少なくないようで,最近では目にすることはほとんどないと思われる.2000年以降でGoogle scholarの検索ではわずかに33件がヒット(実際の検索).日本語では全期間を通してもわずか数編程度でしょうか?
👿
深掘り
仁村泰治先生が「肥大型心筋症に伴う右室流出路狭窄と"Bernheim症候群"」という題でeditorial commentを発表されています(心臓 1992;24:1309-12).ベルンハイムの提案した項目をわかりやすくまとめられています(下記).このベルンハイム症候群に対しては少し懐疑的な見方を示しつつ,ベルンハイム効果とういう観念で考えるならば意味はあると述べられておられるところはさすがです.同効果はこの心臓フィジカル広場でも頻出です(ココ).
- 左心系の疾患であって,左室肥大ないし拡張が著しい
- 肺うっ血はなく,臨床的にも起坐呼吸,咳など,それに相当する症状はない
- 直接に右心不全を来たすような右心,肺循環系の疾患はない
- 左室の肥大,拡張ないし心室中隔の肥大のため,中隔は右室腔内に凸に膨隆し,そのため,右室,特にその下半は狭小化している.ロート部はかえって代償的と見られる肥大,拡張を示していることが多い
- 頸静脈怒張,肝腫大,下肢浮腫など右心不全症状が見られる
- 以上の事柄からこの右心不全は,通常考えられるような左心不全→肺循環負荷→右心不全と言う経過を辿ったものでなく,上述のような右室内腔の狭小化のため,静脈還流が制限され,左心不全,肺循環負荷とは関係なしに,右心不全の状況を来たしたと考えられる
(松下記念病院
川崎達也)
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