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2025-08-28

教育ビデオ 📺 収縮期逆流性雑音(Systolic regurgitant murmur)

僧帽弁逆流症(Mitral regurgitation: MR)の一例

🎶 解説
  • Ⅰ音とⅡ音の間にある心雑音なので収縮期雑音
  • 雑音の音量は漸増や漸減に欠く箱型(長方形)
  • Ⅰ音とⅡ音は心雑音に埋没するため認識が困難
  • 僧帽弁逆流,三尖弁逆流,心室中隔欠損の3疾患

🎵 コメント
  • フィジカルの巨匠からのアドバイス(過去の投稿)を元に作成した,心音図をなぞりながら音を聴く教育ビデオです(版権放棄かつ利用時の引用記載も不要)
  • 最初は「実際の心音と心音図上の線の動きをあわせるのが大変だな~」と思いましたが,パワーポイントを用いてやってみると意外に簡単に作成できました.

松下記念病院 川崎達也)

2025-08-25

Rosenbach sign ローゼンバッハ徴候

  • 大動脈弁逆流症で出現する右上腹部の拍動(肝臓の収縮期拍動)
  • 由来はドイツの医師Ottomar Ernst Felix Rosenbach(1851–1907)
  • 報告はÜber arterielle Leberpulsation. 1878:4:498-500(コレ?
  • 甲状腺機能亢進で出現する閉眼時の眼瞼の微細な震えも同名徴候

 

😁 おまけ
  • 個人的には甲状腺クリーゼの若者で肝拍動を視診できたことがあります.もちろんこれもローゼンバッハ徴候(Rosenbach sign)と呼んでいい? 

松下記念病院 川崎達也)

2025-08-21

教育ビデオ 📺 収縮期駆出性雑音(Systolic ejection murmur)

大動脈弁狭窄症(Aortic stenosis: AS)の一例

🎶 解説
  • Ⅰ音とⅡ音の間にある心雑音なので収縮期雑音
  • 雑音は漸増・漸減型(ダイアモンド型 or 菱形)
  • よってⅠ音とⅡ音を聴取できる(特にⅡ音!)
  • 例えば大動脈弁狭窄症やHCMの左室流出路狭窄

🎵 コメント
  • フィジカルの巨匠から以下のような内容のメールをいただきました.「講習会では心音図が心音と一緒に動画として提示される.でも聴衆はとてもそれを目で追えない.心音図をなぞりながら音を聴かせるという風にすればとても理解しやすい.」
  • 「心音図は必ずしも実物でなくて絵でもいいですよ」とも言われましたが,せっかくなので実物を使用してみました.本動画は教育用として作成したので,商業目的を除いてご自由にご活用ください(版権放棄かつ利用時の謝辞記載も不要です)

松下記念病院 川崎達也)

2025-08-18

フィジカルクイズ(No. 17 & 18)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-08-14

Ⅳ音の深堀

心電図異常を指摘された無症候例

😎 解説
  • 漸増・漸減する収縮期の駆出性雑音あり
  • 前収縮期(拡張後期)に大きな過剰心音
  • 低調成分が主体であるためS4(赤四角)
  • 本例の最終診断は閉塞性肥大型心筋症

😛 追加コメント
  • 洞調律の肥大型心筋症では肥大部位にかかわらずS4を高頻度(約70%)に認める(Circ J  2023;87:1068-74)。
  • なおS4の生じる前提として、心室コンプライアンスの低下あるいは拡張末期圧の上昇に対する心房機能の亢進が必須
  • 増高した心室流入血流が硬い心室を振動させてS4が発生(Tavel ME. Year Book Medical Publishers;1971:44-63)
  • この振動はA波として触知でき(下図),抬起性拍動と合わせて二峰性心尖拍動(double apical impulse)と呼ばれる.
  • なお心房細動ではⅣ音(第4音)は記録されない.また洞調律であっても心房機能が低下すればS4は減弱~消失(


松下記念病院 川崎達也)

2025-08-11

Ⅲ音の深堀

息切れを主訴に受診した症例

😎 解説
  • 心尖部に拡張早期の大きな過剰音を認める
  • S2の約140ms後に出現する低調音(四角)
  • これらの特徴はS3(Ⅲ音/第3音)に合致
  • 本例は最終的に拡張型心筋症と診断された
😛 追加コメント
  • Ⅲ音の機序として,左室充満圧(≒左房圧)の上昇による左室急速流入速度の増大とその突然の停止が推察されている(Jpn Heart J 1976;17:150-62
  • その圧変化は心尖拍動図の急速流入(RF: rapid filling)波として触知することができる(下図参照:上図よりS3が小さいのは心尖に圧端子を置くため)
  • 本例では減弱したS1にも注目(通常は心尖部側でS1>S2).左室収縮力が低下すると左室圧の上昇が緩徐でS1が減弱(Am J Cardiol 1971;28:140-9


松下記念病院 川崎達也)

2025-08-07

頚静脈の座位定性法の弱点

労作時の息切れで来院した症例(座位)


🐝 解説
  • 右頚部腫瘍(30年著変なし)
  • 安静座位で頚静脈は視認せず
  • 深吸気負荷後も頚静脈は陰性
  • 心音は明瞭なギャロップあり
  • BNPは著増(>1000 pg/ml)
  • 心エコー図で左室駆出率18%

🐙 頚静脈の座位定性の弱点

身体所見は診断特異度は高いのですが,感度が少し劣るという共通した問題点があります(評価者のばらつきもですが😑).一方,頚静脈の座位定性(シンプル頚静脈)は感度も特異度も臨床的には十分すぎるくらい高いと思われます.ただし特定の病態では役立たないと感じることもあるので,以下に列記してみます.

松下記念病院 川崎達也)

2025-08-04

フィジカルクイズ(No. 15 & 16)

  • 循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
  • 2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.



👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)