労作時の胸痛で来院した症例
👷 女性化乳房(Gynecomastia)
- 男性の胸が乳腺の発達により女性の乳房のように隆起した症状
- 乳房に加え乳頭や乳輪が女性化する症例もある(本例はなし)
- 無症状例が多いが,疼痛や圧痛,痒み,乳汁分泌を伴う例も有
- 原因は薬剤性,肝機能の低下,思春期や更年期,腫瘍関連など
- 治療は現疾患の加療が基本:内服(ダナゾール)や手術も可能
- 本例は前立腺疾患に対する治療薬による女性化乳房と思われた
- なお本例の胸痛は狭心症と考えられた(CTで有意狭窄を確認)
💊 薬剤性の女性化乳房
- ホルモン剤以外では利尿薬のスピロノラクトンで経験することが多いと思います.他にも降圧薬(ニフェジピン)や抗結核薬(イソニアジド),消化器作動薬(シメチジンやメトクロプラミド)などで生じることが知られています.
- 強心薬のジギタリスも女性化乳房の原因になることがあります.これはジギタリスのエストロゲン受容体に対する直接作用が原因のようです(N Engl J Med 1953;248:316-20).ジギタリス製剤は女性ホルモンと類似した構造を有しています.
- ジギタリス製剤は心電図でST-T変化を生じ,負荷心電図で偽陽性の原因になります.同様に若い女性でも非特異的なST-T変化が多く,負荷心電図でも偽陽性が出やすいことが知られています(J Nucl Cardiol 2002;9:385-7)
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(松下記念病院
川崎達也)
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