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2022-06-13

吸気ならぬ呼気負荷

労作時の息切れで来院した症例

🍘 解説
  • 深吸気の保持で右鎖骨上窩に陥凹(矢印)あり(クスマウル徴候陽性)
  • よくみると通常呼吸時にも吸気時に陥凹(広義のクスマウル徴候陽性
  • 内頸静脈の陥凹はx谷とy谷が同じ深さで優位性なし(y谷優位の症例
  • 興味深いのは深呼気保持では内頸静脈拍動は不明瞭(表在静脈は隆起)

🍙 独り言
  • 個人的には内頸静脈の簡易定性法(座位で鎖骨上に拍動の有無を視覚的に判定)では吸気負荷を追加するようにしています(クスマウル徴候の確認).簡易定性法では軽度(〜中等度)の中心静脈圧上昇を見逃すことがあるためです.
  • このクスマウル徴候ですが,逆に吸気時に頸静脈拍動が消失する症例は経験したことがありません.逆クスマウル徴候(paradoxical or reversal Kussmaul's sign)という用語もヒットしません.報告したら世界初になるかも...
  • 同様に内頸静脈の呼気負荷(jugular venous response to expiration)に関する報告もほとんどないようです.あまり役立つとは思えませんが,特定の疾患に対する有用性は否定しません.発見したら歴史に名を残せるかも...😳

松下記念病院 川崎達也)

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