このブログを検索

2022-09-01

”圧迫できない” 内頸静脈拍動

慢性心不全の増悪症例

👹 解説
  • 端座位で右鎖骨上に内頸静脈(+胸鎖乳突筋)の周期的な拍動(隆起)を認めるため,中心静脈圧はかなり上昇していると予想される.
  • 鎖骨上窩で内頸静脈の起始部を用手的に(かなり強く)圧迫したが,内頸静脈の拍動は消失していない点にも注目(解剖図はコチラ
  • 内頸静脈は深部静脈であるため圧迫は容易ではないと思われるが,その拍動は静脈とは思えないほど強い症例も少なくない(他の自験例

👺 ひとり言
  • 個人的な経験では,内頸静脈の拍動を容易に圧迫できない症例は心不全がより重篤なことが多いと思います.一般に拍動上縁が高位ほど中心静脈圧は上昇していると考えられますが,この ”圧迫できない” 内頸静脈拍動 も重症度判定に役立ちます.ただし問題点は,圧迫の程度を定量化することが困難なことです.よって僕は消失するか否かの二択で判断しています.ちなみに表在静脈の外頸静脈はどんな症例でも容易に圧迫できるので,この評価方法は適応できません.

松下記念病院 川崎達也)

0 件のコメント: