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2022-12-19

モンドール病 Mondor’s disease

  • 概要:体表に触知可能な紐状の硬結構造物を呈するかなり稀な良性の血栓性静脈炎
  • 初報:仏外科医 Mondor(Mémoires de l'académie de chirurgie 1939; 65: 1271-1278)
  • 症状:索状の触知可能な硬結(稀に痛み,こわばり,紅斑,発熱,不快感などを伴う)
  • 診断:身体検査(+血管エコー)/ただし他の基礎疾患に関連した二次性は除外必要
  • 原因:特発性45%,外傷性22%(きついブラジャーを含),医原性20%,乳がん5%
  • 部位:前外側胸腹部壁(オリジナル),陰茎,および腋窩(別名は腋窩ウェブ症候群)
  • 疫学:病変は主に片側性で,女性と男性の比率は9:1〜14:1と女性に多い(特に中年)
  • 経過:原発性は治療不要で4~8週間で自然治癒し再発は稀(二次性は基礎疾患による)

参考)Intern Med 2018;57:2607–12,ほか

胸壁モンドール病(52歳・男性)
胸痛と柵状構造物の触知で来院.右上肢の挙上時に出現(図1)して,上肢を降ろすと消失(図2)が特徴的.(Intern Med 2019;58:3349) 

陰茎モンドール病(28歳・男性)
1週間前に妻と激しいセックス.性的禁欲だけで2週間以内に病変は解消し2年間の追跡期間中,再発も勃起不全も観察されず.(Intern Med 2018;57:2607–12

腋窩モンドール(腋窩ウェブ症候群)(32歳・男性)
疼痛で来院して腋窩の柵状構造物とエコー所見から診断.無治療で4週間以内に改善.(Intern Med 2019;58:1805

松下記念病院 川崎達也)

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