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2025-01-20
第21回 循環器Physical Examination講習会より
循環器Physical Examination講習会
は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.
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松下記念病院
川崎達也)
2025-01-16
今週の一枚 🎯
発熱が続く症例の眼瞼結膜
👀 点状出血
(Petechiae)
右の眼瞼結膜に複数の点状出血を認める
収縮期雑音はあるが大動脈弁位は人工弁
他の末梢サイン(
オスラー結節
など)無
経胸壁心エコーで大動脈弁周囲は不鮮明
経食道心エコーで大動脈弁の疣腫を確認
血液培養4ボトルから全て
E. faecalis
検出
最終診断はもちろん
感染性心内膜炎
(IE)
😐 IEあれこれ
感染性心内膜炎で血管塞栓に関連した無痛性の点状出血が生じることは,カナダ生まれの内科医である
Sir William Osler
(1849–1919)が19世紀に既に記載している(
Br Med J 1885;1:522-26
).
その出現頻度は罹患部位や病期によって異なると思われるが,0.6~30%と報告されている(月間心エコー 2025年1月号).体のあらゆる部分に出現するが,眼瞼結膜や口腔粘膜が検出しやすい.
感染性心内膜炎のDuke診断基準が2023年に改定された(
Clin Infect Dis 2023;77:518-26
).この
Duke-ISCVIDクライテリア
でも末梢サインは臨床診断の小基準として明記されている.
ちなみに欧州で行われた感染性心内膜炎3011例の前向きコホート研究(
Eur Heart J 2019;40:3222-32
)では,
22.3%に発熱がなく,34.9%では心雑音を欠いていた
ことにも注目しておきたい.
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(
松下記念病院
川崎)
2025-01-13
😊 素敵な紹介状
息切れが増悪した慢性心不全例(座位)
💗 慢性心不全の増悪
座位で通常呼吸時には頚部に拍動なし
よく見ると吸気時に鎖骨上窩に拍動?
深吸気で拍動が安定して出現(矢印)
拍動は陥凹 → 静脈性 → CVPは上昇
💓
臨床現場
本例はかかりつけ医からの紹介状がとても素敵であった.
「頚静脈の拍動が見えるのでSGLT2阻害薬を追加しました」
と記載してあった.
当院受診は薬剤追加の1週間後で,その間に患者さんも自覚症状がずいぶん楽になった様子.当時は通常呼吸時に拍動が明瞭だったと予想.
もっとも吸気負荷後にまだ拍動が観察できるので追加加療は必要.自験データでは安静時陽性と吸気後陽性の1年後事故率は同程度(
論文
)
(
松下記念病院
川崎達也)
2025-01-09
今週の一枚 🎯
腎機能が悪化した症例(Cr 1.4 → 4.5 mg/dl)
👿 青色趾症候群
(Blue Toe Syndrome)
右4趾や左3, 5趾などに紫黒色の色調変化あり
CAG(4月前)と大動脈解離(時期?)の既往
下腿には網状皮疹(
livedo reticularis
)もあり
最終的な診断はコレステロール(結晶)塞栓症
副腎皮質ステロイドの導入で腎機能は少し改善
👾 追加コメント
初期対応を行った医師(膠原病・リウマチ内科)は
Hollenhorst斑
を確認するために眼科医をコンサルトしていた 😯
Hollenhorst plaque
とは眼底の網膜動脈の分岐部に認める明るい黄色~橙色の小片(下図)でコレステロール塞栓症を強く支持
名前の由来は米国の眼科医
Robert W. Hollenhorst
(1913–2008)の報告(
Trans Am Ophthalmol Soc 1958:56:474-506
).ドイツのWitmerらも報告した(
Ophthalmologica 1958;135:432-3
)が,ホレンホーストの名が残ったのは英語のため?
(
日内会誌 2019;99:943-9
)
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松下記念病院
川崎)
2025-01-06
第21回 循環器Physical Examination講習会より
循環器Physical Examination講習会
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松下記念病院
川崎達也)
2025-01-02
負荷心尖拍動
慢性左心不全の増悪例
😐 解説
乳房下に抬起性心尖拍動 → 左室の拡大・肥大
心窩部にも明瞭な抬起性拍動 → 右室負荷の疑い
座位から立位の体位変換で左室の拍動は変化なし
心窩部の拍動は減弱~消失(右室負荷の減少?)
💟
追加コメント
本例の心尖拍動の変化をどう解釈するかは難しい.心窩部の拍動が立位に伴い目立たなくなったことは,前負荷の減少による右室負荷の低下で説明できそう.一方,心尖拍動(左室)の所見は,前負荷の減少が立ち上がりという仕事で相殺されたと考えるのがいいかもしれない.
心臓の検査では負荷を積極的に併用している(心電図や心エコー,核医学,MRI,心カテなど).身体所見でも然り.負荷を併用した頚静脈評価法(
負荷頚静脈
)はかなり解明されてきたと個人的には思っている.今後は
負荷心尖拍動
の臨床的意義も調べていく必要があるかも...
(
松下記念病院
川崎達也)
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