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2025-05-08

いつもと少し違う拡張期雑音

急に息切れを自覚するようになった症例

😎 解説
  • 拡張期雑音が急速に減弱して,Ⅰ音(S1)の手前で終了している点に注目.急性の大動脈弁逆流症では左室拡張期圧が急激に上昇するため,拡張期雑音が速やかに減弱して拡張早期~中期に終了する.
  • 一方,慢性の大動脈弁逆流症では,雑音が拡張末期(S1)まで持続する(自験例).本例は心エコー図で,右冠尖の逸脱(fenestration破綻の疑い)による急性の大動脈弁逆流(重症)と診断された.
😛 深堀
  • 慢性の大動脈弁逆流では高調成分が主体の穏やかな雑音であるが(自験例),本例のような急性の大動脈弁逆流では低調成分も加わるため荒々しい(harsh)音になることが少なくない.
  • 本例はエルプ領域(3L)で,雑音に埋没するⅡ音肺動脈成分の亢進が疑われた(下図).これは肺高血圧を反映していると思われる.こんなふうに細部にこだわった聴診は面白いと思う.

松下記念病院 川崎達也)

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