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2024-11-21

たかがリックサック,されど...

慢性左心不全例の定期受診

👜 解説
  • リックサックを背負い診察室に入室(前半)
  • 鎖骨上窩に僅かながら陥凹を認めた(矢印)
  • リックサックを下ろすと拍動は消失(後半)
  • 問診で無理すると息切れがあることが判明

🍙 追加コメント
  • 本例は持続性心房細動を伴うHFpEF症例で,安定期でもBNP値は500 pg/ml前後と高値.リックサックを背負うという行動は仕事であると同時に,静脈の圧迫で血流を変えている可能性あり?
  • 本例がリックサックをして来院したのは初めてなのでそれとなく聞いてみた.すると診察後にお米を買ってリックサックにいれて帰る予定であることが判明.それはオススメしないと伝えた.

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-18

運動誘発肺胞出血
Exercise-induced pulmonary hemorrhage (EIPH)

  • 競走馬で有名な病態でレース後は半数以上に出現する
  • 重症例ではレース後のサラブレットで鼻出血を認める
  • 馬は運動でRAP>60mmHg,PCWP>70mmHgに達する
  • ただしEIPHの有無でRAPやPCWPには有意差なし(下図)
  • 予防にはフロセミドが有効(ただし日本では禁止薬物)
  • ヒトでもマラソンなどを契機に発症例の報告あり(

サラブレッド馬の内視鏡的評価(トレーニング終了60分後)

- 競走馬の負荷中の心内圧 -

😋 独り言
  • 先日の心不全学会での講演(杉本匡史先生)で知った病態です.とても興味深かったため調べてみました.こんなにも高圧になった時の頚静脈拍動ってどんなんだろう? 動脈との鑑別は容易ではないと予想します.
  • でもさすがサラブレット 🐎 あらゆる点でヒトとは比べ物にならない循環系でしょうか.だから運動耐容能も桁違いです.健常若者 11.4 METs,オリンピック選手 22.8 METs,サラブレット 57 METs(以前の投稿)

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-14

キャノンは見えずとも...

ふらつきを訴える症例

🚑 現場実況
  • 本例は前医の心電図を持参されていたため,診察時には3度房室ブロックが既に分かっていました.さっそく大砲A波(Cannon a wave)を確認しようとしましたが,予想に反してあまりはっきりしません.
  • そこで吸気負荷(前負荷増大)を行ってみました.すると頚部がみるみる膨らんできて(通常のクスマウル徴候よりもはるかに大)ちょっとびっくり 😧 患者さんも苦悶の表情だったので慌てて負荷を解除

 👽 つぶやき
  • 本例でキャノン波が不明瞭であった理由は不明ですが,やはり心房機能の低下でしょうか(特にブースター機能>リザーバー機能の障害?)
  • 完全房室ブロックになると,通常では聞こえないような小さいⅣ音が認識できることが少なくありません(Ⅰ音と分離するため:自験例).
  • しかし本例ではⅣ音は聴取されませんでした(心房の機能低下に合致).心房細動の既往はありませんが,将来発生する確率が高いかも...

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-11

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2024-11-07

心音クイズ(Q5・Q6)

  • 持田製薬さんと作成している心音クイズの第三弾です(GROUP T inc.さんにも感謝 🙏).今回は拡張期雑音を呈した2症例で,5領域(2R, 2L, 3L, 4L, 心尖部)の心音+2領域の心音図です.心音の高みを目指してかなり攻めてみました.
  • 今後も3ヵ月毎に2症例ずつアップする予定です(次回は2025年1月の予定).無料なのでよろしければご覧ください(※Q3以降は簡単な登録が必要).一緒に聴診学の楽しさと奥深さを共有できれば作成者としては嬉しい限りです 😁


松下記念病院 川崎達也)