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2025-03-27

負荷の組み合わせ

心筋梗塞後の症例(座位)

🐔 解説
  • 安静では頚部に明らかな拍動なし
  • 吸気保持で拍動が出現?(矢印)
  • 吸気を保持したまま座位➜立位へ
  • 微妙な頚部の拍動は完全に消失!

    🐙 コメント
  • 本例は治療によってHFrEFからHFpEFに改善したHFrecEF症例です.深吸気保持(前負荷増加)で拍動が出現しているなら,中心静脈圧(≒右房圧)は軽度~中等度に上昇していると考えられます.しかし座位から立位への体位変換(前負荷減少)では中心静脈圧は低下しています. 実際に本例はテニスを楽しんでいます.
  • 吸気負荷などで頚静脈拍動が出現しても,立位で消失する症例は日常生活に支障が少ないと思います(自験例).逆に立位になっても拍動が持続する症例は,労作時の息切れが問題になることが多いようです(自験例).さまざまな負荷が可能なシンプル頚静脈©は,心不全管理管理で無限の可能性を秘めているかも...😁

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-24

CareNet 「今日の所見」

株式会社ケアネット(CareNet, Inc.)
  • 1996年創業の医療関係者向けのサービス提供などを行う日本の情報サービス会社
  • 2000年開設のCareNet.comは医師22万人を含む会員数44万人以上(2023年10月)
  • 今日の所見」はケアネットで平日(月~金)に一問ずつ提示される画像クイズ
  • この3月から毎週水曜日を担当することになりました(循環器の身体所見に特化)
  • 無料で過去1週間のクイズがご覧いただけます(初回のみ簡単な登録が必要です)


👶 独り言
  • 当院の循環器内科や初期研修医に伝えたら多くが既に利用していました.
  • 本気でポイントを貯めている(ポイ活)メンバーもいてびっくりでした.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-20

医療は人文学

陳旧性心筋梗塞の既往がある症例(座位)

💦 現場実況
  • 患者さんは特に体調変化はないと言う
  • 今日は頚を確認しにくい服を着ている
  • 安静座位で明らかな頚部の拍動はない
  • しかし深吸気の保持で拍動出現(矢印)
  • BNPは200台から400台に増加していた

😐 独り言
  • 患者さんの主治医に対する心理には二通りある(と思う).一つは過剰に心配して体調の変化を伝えようとする姿勢.もう一つは逆に症状の悪化時にはなるだけ隠そうとする姿勢.
  • 本例は駆出率が低下したHFrEFであったが,心不全入院はなく,状態は長年安定した.しかし今日に限って頚部を確認しにくい(首元が締まった)シャツを着ている(と感じた).
  • 毎回,頚部を確認しその意義をご本人にも伝えていたことを考慮すると,なんとなく患者さんの心理が伝わってきた.心不全の悪化を主治医に悟られたくなかったのだろう
  • あえてシャツのボタンをはずしてもらうことはしなかった.症状に変わりはないと主張するが,心不全が悪化している可能性をそっと伝えた.減塩指導と早めの再診を指示した.

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-17

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた physical examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2025-03-14

🏆 論文

  • 循環器内科の本田先生が執筆されたケースレポートが出版されました
  • 収縮期雑音を呈した動脈管開存(PDA)の一例です(連続雑音なし)
  • 軽度肺高血圧のみでEisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群なし
  • 心エコー図では拡張期にも短絡シグナルが描出されますが雑音なし

🎉 PDA雑音
  • PDA患者の典型的な雑音といえばもちろん(第2音で途切れることなく持続する)連続性雑音です。本例のような大動脈-肺動脈シャントに加えて、動静脈シャント(冠動脈動静脈瘻、右心室へのバルサルバ洞動脈瘤破裂など)や動脈および静脈の流れの変化(静脈雑音乳腺雑音甲状腺雑音など)があります。
  • 肺高血圧を伴うと拡張期雑音が消失することは理にかなっています。ただし本例の肺高血圧は軽度でした(平均圧28 mmHg、1.4~2.1 WU)。本例では収縮期雑音のみを聴取かつ記録した正確な原因は不明ですが、貧血や肝硬変などの併存疾患が非典型的なPDA雑音に変化させたと考えるのが妥当でしょうか?
  • Eisenmenger患者にみられるように、大動脈圧と肺動脈圧の平衡例では、雑音が完全に消失し無音性PDAになります(一部の症例では拡張期雑音のみ)。PDA雑音の性状は、肺動脈内のジェットの方向によっても変化するようです。本論文の考察ではこの辺りを(少し)深堀したので興味がある方はご覧ください。


👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)