健診で心雑音を指摘された症例
😎 解説
- 心尖部で収縮期の雑音を聴取
- Ⅱ音(S2)明瞭で駆出性雑音
- 右鎖骨(上)でも雑音は明瞭
- 心エコーで大動脈弁狭窄あり
😛
追加コメント
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大動脈弁狭窄の収縮期駆出性雑音は鎖骨や頚部に放散する(ことが多い)。頚部は呼吸止めをしないと聴診が難しいが、鎖骨では息止めは不要。呼吸音にかき消されない大きな雑音があればASが多い。
- やり方は聴診器の膜部を鎖骨上にのせるだけ(左右どちらでもOK)。MR雑音では鎖骨への放散が小さいため(雑音が呼吸音に埋もれる)、両者の鑑別に役立つ。ちなみに本例では大きなⅣ音あり。
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循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です.「生きた
physical
examination」を体感・習得して,「感動できる」ものにしていきたいと思っています.
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2025年4月から毎週金曜日に循環器に関するフィジカルクイズを2題ずつX(旧Twitter)で発信しているので,よろしければフォローしてみてください(@PhysicalExamin1).こちらにも2週分ずつまとめてアップします.
👻「フィジカルクイズ」の過去の投稿は
コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)
心不全で通院中の症例(座位)
😋 解説
- 安静で頚部に拍動なし(重症心不全なし)
- 深吸気負荷で鎖骨上窩に拍動出現(矢印)
- 深吸気を保持したが拍動は速やかに消失
- 本例はHFpEFで症状は長年安定している
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コメント
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心不全の「シンプル頚静脈©」では,拍動を視認するか否かの定性法を採用しています.しかし拍動上縁の位置を考慮した半定量評価も可能です(鎖骨上窩=軽症,頚部中央=中等症,顎下=重症:過去の投稿)
- 上記の位置に基づく半定量法に加えて,本例のように拍動の持続時間を考慮した半定量法も可能です.つまり安静時に拍動=重症,深吸気後に拍動持続=中等症,深吸気持続で早期のみ拍動=軽症(本例)です.
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舞台裏
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はじめに米国の雑誌に投稿しましたが,あっさりreject.でもこれは想定内でした.(内容はともかく)アプリの掲載はとてもリスクがあるからです(スパムを組み込むことも技術的に可能).今回の雑誌にも期待せずに投稿しました.3日後に返事があったので「やっぱりダメだな」と思っていたら,ともて高評価.実際にその1週間後(投稿10日後)に出版されました.
- 本邦の心不全ガイドライン(2025.3更新)への収載が一つ目の「夢叶う Dreams come true」で,今回の海外展開が二つ目の「夢叶う Dreams come
true」です.そしていつか,海外のガイドライン収載へ…これは三つ目の「夢叶う Dreams
come true」になるでしょうか😃
久しぶりに外来を受診した心不全例(座位)
🐤 解説
- 息遣いが荒く頚部拍動の有無は判定難
- 吸気で鎖骨上窩に明瞭な拍動(矢印)
- 本例はHFrEFで怠薬後に息切れを自覚
- その後の精査で心不全増悪を確認した
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独り言
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負荷を併用した頚静脈の座位定性法(シンプル頚静脈)では,安静時に拍動を認めれば負荷を追加する必要はありません.ただし本例のように頚静脈の拍動なのか呼吸に伴う変化なのか分からない症例を時々経験します.そのようなときには「とりあえず負荷をかけてみる」のがいいと思います.特に吸気負荷なら手間もかからず,負荷に対するリスクもほとんどありません.