このブログを検索

2023-07-17

驚異の心臓:トガリネズミ

🌟 先日の松下心電塾
  • 当院の初期研修医に「最も心拍数が速い生き物は何?」という宿題をだしました.
  • 翌週にトガリネズミの心拍数がとても速いことを調べてきてくれた方がいました.

  • トガリネズミ科(Soricidae)は哺乳綱真無盲腸目に分類されるが,ネズミ類とは縁遠くモグラなどに近縁の動物で英語では shrew と総称される.
Wiki CC 表示-継承 3.0)

  • 3頭のソリシントガリネズミ(平均体重3.02 g)を麻酔下で最大超過用量のイソプロテレノールを単回投与したときの最高心拍数は1,043±66 拍/分 (Am J Physiol 1992;262:R842-51

💙 トガリネズミの心臓の特徴
  1. 大きくて細長い心室
  2. 心房中隔と心室中隔,房室弁と動脈弁は通常の哺乳類と同様
  3. 心室壁はほとんどが緻密な心筋で,右心内腔に小柱はほぼなし
  4. 洞結節と心室中隔頂部に連続する房室伝導軸あり
  5. 冠動脈は大動脈に比例して巨大

😎 おまけ
  • 僕が用意していた心拍数が最も早い生物に対する答えは中南米にすむハチドリでした.細小の鳥類で空中で静止するホバリング飛行ができ最大心拍数は毎分1,500回に達するようです(Eur J Cardiothorac Surg 2006;29:S178-87
  • ちなみに最も遅いのはガラパゴス諸島に生息する最大の陸ガメであるガラパゴスゾウガメで心拍数は毎分6回だそうです(Dialogues in cardiovascular medicine 2006;11:5-17).ただし冬眠明けのガマは毎分1回という情報あり.

松下記念病院 川崎達也)

0 件のコメント: