慢性心不全症例が下腿浮腫で来院(体位は座位)
🐤 解説
- 外頸静脈は膨隆して呼吸性変動はなし ➜ まさに怒張
- 頭部を上下左右に動かしてもらったが怒張は変化なし
- 内頸静脈は視認せず吸気時(クスマウル徴候)も陰性
- 胸部X線やBNP値を確認したが以前の所見と変化なし
- 下腿痛でNSAIDsを多用していたことが判明(Na貯留)
- 現行の内服薬は変更せずに鎮痛薬少し控えるよう依頼
🐦 独り言
- 当ホームページでは「頸静脈の怒張なし」の乱用に以前から警笛を鳴らしています(過去の投稿) .「頸静脈の怒張」とは呼吸性などの変動が消失した状態を意味するため,「頸静脈の怒張なし」は「中心静脈圧がめちゃくちゃ上昇してるわけではない」を表します.またこの怒張は外頸静脈には稀に出現しますが,内頸静脈には出現しないはずです(血行動態が破綻して死亡)
- 本例で外頸静脈が怒張していた理由は不明です(圧迫する腫瘤等もなし).しかし先日,頸静脈膨隆の原因が「重複した内頸静脈の一方が瘤化」であった症例報告をたまたま眼にしました(J Surg Case Rep 2023;2023:rjad366).中にはこういう患者さんもおられるのかもしれません.もっとも今回の動画の患者さんは初診だったため,以前から存在したか否かは不明です.
(松下記念病院
川崎達也)
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