大腸疾患の術前採血でBNP高値(800台)を指摘された症例
💙 解説
- 端座位で頸静脈拍動は視認しない
- 前屈負荷後に頸静脈拍動が出現!
- 拍動は陥凹でなく隆起と思われた
- よくみると自然吸気時に隆起明瞭
- S3はないがS2の肺動脈成分は亢進
- 胸部X線で肺うっ血や胸水はなし
- 心エコーでEF 20%+肺高血圧あり
- 最終的に非代償性左心不全と診断
💚 前屈負荷はユニーク
- 安静時に頸静脈拍動を認めなくても,各種負荷で拍動が出現することがあります.吸気負荷が最も簡便ですが,左上肢挙上負荷も役にたちます.通常は「拍動なし→陥凹出現」です.安静時に陥凹があれば,負荷後に隆起になる場合もあります(陥凹の消失は原則ない).
- しかし前屈負荷では本例のように「拍動なし→隆起出現」の変化を経験することがあります(他の自験例).このようなユニークな変化の機序としては,前屈に伴う胸腔内圧の上昇に加えて,息止めの効果や心臓との垂直距離の短縮なども考えられるでしょうか?
- 本症例は当初「胸部症状はない」と言われました.しかし頸静脈所見を確認後に再度問うと,「数年前から労作時に息切れがするようになったため日常生活を抑えている」と述べられました.自覚症状の有無に加えて,年齢相応の活動的な生活か否かの確認も大切です.
(松下記念病院
川崎達也)
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