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2024-06-27

サンプル心音

💓 つぶやき
  • 先日,TV業界の方から心音のデータ提供の依頼がありました(TBSの健康カプセル!ゲンキの時間 😄).
  • サンプルとして,正常・期外収縮・心房細動の3パターンの心音(心電図と心音図付き)を用意しました.
  • 何か役に立つかもしれないのでネットに置いておきます.ご自由にお使いください(商業目的を除き版権放棄)

正常(Normal)

期外収縮(PVC)

心房細動(AF)

👻 心音の高みを目指す方へ
  • 正常サンプル ➜ Ⅰ音よりⅡ音の方が大きいので心基部での記録
  • 期外収縮サンプル ➜ Ⅰ音がⅡ音より大きく心尖部での記録.期外収縮および代償性休止期後のⅠ音の音量変化に注目
  • 心房細動例 ➜ 先行するRR間隔によってⅠ音の変化に注目(心音図).ただしこの程度のRR間隔の揺らぎでは音の変化として認識することは困難

松下記念病院 川崎達也)

2024-06-24

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2024-06-20

漏斗胸:V1 ≒ aVR

検診で心電図異常を指摘された男性(無症状)

👶 解説
  • 前胸部に陥凹があり漏斗胸と判断
  • 心窩部に周期的陥凹もあり(矢印)
  • 橈骨動脈の拍動と一致し右室拍動
  • 本例は無症状で心エコー図も正常

😃 追加コメント
  • 漏斗胸では胸郭の前後径が小さくなり,右心系の異常がなくても明瞭な右室拍動をしばしば経験します(他の自験例:コチラ).三尖弁や僧帽弁の逆流を伴うこともありますが,本例くらいの漏斗胸で問題になることは少ないと思います.
  • 本例の受診契機は心電図異常でした.漏斗胸26例の手術前後での心電図検討:II誘導のP振幅とV1のP陰性振幅が減少,平均QRS幅の減少,Sokolow-Lyon指数の減少,V4-V6のJ波が増加(J Electrocardiol 2016;49:174-81)   
  • 漏斗胸の心電図にはもっとピンポイント判定法があるようです.それはV1の陰性P+Qrパターン+陰性T波です(北海道医報 第1249号).V1電極がaVRと同じ角度になるからだそうです(なるほど&何事もその道の匠はすごい😳)


松下記念病院 川崎達也)

2024-06-17

忘備録:透析症例の頚静脈

  • 先日,第69回日本透析医学会学術集会・総会(パシフィコ横浜)でフィジカル(特に頚静脈の座位定性法)の話をさせていただく機会を得ました.早朝8-9時のセッションで軽食や飲み物のサービスはなく,地味なテーマなわりに比較的大きな会場でした(下記写真は7:30の時点).
  • 「ガラガラだったらどうしよう...」という演者の心配とは裏腹に,立ち見が出るほどの盛況でした(本当にありがとうございます🙏).その後の質疑応答が有意義だったので忘れないように記録しておきます.もっとも臨床で検討しエビデンスとして確立された内容ではありませんが... 

📣 会場でのやり取りの要約
  • 透析例で頚静脈評価のタイミングは透析後(退室前)に座位で行うのでよさそう
  • 透析例は少なくとも透析後に座位定性法を陰性に(除水後に中心静脈圧上昇なし)
  • ただ透析例の理想は透析前も座位定性法が陰性(日常生活で中心静脈圧上昇なし)
  • 透析前の体重増加が少し多くても座位定性法が陰性なら必ずしも水分制限は不要
  • 透析後に臥位で頚静脈拍動を視認してもOK(むしろなければ血管内脱水の疑い)

松下記念病院 川崎達也)

2024-06-13

外頚静脈はほどほどに

容易に息切れするため来院した症例(座位)

👻 解説
  • 座位で外頚静脈の明瞭な上下運動(矢印)
  • よく見ると内頚静脈の拍動もあり(矢頭)
  • 本例の最終的な診断は慢性心不全の増悪

👽 つぶやき
  • 外頚静脈は中心静脈圧の推定には推奨されていません(理由:右房と直線関係にない+有効な静脈弁を有する).しかし本例のように明瞭な(心周期や呼吸に伴う)上下運動がある場合は利用できます.
  • 本例では内頚静脈の拍動をうっかり見落としかけました.もし外頚静脈の所見のみで判定すれば静脈圧を5cm水柱ほど低く見積もってしまいます.やはり外頚静脈はほどほどにしておく方が良さそうです.


松下記念病院 川崎達也)

2024-06-10

🏆 論文

  • 当院の専攻医の野口先生の臨床研究が出版されました 🎉
  • 慢性心不全症例に対する各種負荷頚静脈の比較検討です
  • 実際の負荷法は吸気・5回立ち上がり・蹲踞の3種類です
  • いずれの負荷も予後予測に有用で予後予測能に大差なし
  • ただ5回立上がりと蹲踞は膝痛や腰痛で実施不能例あり
  • 最終的には負荷頸静脈は吸気が最も実用的な方法と結論


😎 つぶやき
  • これは当院で行ってきた一連の負荷頚静脈研究(①6分間歩行,②吸気負荷,③PEF vs REFなど)の最終報告です.臨床で生じた疑問に対する研究を行い,新たな疑問に対する追試を行うということの繰り返しでした.最終的に「吸気による頚静脈負荷は様々なタイプの心不全で予後予測に有用」というゴールにたどり着けました.
  • 本論文の査読者から負荷の様子を追加するよう指摘されました.実際の動画よりもピクトグラムの方がいいのではと考え,無料画像を検索しました.しかしふさわしいものなかったので自作しました(上記のFigure 1).思ったより簡単で,今ではあらゆる体位や動作を表現できるようになりました.やっぱ何事も挑戦ですね.

👉「論文」の過去の投稿は コチラ(ウェブ版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2024-06-06

第21回 循環器Physical Examination講習会より


循環器Physical Examination講習会は故・吉川純一先生が2003年に立ち上げられた身体所見に関する研究会です。「生きた physical examination」を体感・習得して、「感動できる」ものにしていきたいと思っています。毎週情報発信をしているので,よければSNSでフォローしてみてください.


👻「フィジカル講習会」の過去の投稿は コチラ(PC版なら画面右の分類からも選択可)

松下記念病院 川崎達也)

2024-06-03

今週の一枚 🎯 下腿浮腫

3週前より下腿浮腫と体重増加(直近10日で10㎏)を訴える高齢男性
2週前のかかりつけ医で施行した採血や胸部X線に特記すべき異常なし

👽 解説
  • 頚部や鼠径部のリンパ節が腫脹していた
  • CTでは大腿静脈をリンパ節が圧迫(*)
  • LDHは513 U/Lと増加,CRPは0.42 mg/dL
  • 頚部LNの生検でリンパ腫(DLBCL)診断
  • 本例にB症状(発熱・盗汗・体重↓)なし

💀 独り言
  • 下腿浮腫の鑑別診断は日常臨床で頻出です.両側なら心不全・腎不全・肝硬変・ネフローゼ・低栄養状態など,片側なら深部静脈血栓症・蜂窩織炎・骨盤内腫瘍などでしょうか.本例は意外なところに答えがありました.今後は両側鼠径にリンパ節の累々とした腫脹がないかも見るようにします.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)