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2025-06-12

Ⅳ音消失し頚静脈出現

急に息遣いが荒くなった症例(座位)

😊 解説
  • 呼吸と嚥下に伴う頚部の動きが目立つ
  • 内頚静脈の拍動を判定することは困難
  • 吸気負荷後も内頚静脈はやはり難しい
  • しかし外頚静脈の拍動は明瞭(矢印)
  • 最終診断は心房細動による心不全悪化

💁 独り言
  • 本例の基礎疾患は肥大型心筋症でした.同疾患では左室コンプライアンスが低しているため,心房は常に過負荷状態です.左室への血液充満に対する心房の果たす役割が大きく,心房細動を生じたときのダメージは他の疾患より大と思われます.いわゆる「HCMでS4消失し頚静脈出現」というやつです.
  • 肥大型心筋症では洞調律にも関わらずⅣ音を認めない症例が少なからず存在します.このような症例では運動耐容能が低下し(当院の臨床研究),心血管事故も多い(当院の臨床研究)と思われます.でもⅣ音が明瞭でも油断は禁物です.心房に頼る血行動態が,細動で一気に破綻することがあります.

松下記念病院 川崎達也)

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