慢性左心不全で加療中の症例が息切れで来院
🐦 解説
🐤 現場中継+α
- 息切れはあるがクスマウル徴候も陰性で,自覚症状と身体所見の乖離が気になっていた.患者さんと話しているうちに,不規則に出現する頸部の陽性波に気がついた.ランチージ徴候が頭に浮かんだが,吸気負荷が陰性になるとは考えにくい.そこで聴診や触診を併用してa波が間欠的に出現していると診断した.
- 肥大型心筋症ではa波が視認しやすが(自験例),心不全で認めることは稀と思われる.また期外収縮に関連する巨大a波(cannon a waves)は必ずしも心不全の増悪を示唆しない(自験例).しかし本例では,慢性左心不全の増悪に伴い心室期外収縮が増加しその結果,頸部に巨大a波として視認できるようになったと思われる.
- 本例ではクスマウル徴候が陰性であるため,本例のようなa波の出現パターンは,心不全増悪に対する感度の高いフィジカル所見になるかもしれない.ただし本例は肺がんで肺葉切除術も受けている.残存肺の肺容量は通常よりも低下しているため,吸気負荷が十分にはかからなかった可能性もあると思われた.
(松下記念病院
川崎達也)
0 件のコメント:
コメントを投稿