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2023-10-26

今週の一枚 🎯

下腿症状で来院した男性

☆ 解説
  • 皮膚の肥厚と境界不明瞭な色素沈着,鱗屑,苔癬化
  • 右下腿前面の中央付近にびらんまたは潰瘍の治癒跡
  • 本例に下肢静脈瘤を示唆する所見は明らかではない
  • 男性にもかかわらず下腿に体毛をほとんど認めない
  • 最終的に慢性両心不全によるうっ滞性皮膚炎と診断

★ 鬱滞性皮膚炎(Stasis dermatitis)
  • ヒト下肢静脈は,深部静脈・表在静脈(伏在静脈)・深部と表在をつなぐ穿通枝・ポンプ作用を担う静脈洞から構成される.なんらかの原因で静脈圧の上昇を生じて皮膚炎をきたした病態がうっ血性皮膚炎で,重症化すると下肢静脈性潰瘍を生じる.
  • 下肢静脈高血圧のため慢性的に血管透過性が亢進して,フィブリノーゲンや赤血球が血管外に漏出して炎症を惹起し,ヘモジデリン沈着や結合織の増生と硬化を生じる.組織レベルでの動脈血流入が減少して栄養状態が障害されると皮膚潰瘍に至る.
  • 通常は50歳以上の方に多く,男性よりも女性の方が罹患頻度は高い.原因には静脈瘤,肥満,(多胎)妊娠,下肢静脈血栓,心不全,腎不全,高血圧,特定のライフスタイル(例:少ない身体活動や長時間の立位・座位),下肢の外傷後などがある.

👻「今週の一枚」の過去の投稿は コチラ松下ERランチ・カンファレンスの名物コーナー)

松下記念病院 川崎達也)

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